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仕事がある寂雷さんを見送り、食器の片付けと洗濯物干しを終えた私はこの休みの日をどう活用しようか悩んでいた。

(掃除は最近全部済ませてしまったし、一郎さんから借りた漫画も全部読み終わったしなぁ…)

というか今日漫画を返しに行ったらいいのでは?
ふと、貸してくれた時の一郎さんの事を思い出した。「返すのはいつでも大丈夫だからな。あっもし気に入った時はすぐ連絡してくれよ!その漫画アニメ化もしててDVD全巻揃えてるからそっちも貸すぜ!アニメだと途中から展開が変わるんだがもう最終回までずっと泣きっ放しで最期のシーンなんて号泣し過ぎて嗚咽が止まらなかったぐらいだから全然最高だ大丈夫だ」と早口かつ一度も噛まずに言い切った姿は流石ラッパーだなと思った。
そうと決まれば連絡、とスマホを手にした瞬間電話の着信音が鳴った。びっくりして落としそうになったが何とか落とさないよう持ち直し、表示された名前を改めて確認する。ラインでやり取りはしていたが電話がくるのは少し久しぶりかもしれない。

「もしもし、乱数君?」

『やぁやぁ棗っ!元気にしてた?』

きゃぴきゃぴとした可愛い声で問いかける乱数君に「はい、元気です」と答える。

『んも〜棗!敬語で話しちゃ、メッ、だよぉ!タメで良いって言ってるじゃ〜ん』

初めて会った時「僕の事乱数って呼び捨てでいいよ〜!敬語もなしね!」とフランクに話しかけられ、年上の人に呼び捨ては流石に難易度が高いのでせめて君付けで呼ばせて欲しいってお願いしたなぁ。

「あっごめんなさい! こうやってお話しするの久しぶりだったからつい…」

『ふふっいいよ、許してあげる! それで棗、今日って暇?暇だよね?最近青山通りに出来たケーキ屋さんすっごい美味しいらしいから一緒に行こっ?』

んんん相変わらずのマシンガントーク!と若干苦笑しながらも確かに暇だったし、私も近いうちに行きたいと思っていたので「うん、行きたい」と答える。

『やった!じゃあ13時にいつもの場所に集合ね!』

「うん、それじゃあまた後でね」

『まったね〜』と会話を終えた後、寂雷さんの方に“友達”と遊んでくるとラインを送った。寂雷さんと乱数君はとても仲が悪く、以前正直に「乱数君と会ってくるね」と伝えた時は「飴村君とかい? ……棗の交友関係にあまり口を出したくはないけど、彼と会うのは正直やめて欲しいな」と明らかに不機嫌になってしまうほどだ。
そんな事もあり、とりあえず彼の前で乱数君の名前を出すのはやめようと心の中で誓った。
するとラインの着信音が鳴り確認してみると寂雷さんから「あんまり遅くならないようにね」と返信がきていた。 少し罪悪感はあるが、乱数君とも久しぶりに会って話をしたい。

「ごめんなさい寂雷さん…!」

嘘をついて遊びに行く私をお許しくださいと
と心の中で呟くとまるで神に許しを乞う信者のような気分になった。





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