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ああ、普段なら部長と二人でお昼なんて、しかも奢って貰えるなんて凄い嬉しい事なのに。

部長とお昼ご飯を食べに会社の外にあるカフェに来て、テラスでの昼食。
部長は食事をしながら仕事の話だったり他愛もない話をしているが、私は今か今かと席を立つタイミングを見計らっているんだけどなかなか話が止まる気配がなく右から左の状態で話を流してしまっている。ごめん部長。


「おーい、名字、聞いてる?」

「あ、はい、えと、何でした?」


もう一回言う。ごめん部長。
全然聞いてなかった。
もうだめだ。もー、と年甲斐も無く項垂れるというか呆れている部長を流し見したところで一度席を立とう。我愛羅君に電話して、家で大人しくしてくれている事さえ分かればこの後の仕事も頑張れる。


「ごめんなさい、ちょっとお手洗い行ってきます」

「ん?うん、行ってらっしゃい」







ほんと優しい部長で良かった。
話もろくに聞いてないし突然席を立つなんて、頑固オヤジなら怒ってただろう。
とにかく我愛羅君に電話、電話。

お手洗いで電話しようと、テラス席から店内に入り少し店の奥にあるお手洗いへ直行しポケットに潜ませていた携帯で、我愛羅君に持たせたサブ携帯に電話を掛ける。
頼む大人しくしておいてくれ。


「あ、我愛羅君?」

(……)


呼び出し音が途切れ電話に出てくれたと思ったが呼びかけても返事が無い。
あれ、教えたよね?返事して?
おーい、おーいと何回も呼びかけるが返事が無い。只の屍のようだ。
…とか言ってる場合じゃない。
なんで返事してくれないのよ〜〜…。

こっちの声聞こえてないのかな?とかなんとか思いながらフと目の前の鏡を見ると、私の上斜め後ろにとんでもない物が浮いている事に気付いた。


「げ!!!!!!第三の…!!」


第三の目じゃん!と思わず言いそうになってしまったが電話は切っていない為、すんでのところで留まった。
でもなんでだああああああ!!

近くに居る?!そんなのあり?!
てかずっと見てたの?!!


「我愛羅君!なんか砂で出来た目が私を見てるんだけど絶対我愛羅君の仕業だよね?!」

(…気づいたのか)

「鏡みたらビックリしたよ!!てか今ちゃんと家に居るよね?!」


第三の目がどのくらいの距離まで飛ばせるのかは分からないが家から会社までは電車で三駅程。そんなに遠くまで飛ばせ…ないよね?
漫画ではいつも近くで出してた。
…てことはやっぱり外に出てきてるってこと?

家だよね?!の問いに返事をしてくれないし、そして何より電話に耳を澄ませてみるとガヤガヤと明らかに家では無い雑音が聞こえた。



あんのやろぉぉおおおおお