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「あ、我愛羅君だ」
「父ちゃんもいるじゃん。あ、シカダイの父ちゃんもいるってばさ」
「んー?ああ、ほんとだ。カンクロウの叔父ちゃんもいる」
さあ帰ろうかと、カードをポケットに仕舞い、三人で歩きだす。
とりあえず俺ん家に帰ればいいよな?と提案したシカダイ君に賛成したところで、向こうから来る人達に気づいて立ち止まった。
夕陽に染められながら歩いてくる四人に手を振ると、いち早く返してくれたのはナルト君。
まだ距離は少しあるので表情さえ伺えないが、多分いつもの笑顔なんだろう。
「父ちゃん、ほんっとガキみてえだってばさ」
「えーいいじゃん、可愛くって。あんなに手、振り返してくれるおじちゃんなかなか居ないよ?」
「可愛いってなんだよ。火影だぜ?もっとクールに振る舞えないかねえ、あの親父は。サスケさんとか我愛羅のおっちゃんみてえにさ」
「我愛羅おじちゃん、いつも土産が微妙だけどそれでもいいのかよボルト」
「ホラ二人とも、聞こえるよ」
ケラケラと笑いながら、やってくる四人に聞こえないよう少し小声で可愛い悪口を言う二人が微笑ましく思うが、小声と言ってもそろそろ聞こえてしまうんじゃないかと制止した。
お土産が微妙とか言われてるのを我愛羅君が聞いたらショックを受けるだろうか。受けるだろうなあ。
今度木の葉へ来る機会があったら、お土産は私が選んでみよう。
……
「名前、すまなかったな。随分待たせた」
「いんや、シカダイ君もボルト君も、凄く良くしてくれたからあっという間だったよ。…ナルト君、シカマル君。息子さん達にとてもお世話になりました。ありがとうございました」
「テマリが急用で出ちまってて悪かったな。まあ、何も問題無かったみてぇで良かった」
私達のところまで来てくれた四人と軽く言葉を交わし、礼も述べる。
ナルト君はテマリちゃんの事に関して、顔の前に手を合わせて平謝りを続けてくるので、ボルト君達と居て本当に楽しかったからもう謝らないで欲しいと告げた。
それからというもの、飯にでもするかというシカマル君の一言によって、ボルト君シカダイ君を含む全員で食事をする事になった。
大人組の誰からともなく漏れた、酒が飲みたいという要望も叶えられ、なおかつ未成年でも気軽に行ける食事ということで焼肉へ行く事が決定。
ボルト君は拳を上げて凄く喜んでいた。
こんなに大勢でご飯を食べるのはいつぶりなんだろうと、焼肉屋に到着し、少し騒がしい位の周りに耳を傾けながら目の前のいい匂いを放つお肉を頬張る。
ああ楽しい。
砂隠れの、今となっては自分の家になった風影邸で、我愛羅君、カンクロウ君、シンキ君との食卓も勿論良いものだけど、こういう賑やかで、この人達の仲の良さが垣間見える食事もとても好きだ。
中でも賑やかさの中心にいるナルト君は、中忍試験後というのもあってか笑顔がとても澄んでいて、昔のナルト君を知っているから思う所もあるだろうけど皆がこの人について行くのが分かる気がした。
砂隠れと木の葉隠れ、悲しい思い出もあるこの二つの里だけど、今となっては双方良い関係を保てているようでとても嬉しい。それは忍五大国全部に言える事だけど。
これからもずっと平和が続いたらいいのになあ、と久しぶりの平和ボケが頭を巡って、気づけば浮かんだ歌を小さく口ずさんでいた。
「君が代〜は〜」
「んー?なんだその歌。砂隠れで流行ってんの?」
「日本のこっ、……えっと、昔誰かに教えて貰った歌だよ、なんの歌だろうね?」
「ふーん?、…あ!おいシカダイ!その肉俺が育ててたんだぞ!」
「お前が余所見してっからだろ」
また私は…。毎度毎度ため息が出てしまいそうになる。学習能力が無い。
シカダイ君のファインプレーでボルト君の意識が肉にいってくれたから良かったものの、
これでは私を知らない人とウカウカ会話もできない。本当に気をつけよう。
後でお礼言っとこ。
「それにしても、我愛羅がやっと結婚かよ」
「俺は凄え嬉しいってばよ。良かったな我愛羅」
「ああ。待った甲斐があったというものだ」
突然始まった結婚の話に、少しばかり恥ずかしくなる。
我愛羅君は私のところに来た後からずっと、私の事を想ってたって、カンクロウ君が言ってたっけ。
そう考えると顔が熱くなってきた。
「あ!名前の顔が赤くなってるってばさ!こいつ照れてやがんのー!見せつけてくれちゃってー!」
「な…!て、照れてねーしゅ!!」
「ぎゃはははは!しゅってなんだよ!図星だろー!」
「こんのクソガキ…!」
ぎゃあぎゃあと、途端に騒がしくなった私達をため息を吐きながら制止したのはシカダイ君で。
大人組のみんなは静かに我愛羅君をからかっている。
そんなこんなで宴もたけなわ、楽しかった食事会も終わりを迎えて、木の葉組と砂隠れ組に別れた。
別れ際にボルト君から、今度木の葉に来た時は俺のダチ紹介してやるよと嬉しい事を言われ、次に木の葉へ来る事が一つの楽しみになった。
それを聞いていたナルト君が、その前に祝言で俺達が砂に行くんだと言っていて、ボルト君は初めての砂隠れに目を輝かせていた。
辺りはもう真っ暗で、街の明かりが凄く綺麗。
相変わらず静かな我愛羅君と、相変わらずよく喋るカンクロウ君に挟まれて宿までをゆっくり歩く。
ポケットに手を入れて、交換してもらった我愛羅君のカードを触りながら、帰ったら一番よく見える所にでも貼っておこうかと思った。
ああ楽しかった。