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昼食後の片付けを手伝い、三郎君が持っていたボードゲームで遊んでいる間にも時間は刻々と過ぎていき、いつのまにか出なければいけない時間になっていた。
「本当に大丈夫か?DVD今度家まで持って行こうか?」
「いえ!これくらい全然大丈夫ですよ」
「これでもバイトしてるおかげで力ついたんですよ」と腕を曲げて筋肉アピールをするがムキムキさは全く無く、一郎さんから笑われてしまった。
「今日は本当にありがとうございました。すっごく楽しかったです」
「こっちこそ久し振りにゆっくり話せて嬉しかったぜ。またいつでも遊びに来てくれよ」
「はいっ!」
そう言って頭を撫でてくれた一郎さんに自分でもびっくりするくらい元気に返していた。一郎さんパワーが注入されたおかげかな。
「棗さん、また一緒にボードゲームしましょうね」
「うん! …あ、良かったら前みたいにオセロしたいなぁ」
以前三郎君と2人きりだった時にしたオセロがとても白熱し、何回か対戦するも勝敗も同数で引き分け状態なのだ。
「確か引き分けのままだったよね」
「覚えていてくれたんですか…?! すっごく嬉しいです! 是非また対戦したいです!」
三郎君の反応を見る限り喜んでくれているみたいなので此方もとても嬉しくなった。
「あんなのの何が面白ぇんだか」
「…自分が負けっぱなしだからって僻まないでくれるかな? あっもしかして棗さんに負けた事今でも気にしてんの?」
「気にしてねぇし! あん時はすこぶる調子悪かっただけだっつーの!」
「でも二郎ってオセロすごく弱いよね」
「ああ?! お前次来た時覚えとけよ!」
「相変わらず仲良いなーお前ら」
そろそろお暇しようかな。一郎さんから借りたDVD入りの袋を持とうとすると、二郎から「駅まで送ってく」と奪われてしまった。
たった今まであんなに声を上げてたというのに…テンション?の差についていけなかった私は「えっあっありがとうございます」と敬語で返してしまった。
「っ! それなら僕が送って、」
「三郎、次は二郎に譲ってやれ。今朝そうやって決めてただろ?」
「…わ、わかりました…」
会話の内容がよくわからず、頭の中でハテナマークを浮かべていたら「行くぞ」と二郎が玄関を開けて出ていったので慌ててついて行く。
「それじゃあお邪魔しました」
「ああ、またな。体に気をつけろよ」
「棗さんっ近いうちにまた!」
一郎さんと三郎君に笑顔につられ、私も笑って手を振った。
△▼△
「そういえば、二郎もその漫画とアニメ好きなんだよね?」
二郎が持ってくれてる袋の中に収められたDVDを指差すと「お、おう…急に何だよ」と素直に疑問を投げかけてきた。
「二郎も一緒に話しできたら良かったのにな〜と思って。漫画の話になった途端出ていっちゃったからこれは読んでないのかなって思っちゃったよ」
「…気分が乗らなかったんだよ…それにいち兄、お前と会うのすっげー楽しみにしてたし……」
「? そ、そうなんだ」
一郎さんが私と会うのを楽しみにしてくれてたというのは嬉しいけど、それがどうして二郎が部屋を出て行ってしまうのに繋がってしまうのか。分からないけれど何だか深く追求してはいけない気がしたので、この話はとりあえず置いておこう。
「そういえば三郎君のボードゲームすっごく楽しかったね! 借金を返していくゲームなんて初めてやったよ」
「お前一番借金ヤバかったのに一抜けって運強すぎだろ」
「あれは自分でも凄いと思った」
宝クジに当選するマスに沢山止まってくれたおかげで1番に返済する事が出来たのだ。運を使い果たしてしまった様な気もするけど、皆で遊んだのが凄く楽しくて嬉しかったから全然気にならないや。
「また4人でやろうね!」
「…ん、そうだな」
はしゃぐ私に二郎は優しく微笑みかけてくれた。不良な見た目と口が少し悪いせいかよく周りから怖がられている。だけど本当はとても優しくて友達想いで、同じクラスの子達はそんな二郎の事を慕っている。他のクラスの人達もわかってるけど、遠ざかる人も多い。
彼の良いところをそんな人達にも知ってほしい、と思うのは私のわがままなのかな…。
それからしっかり駅まで送ってくれた二郎にお礼を言い、「それじゃあまた明日ね」と手を振ると「おー。バイト、頑張れよ」と手を上げて答えてくれた。
よし、二郎から応援の言葉も貰えたし今日もバリバリ働こう。
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