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「えっ、なに?オオカミ的な?そんなに山奥だった?え?怖いんだけど」
気のせい…?とお湯が流れる音以外を聞き取ろうと耳を澄ませてみればやっぱり聞こえる呻き声。
いや、べ、別にお化けとか怖くないからね?!違うからね?!もうそろそろ身体もあったまったし、上がろうかな〜?て思っただけだからね?!!なんて思いながらそそくさと持ってきていたタオルで乱雑に髪を拭き脱衣所へと繋がる扉まで来た。
「…この声、」
脱衣所まで来て聞こえてきたのはなんとも聞き覚えのある声で、その聞き覚えのある声が唸っている。
もしかして!とバスタオルだけ身体に巻きつけ、声の主が居るであろう部屋へと急いだ。
「我愛羅君!」
スパァァン!と襖を勢いよく開けると、思った通り我愛羅君が頭に手を当て苦しそうな顔をしながら時折大きな声を上げ唸っている。
なんかデジャヴみたいな展開。
ど、どうしたの!と我愛羅君の身体に触ろうとすれば弾き返され手が痛んだ。
「僕、は、誰も、信じちゃいけない、の?」
「え?!ぼ、僕?!僕って何?!」
なになになに?何がどうしたっていうの!?突然俺から僕に一人称変わってめちゃ可愛いんだけど!って、違う違う!
「我愛羅君、?信じちゃいけないって、どういう事なの?」
「う、く、僕は、母さまにも父さまにも、夜叉丸…にも、嫌われて、っ、みんな、僕を裏切るんだ……。名前だって、家族って言ってくれた、けど、本当は僕の事、裏切るつもりなんだって…」
!!!!!
な、な、名前〜〜〜〜!私の名前呼んだこの子ぉぉおおお!!
スレ過ぎて一度も名前呼んだくれたことなかったのにこの展開いいいい!!
「う、裏切るなんて!ある訳ないでしょーが!たった一週間しか一緒に過ごしてないけど我愛羅君みたいな良い子、裏切る訳ないでしょ?!突然捨てたりとか絶対しないからね?!家族というかもう嫁に貰ってくれる?!!」
何言ってんだあああああ!
まだキスも知らないであろう子ダヌキに向かって私は!!
「ほ、ほんと?…名前は、僕の事、好き?」
「!!、す、好き!大好き!もう凄い好き!!」
すっごい好き!なんでもしてあげたいくらい好きだよ!と声を張り上げつつ我愛羅君を抱きしめる。
ツンツンのスレまくった我愛羅君も可愛いが子供返りした僕っ子我愛羅君も堪らない。なんて私は幸せ者…
「僕の事、愛してくれる?」
…なななななななんだってえええええ?!!
上目遣いで涙目で、愛してくれる?って?!!何言っちゃってんの?!
それは僕の身体を愛してくれる?って事ですか?!そうなんですか?!
誘ってる?!お姉さんを誘惑してるの?!
我愛羅君!そんな卑猥な誘惑どこで覚えたのぉぉおおお!!
……
ち、違う違う違う違う違う、冷静になれ私。
純粋に愛して欲しい子供なんだよ我愛羅君は。決して身体を愛してほしいなんて言ってない。言ってないから。
「あ、ああ!もちろん!愛してるよ?!愛してるからちょっともう一回その顔で、名前、抱いて?って言ってみようか?!」
ぐっ!だ、だめだ!誰か私を止めてくれえええええ!!
自分のオーバーヒートっぷりに耐えかね我愛羅君の頭を思いっきり抱きしめ直し、ふぅーーーと深呼吸しつつも柔らかい赤毛を撫でる。
ああ、柔らかい、髪だけじゃなくて全部が。
気づいたら抱きしめ返されていてお風呂上がりでバスタオル一枚の冷えてきた身体が温まり、気持ちまでもあったかく落ち着いていく。
子供ってこんなにあったかいんだな。
そのまま我愛羅君を巻き添えにゴロンと畳に転がって、所謂抱き枕を抱えている様な状態で目を閉じた。
名前?寝たの?と微かに声が聞こえるがもう起き上がる気力も無くただ我愛羅君を抱きしめ、もうちょっとこのまま。と呟いた。