アカデミーに入学した私は学校に馴染めずすぐに不登校になった。
元々アローラ地方から引っ越してきたばかりでパルデア地方の文化に疎く、この地方特有のポケモンやテラスタルといった現象についても詳しくない。それを理由にやれ田舎者だのパルデアのポケモンも知らない人間が学校に来るなだの酷い言われようだった。
当時のアカデミーは治安も悪く、いじめというのはそう珍しいことでもなかったらしいと知ったのは暫く後のことだ。心配した両親が教師に相談するも何も改善されなかったので学校の教師に期待するのはやめてしまった。
そんなときである。一部のいじめられっ子たちがスター団という組織を結成していじめっ子たちと戦う為に立ち上がったという噂を聞いたのは。私は学校から逃げるように、またいじめっ子たちを見返す為に気付けばスター団の一員となっていた。
「まさか生徒会長がいるなんて驚きました」
「元、だけどね。今は別の人が生徒会長になったって聞いてるよ」
チーム・セギンのボスであるピーニャ先輩は私の言葉に苦笑した。
彼は確か私が不登校になる前、アカデミーの生徒会長を務めていた。入学式のときに生徒を代表して何か挨拶をしていたことを覚えている。とても厳しい人で、それ故に反感を買うことも多いようだったけれど。
真面目な性格が行きすぎた人、という印象だったから不登校になってしまった生徒も多いスター団のボスの一人が元・生徒会長であることが私には予想外だったのだ。
「ナマエくんは確か一年生っしょ? スター団に入りたい、なんて言い出したときは驚いたけど」
「はい。元々はアローラ出身で……自分たちとは違う人間がクラスに混じっていることが気に食わない人がいたんでしょうね」
「ああ……」
アカデミーには様々な生徒が通っている。私の祖父と同じくらいの年齢のお爺さんが制服に身を包んでいる姿なんてさほど珍しくもないし、ポケモンについて学ぶために子供と一緒に入学してくる母親もいる。
だけど自分たちと違う部分を持った相手が気に入らない、という生徒はどうしてもいる。出身地が違う、ポケモン勝負が弱い、性格がムカつく、優等生で生意気、自分に反抗的な態度だから許せない。そんな理由で悪口や暴力に走る生徒も決して少なくない。
そしてターゲットになるのは大抵が自分より弱そうな相手、言い返してこなさそうな相手、仮に言い返してきても勝てそうな相手が殆どだ。
ピーニャ先輩にも心当たりがあるのか納得したように頷いた。
「私、学校には行きたくないんです。だけどずっとこのままなのも良くないと思って、スター団の一員として私をいじめた人たちや助けてくれなかった先生を見返すことが出来たら変われる気がしたから」
「要するに変わるきっかけが欲しかったんだ?」
「……やっぱりダメですか?」
「いや、別に? 変わろうと思って自分で一歩を踏み出せる人なんて多くないっしょ。それが出来るナマエくんのこと素直にすごいと思うし、スター団としてもそういう人を拒む理由はないよ」
人に誘われてスター団に入ってきてもそれ以上自分から行動を起こせない子はいるし、とピーニャ先輩は続ける。決してそれが悪いわけではなく、いじめなどで心が弱ってしまっている人も多いから仕方のないことではある。
いじめの被害者でありながらいじめに立ち向かおうとしているマジボスやチームを取り仕切る五人のボスたちのほうが本来は異常なのだ。私は彼らが立ち上がってくれたから変わろうと思えたのだけど。
「スター団の存在があったから、私は救われたんです」
だから自分も彼らの隣で戦いたいのだ。
title:icca