02

カンクロウ君と別れてから、すでにオレンジ色に染まっていた空に慌てて夕食の支度をし、今日は珍しく早く公務を終わらせたという我愛羅君、そしてシンキ君と三人でテーブルを囲んだ。
カンクロウ君に背中を押してもらって考えた結果、我愛羅君とシンキ君が揃うこの夕食の時に話を切り出そうと考えたんだけど、やっぱりいざとなると中々切り出せず、カチャカチャと食器と食器がぶつかる音がやけに大きく聞こえた。

やばい、言え、言うんだ私!
夕食の準備をしながら何回も頭の中でシミュレーションしたじゃないか!

こう切り出して、ああ言って、こう纏める。
何回も何回も、予行練習を重ねてきたんだから大丈夫だと自分に言い聞かせて、良しと心の中でグッと決心する。
それでも極度に緊張している自分を悟られないようシミュレーション通りの切り出し方で口を開こうとした、その時だった。


「名前、ひとつ聞くが良いか」

「……へ?!なん、何?」

突然、我愛羅君がテーブルにある料理から私の方へ真っ直ぐ視線を寄越し口を開いた。
気合いを入れた直後だったので思わず声が裏返ってしまって、それを誤魔化そうとして喋った言葉も完全にどもってしまった自分が怨めしい。

「き、聞きたい事?」

スマートに話を切り出す予定だったのに、動揺しまくりのまま我愛羅君の話の続きを促す。
まさか「今日の料理は隠し味がある気がするけどそれはなんだ?」とか言うわけでもあるまい。
隠し味なんてもの、仕掛ける程料理は上手く無いんだし。って言ったらちょっと悲しいけど。

なんだろう、なんて動揺した頭で考えても答えは出なくてジっとこちらを伺ってくる我愛羅君から思わず目を逸らし「何でしょう」と小さい声で言った。


「名前、最近お前の様子がおかしい気がするんだが、何かあるのか」

「へ?!」

まさかの様子がおかしい発言に、更にパニックになる。
この十日間、どうやって妊娠を伝えればいいのか悩んで、無意識に我愛羅君への態度がおかしかったんだろうと思うと、脳内は「アチャー」
状態で。咄嗟に「何も無いけど」なんて言葉が口をついて出てしまった。


「……そうか。お前が何か話したい事があると、カンクロウが言っていたが、お前の様子と、その話とやらは何か関係があるのか」

「え?!」

あんの隈取りヤロぉおおおおお!
余計な事言いやがってぇえええ!

つい数時間前に言った事をもう報告済みだなんて!どんだけ仕事が早いんだよ!部下なら褒めてるよ!めちゃくちゃ褒めてるよ!

確かに今なら言えそうだとは言ったけど、私にも心の準備ってもんがあるもので、こんな突然の展開望んでないのに!
我愛羅君を見れば、話の続きを待っていて、シンキ君もまた食事の手を止めてジッとこちらを見ていた。
……ウソデショ。


「いやあ、あの、話っていうか、えっと」

なんだこれは。
こんなの私がした予行演習には無かったけど。全然無かったけど。
これも全部あの隈取り野郎の所為だと思いつつ、言わざるを得ない雰囲気につい数分前に入れた気合いをもう一度心の中で入れる。
いつかは言わなきゃいけない事なんだからと、手を膝の上で拳に変え、スッと息を吐いた後、私は口を開いた。



「あの、に…妊娠、しました……というご報告、です、」