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扉の向こうには、私がこっちの世界にきてから知り合った人達が沢山いて、勿論話した事無い人達もいるけど、私が一方的に知っている面子が揃っていた。
我愛羅君の為にわざわざ来てくれたのかと考えると感慨深いものがある。

バキさん率いる砂の忍達だったり、我愛羅君と一緒に中忍試験を受けていたナルト君率いる同期の人達とその子供達。
五代目、六代目の火影である綱手様とカカシ先生や今の影達。
それにまだ戦争中に影を努めていた人達もいて。
私からするとオールキャラ大集合って感じで、心が踊る様な感覚に陥るが、不思議と緊張はなかった。


「我愛羅、名前、こっちまで来るじゃん」


カンクロウ君が部屋の窓際から、ひときわ大きな声で呼んできて、みんなの祝いの言葉を受けながらそちらまで二人で歩いていく。
両端に避けてくれるみんなの間を一歩づつ歩いていると、ヴァージンロードを歩いているみたいでなんだかもう泣いてしまいそうになる。

窓際まで行くと、カンクロウ君が喋り出す。
どうやら司会をしてくれている様で、辿々しく挨拶をすると会場が笑いに包まれる。
お前ら笑うんじゃねー!と顔を赤くしながら叫んだ後、一つ咳払いをしてから私たち二人に何か喋れと振って来た。


「今日は皆、遠路遥々ありがとう。砂の者達もそうだが、今日集まってくれた他里の皆がいたからこそ、今の俺がある。本当に感謝してもしきれない。今日は楽しんで欲しい。……名前、お前も皆へ挨拶を」

「あ、はい。…ええっと、初めましての方もそうでない方も、改めまして名前と申します。この度は遠いところから、その、ありがとうございます………えっと、な、仲良くしたいです!よろしくお願いします!」


予想はしてたけど、突然の挨拶に、さっき里の人達の前で喋った時と同じ様に頭が真っ白になった。
それでも我愛羅君が背中にそっと手を添えてくれたので、なんとか挨拶をし終えると、一つの大きな笑い声が聞こえて来てそちらに視線を向ける。
その先にいたのはなんと綱手様で。豪快に笑うその姿は私の知っている綱手様そのものだった。


「風影!なかなか面白い子を捕まえたな!幸せにしてやれ!名前とやら、お前の言う通り仲良くしようじゃないか!木の葉に来た時は私が直々に案内しやろう!」


腰に手を当てて、これまた豪快に話す綱手様を見て思わず笑顔が溢れる。
すぐ遊びに行きます!と返事をしたところでカンクロウ君がまた仕切り始めた。


「ゴホン、…まあ今日は我愛羅の言う通り楽しんでくれ!久しぶりな面々もいるだろう、飲んで食って宴会じゃん!」


拳をあげて、まさにイエーイ!とでも言うかの様なカンクロウ君の一言により、会場が騒がしくなった。
祝言と言うよりは同窓会みたいだななんて思いつつ、でもみんなが楽しそうで何よりだと顔を綻ばせていると、我愛羅君から声がかかった。


「名前、皆のところを回る。お前を紹介するとしよう」

「わ!う、うん!」


たくさんの円卓をこれから一つずつ回って行くというのを聞いて、少しばかり緊張した。
だけどこんなに沢山のキャラクター達とお話しできる機会なんてもう二度とないかも…と御都合主義の考えが頭を巡り歩き出した我愛羅君の後ろを着物の裾に気をつけながらついて行く。


最初は言わずもがな、影達の集まる席へ。
現役の影達と、先代の影達がみんなここのテーブルに集まっていて、遠くから見ているとなんだか威厳があって少し重い空気なのかななんて思ったが、繰り広げている会話は結婚云々の話で。
ナルト君に引き続き、我愛羅君もついに結婚したという事で、次は一体どの影だろうなと、もしもの話をしていた。
そんな会話の中に入り込み、我愛羅君の紹介を受けながら一人一人丁寧に挨拶を済ませると、肩を誰かに叩かれて振り向く。


「あ、カカシせん、……六代目火影様、」

「名前ちゃん久しぶりだねえ。まさか我愛羅君とそんな関係だったなんて。驚いたよ」

「あ、いや、以前お会いした時はまさかこうなるとは、私も思っていませんでした」

「そーお?ま、これからもよろしくね。奥サマ」


肩を再びポンっと叩かれ、にこりとして見せるカカシ先生に卒倒してしまいそうだ。
奥様だなんて、カカシ先生が言うとなぜこんなに卑猥に聞こえるんだと思ったのは内緒にしておこう。
こちらこそよろしくお願いしますと返した後、綱手様の一言によりこの席にいる皆で乾杯をする事になり、恐縮ながらもその綱手様にお酌をしてもらった。


「風影、名前、おめでとう!乾杯!」

「皆、ありがとう」

「ありがとうございます!」


キンッとグラスがぶつかる音と共に、一斉に祝いの言葉をかけられ頬が緩む。
そのままグラスの中身を一気に飲み干すと、どこからともなく、お前いける口だなと声をかけられたので、お酒は大好きですと返しておいた。


そこから今度はバキさんや砂の忍達がいる席へ寄り、自己紹介も含めながら挨拶を交わしていく。
バキさん、正装してても顔は半分隠してるんだ。カカシ先生もマスクしてたけど。
ここにはカンクロウ君や、さっき扉の前にいてくれていた二人の忍もいて、その人達以外にも多くの人達がいる。
我愛羅君は部下からもこんなに愛されていて、幸せ者だな。


「名前、我愛羅様と二人でこれからお互い支え合っていって欲しい。何かあれば我々になんでも言ってくれ。砂の里全員が家族だ、これからもよろしく頼む」

「バキさん、そんな事言われると泣いちゃいそうです」

「我愛羅、お前が風影になった時もそうだが、お前の結婚は兄として嬉しいじゃん。それに名前、まあ、なんだ、いつも口が減らねえお前だけどよ、今日は、あー、…綺麗じゃん」

「カ、カンクロウ君…ありがとう」

「本当に皆、ありがとう。こちらこそ、これからもよろしく頼む」


カンクロウ君が我愛羅君の肩を抱き、次々とお酒を煽りながら本当に嬉しそうにしていて、いつも口が減らない発言に少し引っかかるものもあるけど、私もこの人達の家族になったんだと感じて笑みがこぼれる。
我愛羅君を慕っているであろう忍の皆は、風影様ー!と言いながら泣いていて、バキさんに泣くなと言われていた。

最後に乾杯を皆としていると、どこからか名前ー!と呼ばれる声がして、その声の主をキョロキョロ探してみるも見当たらない。
んん?気のせいかな。

首を傾げながら、持っていたグラスに口をつけてグイッとまた一杯お酒を飲むと、突然顔を覗き込まれて吹いてしまいそうになった。


「ゲホ、…!びっくりしたー!ボルト君かあ」

「呼んでも気づかねえんだもんなあ、名前、俺らんとこにも早く来るってばさ!」

「いっぱい人がいるから分かんなかったよ〜、………わ!」


ぐいっと腕を引かれ、危うく着物の裾を踏んでしまいそうになるが、なんとか自分で少し持ち上げてそのままボルト君についていく。
我愛羅君もそれに気づいてくれて、砂の人達に軽く会釈をしてからついてきてくれたようだ。