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「しゃー!レッツゴー!」

「…」

「ゴー!」


晴天。雲ひとつない晴天。旅行日和。我愛羅君と旅行日和。
こんなに晴れてて私はワクワクしてるけど我愛羅君は相変わらず無表情。
ま、仕方ないか。そんなもんだよねこの頃の君は。
私だけでもテンションブチ上げマックスで行こうじゃないの!


レンタカーを借りて我愛羅君を助手席に乗せ走りだす、休みを存分に使った二泊三日のプチ旅行へ出発。
どこへ行こうと迷った結果、車で数時間はかかるが都会の喧騒から離れた山の奥。言うなれば木の葉の里の様な緑が多くて穏やかな田舎町へ決めた。
あまり人が居ない方が、我愛羅君ものんびり周りを気にすること無く過ごせると思った。


「ねえ、我愛羅君がいた世界のこと、改めて聞かせてよ」


車を運転しながら静まり返った車内で我愛羅君に話しかける。
我愛羅君が来てからのこの一週間、あまり会話も無かったので今回の旅行で少しでも我愛羅君との距離が縮めばいいなって。我愛羅君の過去を知っている私からしたら安易で平和ボケした考えだけど。
我愛羅君の口から過去を聞いて、そこから何か私がしてあげられる事があればしてあげたい。


「俺がいた世界は憎しみに満ち、争いが耐えない平和とはかけ離れた世界だ」

「…我愛羅君は平和だなって感じた事はないの?」

「俺は里の脅威だった。まず俺がいる事で平和など、周りの人間が思う事は無い。そんな中で俺が平和だと感じると思うか」



……そ、そうですか。
まだ10代そこそこの少年の返事にぐうの音も出なくなってしまう20代の私はなんと弱いものか。
我愛羅君の壮絶な過去がそうさせているんだろう、平凡に育った私には想像もできない。


「我愛羅君はさ、自分が里の脅威じゃ無かったらとか考えた事ある?」

「…質問が多い」



あらま、拒否られちゃった。
まあ、平和ボケしたみたいな、しかも会って間もない女からそんな質問されてもって感じだよね。

そこからは会話という会話は無く、お腹空いてない?とかトイレ大丈夫?とか業務的なやりとりしかなくて、普通なら息が詰まりそうな時間なんだろうけど、そんなに苦じゃないのは大人しく助手席に座って流れて行く窓の外を眺めている我愛羅君が可愛い……、のも勿論あるが少しでも警戒を解いてくれつつあるからだろうと勝手に解釈している自分の平和的考えがあるからだ。


「…その可愛さが私にとって脅威だよ」