28
結局、私の携帯は充電が切れたまま終業の時間が訪れ、部長に呼ばれ、あれやこれやで部長と二人きりの食事会。
仕事が終わっても仕事…みたいな感じ。
いやまあ、仕事もできるし?若くして部長だし?顔はまあまあだし?はたけカカシだし?
スペックは文句の言いようがない部長なんだが、人の話をもうちょっと聞いてくれたらもっと良いんだけど、ね!
「あの、今日は何か私に用事ですか」
「うーん、ま!そんなとこかな」
「はあ…で、何ですか」
いつもだいたい同じ時間に帰宅している私は今もう既にいつもの時間には帰っていない事になる。我愛羅君…まじでごめんよ。
私が帰って来ない事で我愛羅君が寂しがったり寂しがったり寂しがったり…はしないかもしれないけどとにかく心配だ。
運ばれて来た小洒落た料理を目の前に、部長は箸でそれらをつつきながら言いにくい事なのかなかなか用件を言おうとしない。言わないなら私はご飯にありつくからな!と心で思い料理をどんどん平らげていく。
「あのさあ、お前、俺に嫁ぐ気無い?」
「うわこのお魚めっちゃ美味し……って」
は????!!!!
「え、え?ちょっと仰っている意味が分かりかねるんですけど…。嫁ぐって誰が、どこに?ですか?」
「いやいや、お前が、俺に」
「いやいや、頭いかれたの?はたけカカシなの?死ぬの?」
「お前ねえ…」
あっ!!!すみません!!つい素が出てしまいました!!と直前の発言について謝る気があるのか無いのかよく分からない謝罪を青筋を浮かべながらするが、よく考えると悪いのは部長だ。どう考えても。
そもそもなんで私なんだ。この一週間とちょっとの間にとんでもない事件が起こりすぎなんだが。我愛羅君が来たり部長に告白されたり!!しかも付き合ってくれとかじゃなくていきなり嫁がない?て話飛びすぎなんだよぉおおおお!!
「俺ね、新しいプロジェクトの件で支店長任される事になったから、今月いっぱいで抜けるんだよね」
「…え、」
「ま、だからついてきてくれないかな〜なんてね、思った訳よ。今じゃなくてもいいから俺が向こうに行っちゃう前に返事、聞かせてくれない?」
いつものゆるい喋り方は変わらず、でも真剣な表情で行ってきた部長に頷くしかできずそのまま沈黙が流れた。
「…あ、俺が異動するってのは他の奴らにはまだ内緒ね」
「わ、かりました」
部長はその後気まずさを吹き飛ばすように、いつものゆるい口調で喋り続けて、私はというと殆ど話は耳に入ってこずただ目の前にある料理を、動揺を隠すみたいに食べ続けた。