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不安だ、とっても。

今日から仕事なんです。新入社員の不安なんて比じゃないくらい今私にのしかかってくる不安の原因。
そう、それは3日前、金曜の晩に突然現れた、私が読んでいる漫画に出てくるキャラクター我愛羅君。しかも1番厄介な年頃の。

一人家に置いて仕事に行くのが不安すぎる。
寂しいかな?とかではく、何かやらかさないかな?の不安である。


「我愛羅君、私はこれから仕事へ行くんだ」

「出かけるのか」

「ま、まあそんな感じ」


スーツへと着替えながらあまり寝ていないんであろう我愛羅君に言うと、何日程かかるんだと聞いてくる。

いやいや、え?何日?何言ってんの?
もしかして仕事とは忍者の任務みたいなものだと思ってる?
違うよ?違うからね?


「あの、今日の夜には帰ってくるよ?」

「…そうか」


家の物はなんでも好きに使ってくれていい、ただ今日は家でおとなしくしといて欲しいと願い出るとそこは快諾してくれた。
鍵も一つしかないし、オートロックの説明とかも全くしていない。
ドアが開かない!って壊されても困る。
我愛羅君が持ち歩く用にお金も用意してないし…。

ただ何時間も一人にするのは初めてで不安なので、私はサブとして使っている携帯を渡し、電話の使い方のみだが軽く教え、困った事があったら電話するように!私からも電話するから出るように!と叩き込んだ。

じゃあ、そろそろ行くね!とスーツに身を包み、ヒールを鳴らしながら私は仕事へ向かった。

まじで大丈夫かな。
多分、言うことは聞いてくれるし、一応この世界にとって異分子であるということは分かっているみたいだから、無闇に外へ出てなにかしでかすなんてことは無いだろう。

私が不安なのは一つ。

部屋の中を弄りまくって、ナルトの漫画が見つかったりしないかと言うこと。
我愛羅君が来たのも突然だし、彼が寝ている隙に取り出して袋に入れて出掛けた際にでも友人の家に置かせてもらったりするかとも考えたが、思えば彼はなかなか眠れない子だった。
本を取り出し持ち出すタイミングが全くない。

最初出会った時に言いづらいと思いナルトの事は伏せてたけど、
これが今になって、って言ってもまだ3日程しか経ってないけど、足枷になっている。

裏切られるのが非常に嫌なのであろう我愛羅君にどんな理由があろうと嘘付いてたってバレてしまったら……
信用してくれてるのかはまだ分からないけど、でも…

考えただけでも人生に幕を閉じそうだ。


「それだけは絶対嫌なんですけど」


ま、まあナルトの漫画は扉付きの本棚の中だし。
よっぽどの事がない限り、人の部屋に興味も無さそうな我愛羅君が開ける事は無いだろう。


「昼に一回電話してみるか」


この不安が後5日続くのかあ。

ああもう帰りたい。