03

ついて来いと言われ、言われるがまま赤毛の後ろを募る不安を噛み締めながらついていく。
どこに行くんだろう。


無言のまましばらく歩いていくと、たどり着いたのは宿屋さんで。
え、宿?なに、どゆこと?と頭上にはてなマークを浮かべていると躊躇なく宿屋さんに入り、階段を上がって行く赤毛に私もついて行くが、本当になんの用事なの?と無言すぎる赤毛の後ろ姿を見て眉間に皺が寄った。


「…入れ」

「あ、うん…?」


襖を開けられ素直に入ると、後ろで襖の閉まる乾いた音が聞こえ振り返るとすぐ近くに赤毛君がいて驚いた。
わ、と声をあげてしまって、すぐに謝ると腕を掴まれた。


「へ、な、何、?」


ま、まさかこの密室で私を殺す気…?!
そんなのダメだよ宿屋さんに迷惑がかかるし!いやいやそうじゃなくてデコピンの仕返しで殺すとかどんだけ根に持つ人なの?!いや殺されるって決まったわけじゃないけど、!
ごめん謝るからとりあえず手離してぇぇえええ


「…なぜだ、お前に触れていると守鶴が大人しい」





は?


「え、しゅ、何?」

「…!、ぐ、う、っ」

「え?!なにどしたの?!」


腕を捕まれまっすぎこちらを見ながらよくわからない事を言ったと思ったら急に苦しみだした赤毛くん。
いや大人しいって何が?!なんで急に苦しんでんの?!なにこの子情緒不安定なの?!

あわわわわ、とあたふたしこの状況どうしようと頭を抱えてうずくまる赤毛くんの背中に触れると思い切りはじき返された。
なんなんだこの子ォォオオオオ!


「ちょ、もう、どうしよう…!落ち着いてよとりあえず…!」

「我愛羅?!、お前!我愛羅に何を…!」


突然部屋の襖があき飛び入って来たのは死の森で会った砂隠れの二人。
苦しむ赤毛くんを介抱しながらこちらを睨み、ここで何してんだと怒鳴られるが、私はただ連れてこられただけで勝手に苦しみだしただけなんですけど?!

介抱していた二人の手も弾き、荒い呼吸を繰り返している赤毛くんになぜか恐怖の眼差しを向けている砂の二人。
チームなのになんでそんな怖がって何もしないの?!と、私はどうやったら落ち着かせられるか考えた。


「…あ!」


そういえば!と苦しんで誰も寄せ付けないような目を向けている赤毛くんに思い切って飛びついた。
さっき私に触れてたら落ち着くとかなんとか言ってたからもしかして、と抱きしめたのだ。

ぐ、と力を込めて今度ははじき返されないように抱きしめてみると、思った通り、私を押し返そうとしていた赤毛くんの力は抜け、そのまま大人しくなった。


「…お、落ち着いた、?」

「…」


もうそろそろ離してもいいかな、と腕の中にいる赤毛くんをチラリと見れば目を瞑っていた。
ん?と思いもう一度よく見てみるも目を開ける気配がないので、もしかして強く抱きしめすぎて窒息死しちゃった?!と内心焦っているとスースーと静かに息をするのが聞こえた。
……え、これって


「ね、寝てる?…そんな急に寝る?」






……






「すまないな、つきあってもらって」

「いえ、いいんです」

「ったく、驚いたじゃん、我愛羅が居ねえって探しに行って戻って来たらオメーが居てよ、」


私の腕の中で眠ってしまった赤毛くんは我愛羅君と言うらしい。そしてこの金髪少女はテマリさん、隈取りさんはカンクロウさん。この三人は兄弟で、我愛羅君は末っ子。ナルト君と私と同い年だと言う。

私の腕の中で眠ってしまった我愛羅君の頭を膝に移動させて、私はこれまでの経緯を二人に話すと、二人も我愛羅君の事を話してくれた。
どうやら我愛羅君の中には守鶴と言う尾獣がいるらしく、私に触れていると落ち着くと言ったのはナルト君が私に懐く理由と同じなんだと納得。

守鶴を持つ人柱力は眠ると精神を奪われそうになる為、ほとんど眠れないのだと言う。私に触れている事でその守鶴が落ち着き眠ってしまったんだろうという結論に至った。

それにしても、人柱力って言うのはどこの里でも嫌われ者なんだな。


「…、」

「あ、起きた。おはよう我愛羅君」

「我愛羅、」


見た目より柔らかい赤毛をもしゃもしゃと弄りながら二人と話していると、微かに我愛羅君の頭が揺れた気がしたのでそちらを見ると閉じて居た目がうっすらと開いた。

我愛羅君が起きたと二人に言うとすかさずテマリさんが我愛羅君に声をかける。
流石、やっぱりお姉ちゃんと言うのは弟の事をよく心配するもんなんだなあ、なんて思いながらも起き上がろうとする我愛羅君の体を支えてやる。


「…俺は、」

「眠ってたんだ、我愛羅…気分はどうだ」

「…そうか」

「………あの〜、私そろそろ帰りますね」


寝起きでボーっとしているのか、テマリさんの言う事に曖昧に答える我愛羅君にカンクロウさんも寄り添う。

なんだか素晴らしい兄弟愛を目の当たりにし羨ましくなってもう暫く見ておきたかったけど、そろそろ私も帰らきゃと、立ち上がり三人にさよならを言った。