03
ワァァアアアアア!!
………んだよ、うるさいな、もうちょっと寝させてよお、
「……ん?!!今何時?!…あ、あれ?」
あ、そっか私、ボルトの世界にいるんだっけ。あーん、寝て起きたら元の世界でしたあ!なんて都合のいいようにはいかなかったか。
それにしてもさっきから聞こえているこの悲鳴、というか歓声か。なんなんだ。
街の方から聞こえるな、と体を起こし火影岩が掘られている崖の方へのそのそ移動し下を見てみると大勢の人。
なんだなんだ、お祭り?えー、私も参加したい。あ、お金持ってないんだった。くそおおおお
「ん?なんか屋上に人がいる、けど、良く見えないな…、向こう向いてるのかな」
この崖の上からじゃはっきりどんな人がいるのかが見えなかったが、突然里中に聞き覚えのある声が響きわたった事で屋上にいる人たちの正体がはっきりした。
ナルト君たちだ!こんな演説してるってことは、五影会談ってこと?という事は我愛羅君もいるんじゃん!タイミング良すぎ!
「あ!腰にちっちゃい瓢箪、かな?風影って傘の色、緑だっけ?うわーこっち向いてほしい〜」
全員後ろ姿しか確認できないが、我愛羅君っぽい後ろ姿を見ながら大きくなったもんだねえ、なんて保護者的な意見を持ちつつナルト君の演説をBGMにして眺める。
すごい良い事言っているなあ、あんなまっすぐで太陽みたいな子なかなかいないよね、そりゃ我愛羅君も感化されるよ。
一回喋ってみたいなあ、ボルト君にも会ってみたいし。
「あー眠い……もうちょっと寝てから…会談終わりの我愛羅君に直撃しにいけるかな…」
ポカポカ陽気がお昼寝の誘いをしてくるのに逆らえず私はうつ伏せで横になり、おやすみ我愛羅君、と心で呟いて目を瞑った。
………
「ん…あ、やべ、普通に寝ちゃった」
のそりと起き上がり服についた砂埃を払いながら先ほどまで大勢の人がいた場所を覗いてみると誰もいない。
まだ五影会談中なのかな、それとも終わっちゃったかな。と思いながらもう一度崖の下を見てみると何やら見覚えのある二人の姿が対峙している。
あれは、サラダちゃんと…、ボルト君だ!
なんかこの光景見た事あるぞ。そうだ、アニメでボルト君が顔岩に落書きしてるのをサラダちゃんが止めさせようとしてる回が確かあったな!あの時の五影会談だったのか!
「という事はこの後五影達出てくるんじゃね?」
しかもこちらを向いて。
顔岩がある崖の上に立ってたら我愛羅君に気づいてもらえるかも!いっそ我愛羅くーん!と大きい声で叫んでやろうか。いや、それはなんか恥ずかしいしやめよう。
そんな事を考えているうちに五影たちが建物の屋上へと出てきて、思わず反射で木の影に隠れる。
……あれ、私なんで隠れたんだ。
何も悪い事なんてしてないから隠れる必要はこれっぽっちもないはずだけど、つい条件反射ってやつ。
ほら、警察官が横通ると何もないのにちょっと緊張するみたいなアレ。
、って、そんな事どうでも良い、とりあえず様子見だ。
ちょっと大人になった我愛羅君を遠目で見てから、あとで火影邸付近を不審者のようにウロウロでもしてれば嫌でも気づいてくれるだろう。うん、そうしよう。
「あーん、大人になった我愛羅君も相変わらず可愛いなあ、」
髪なんかピタっと分けちゃって!チャームポイントの"愛"が良く映えているんだろう。ここからだと良く見えないが。
くぅ〜、近くで見たいよ〜。と木の影から出てきて覗き込むように、手で双眼鏡の形を作り覗く。
私、今の姿を見られたら完全に不審者だろうな。なんて思いながらジリジリと崖の方に近づいて行ったのだが、急に地面を踏みしめている感触が宙を舞った。
「!!!ちょ、」
そう、足元を見ずに歩いたもんだから、崖の方に近づきすぎて足元が崩れてしまったようだ。
そのままバランスを崩し、体は空を飛ぶ感覚に見舞われた。
あ、これ死んだな、となぜか妙に冷静な私は、さようなら我愛羅君、さようならみんな。と心で別れを告げ、胸の前で両手を組み、目を閉じて落下した時の衝撃をただ待った。
だけど襲ってきた衝撃はとても柔らかいもので、なんというか、人に抱きかかえられてる感覚?
あ、もしかしてもう既に落ちた浮遊感で気絶したままご臨終しちゃったとか?このまま三途の川を渡る的な?
死んでも意識ってあるんだな、これは世紀の大発見じゃないか。
「…い、おい!」
なんだ、聞き覚えのある声……
「大丈夫か?!起きろってばよ!」
………
「……あれ、私、死んでない、?」