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「我愛羅君何食べる?」

「…親子丼」

「お、いいね。じゃあ私もそれ〜」


ショッピングモールがある街の最寄り駅まで来た私たちは駅からすぐの定食屋さんに入り、朝食は食べそびれた為本日最初の食事になる昼食をいただく。

初めて見る食事を取る我愛羅君に釘付けになりそうだがそこは抑えて自分の分である運ばれてきた親子丼を平らげた。




「この先さあ、お買い物する場所だから人が結構多いと思うんだよね、だからほんとに逸れないようにしようね」

定食屋を後にしショッピングモールまで辿り着いた私達は割と多い人の波を避けながら先ずは忘れちゃいけない下着を買わなければと足を進め向かったのはこういう大きなショッピングモールには必ずと言っていい程あるお店。
レディース、メンズ、キッズの洋服は勿論、下着も揃う赤いブランドロゴが有名のお店だ。

ここで全部揃うんじゃないかな、シンプルな物なら我愛羅君が帰ってしまった後で私もTシャツとかなら着れるし。


「我愛羅君ほっそいからなあ、」

とはいってもキッズって感じでも無いだろうし。私からしたらキッズだけど。
下着はボクサーパンツの一番小さいサイズとかでいっか。あとTシャツとかパーカーとか上に着る系はメンズで良いな。ラフな物で充分だろう。

うーんと唸りつつ、我愛羅君の様子も見つつ、目ぼしい物をポンポンとカゴに入れて行き、後はズボンだけ。レディースの小さいサイズとか履かせてみるかと店内をウロウロし3着程持って試着させる。

大人しく試着してくれたおかげでサイズもすんなり決まった。

結局、これからくる肌寒い季節を見越して、ロンTを2枚、パーカーを1枚、デニム1本、黒とエンジ色のチノパンを1本づつ。下着を何枚かと部屋着、そして私が着てみてほしいと思った白いコットン素材のシャツを購入。

Tシャツとかは私のやつでも着れるだろうし、洗濯が間に合わなかったらそっちを着てもらおう。
まあ、これだけありゃ充分でしょ。と重くなったカゴをレジに持っていき支払いを済ませ、店を後にした。

服以外の生活用品は特に要らないな。
あ、でも帽子は一つ買って今度からはそっちをかぶって貰おうかな。

「我愛羅君、あと帽子屋さんだけ行って帰ろう」


隣にいる私の帽子を被った少年に、お古だと嫌でしょ?と笑いかけると
ふと我愛羅君は足を止め、手のひらサイズのぬいぐるみをジっと見つめていた。

あ、クマのぬいぐるみ。
小さい頃持ってたよね確か。懐かしいのかな。

「それ、欲しいの?」

「…」

我愛羅君が見つめている横から手を伸ばしそのクマを持ち上げマジマジと見てみると、原作に出てきた幼少期の我愛羅が持っていた物によく似ていて、大きく違うのはサイズ感。
キーホルダーの金具が付いていて、これだと持ち運びも便利だろう。

「ちょっとまっててね」


本当はお父さんにもお母さんにも愛されていた我愛羅君だけど、それに気づくのはもっと先、風影になった時。
それまでは捻くれた少年として育っているけど、私の部屋に来たのも何かの縁だ。
帰るまでの間私が目一杯愛してあげようではないか。
このクマをプレゼントするのはそれの第一歩。

早々に会計を済ませ、包みも断りそのまま我愛羅君に手渡す。
少しだけこちらを向き、驚いた表情を見せたが直ぐに手渡されたクマを見つめて


「……ありがとう」


そう言った。




クマをプレゼントしてから、帽子と靴を買いに行き、ついでに小さめのショルダーバッグを購入して家路につく。

手ぶらの我愛羅君がクマをずっと手に持っていたので買ったばかりのショルダーバッグを袋から取り出し、それにクマを付けた。


「外に出かける時はそのカバンを持って行けばいいからね。」

「……」


…ああ可愛い。
ずっと居てくれたらいいと思ってしまいそうになるがそれではダメだ。彼には彼の世界があって、交わることなんてない。
大人になった我愛羅君も見てみたいけど、そうなる前には帰ってしまうだろう。

帰る方法もなにも分からないが、それでもいつかは帰る日が来るんだ、という寂しさが溢れてきたのでそれを消すように今日の晩御飯はなににしようかと声に出した。