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日曜の朝10時、私は一郎さんから借りた漫画とお礼の菓子折りを持ってイケブクロディビジョン行きの電車に乗っていた。
昨日晩御飯を食べた後、一郎さんから借りた漫画を返そうと電話したら快くオッケーしてくれた。突然の申し出で申し訳なかったが、一郎さんも気にしなくて良いと言ってくれたので安心したが、その後の怒涛の質問ラッシュは凄かった。話はどうだったとか好きなキャラとかいるかとか一気に質問され、それに答えたかったが上手く言葉に出来ず吃る事しか出来なかった。それに気づいてくれたらしい一郎さんは「沢山質問しちまって悪い、明日来た時に語ろうな」と言ってくれた。人の変化をいち早く感じ取れるところは三兄弟の長男だからだろうか。
赤の他人である私のことも気にかけてくれて、いつか私も一郎さんみたいになれたらなぁと常々思う。
△▼△
駅に着き、早速家に向かおうとすると電話を知らせるアラームが鳴った。
画面には一郎さんの名前が出ている。何かあったのだろうか。
「もしもし、どうかしました?」
『悪い棗!急ぎの依頼が入っちまって、今から客のとこまで行かなきゃいけなくなっちまった』
一郎さんからの謝罪の言葉と一緒に小さく争ってる声も聞こえてきた。
『…から、今日のところはお前に任せるっつってんだろーが!』
『ギャンギャン騒ぐな低脳!そうやって自分の思い通りにならない時声を張り上げる癖やめた方がいいよ、馬鹿さが際立つから』
うん、二郎と三郎君だ。2人共一郎さんに対しては素直でいい子なのに、お互いのこととなると途端に啀み合ってしまう。
『棗?』
「あっごめんなさい!そうなんですね…それじゃあ返すのまた今度に…」
『いや、そこまで時間かからねーと思うから俺んちで待っててくれ。二郎か三郎のどっちかが家に残るから』
「一郎さんがそう言うなら…お仕事、頑張って下さいね」
『おう、あんがとな!じゃあまた後で…おいお前ら!いい加減に、』
そこで通話が切れ、これから起こるであろう一郎さんからの制裁に頭の中で2人に対して合掌した。本気で嫌ってる訳じゃないのにお互い素直じゃないから口を開けば悪く言ってしまうんだろうな…。でも、そんな関係も少し羨ましく感じたりもする。
どんなに喧嘩しても徐々に元通りになっていくのはやっぱり血の繋がりがあるからなのかな。
(私と寂雷さんとだったら、どうなるんだろう)
いつもバイトの事で注意は受けるけど、大声で怒鳴られたりした事はこれまで一切ない。
もし本気で寂雷さんの事を怒らせてしまってしまったら、果たして元の関係に戻れるのだろうか。
(…考えてもわかんないな。やめよ)
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