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マンションを出てとりあえずご飯食べようよと出かける直前に昨日と同じ帽子を被せた我愛羅君に言いながら最寄りの駅まで向かう。
家の近所にはコンビニやスーパーくらいしか無いので、今日は服も売っているショッピングモールに行く予定だ。
「靴も買わなきゃね」
今はまだ気温は暑いくらいだが、学生はもうすぐ夏休みも終わり所謂二学期が始まってしばらく経つ。
もうすぐ涼しい秋がやってくるのだ。
いつまでここにいるのかは分からないがスニーカーくらいは買っておいてもいいだろう。
ん〜っと伸びをしながら今日天気いいねと声を掛けようとすぐ横にいる我愛羅君に顔を向けた、が、いない。
…いない!?
「って、おぃいいいいいいい!」
慌てて辺りを見回し見つけたと思ったらなんと人の家の屋根。
やめてよ!そんなとこ登らないで!と大きめの声で呼びかけると、小さく印を結ぶのが見えた。
と思ったらザア、と言う音と共に我愛羅君の姿が消え、一瞬で私の横にこれまたザア、といいながら現れた。
これが瞬身の術…!ナマ瞬身の術!
いやいやいや、関心してる場合じゃない。
「我愛羅君!一瞬でそんな移動するとかやめてよね!びっくりしたし!そんな事する人この世にいないから!もうだめ!絶対!」
「…そうか」
我愛羅君が普通だと思ってた事でもこっちの世界だと普通じゃない事もあるだろうから、私に、歩いて、付いてきてね!と念押しておいた。
仕方ないか。と呟く我愛羅君を無視し、たどり着いた駅で切符を二人分買い一枚を渡すが電車の乗り方なんて知らないだろう。
電車とか知らないよね?と一応聞くと頷いたので改札をくぐる際私が先導し手本を見せる。
同じように改札をくぐってきた我愛羅君に覚えておいてねと言いながらホームまで向かいすぐに来た電車に乗り込む。
土曜日だけどそんなに混んでない、良かった。
それにしても、ほんとになんでも教えないといけないとなると大変だ。まあ誰よりも大変というか心細いのは一人で知らない世界に来た我愛羅君だし、うちにいて良いって言ったのは私だから頑張らないと。
凄いスピードで過ぎて行く車窓からの景色をジッと眺めている我愛羅君を見ながらほんとにあの我愛羅君が目の前にいるんだなと今更、改めて感じた。凄い事だぞこれは。