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「風影様!お待ちしておりました。お連れ様の事は火影様から伺っておりますが、申し訳ありません、本日は部屋が全て埋まっておりまして…。火影様からは部屋が空いてなければ同じ部屋で良いとの事でしたが…、いかがされますか?」
「同じ部屋で問題ない。」
「かしこまりました。お一人様用のお部屋でございますので少々手狭かもしれませんが、ご勘弁くださいませ。お夕食はいかがされますか?すぐご用意できますが。」
「すまないな、夕食はすぐ用意してくれ。」
「かしこまりました。お部屋までお二人様分、お持ちいたします。ではお部屋までご案内いたしますので、お荷物を、」
あああああ、話がどんどん進んでいくううう。
旅館に着いてから、風影様が来た!という感じで女将さん率いるスタッフの人たちが総出で出迎えてくれた。
風影ってすげえ。
案の定部屋は空いておらず、ナルト君もいつの間にか話をつけてくれていたみたいだけど結局同じ部屋へ泊まる事になった。
一人部屋だから手狭とか言ってたけど、どうせ広いんでしょ。どーせ。
女将さんに荷物を、と言っても私がさっき買ってもらった服たちなんだけど、渡しながら部屋へと案内される。
その途中で、今日は五影会談があったので他里からそれを見に木の葉に来ている人が多く、部屋が埋まってしまったという事を聞いた。
なるほど、そんなに見たいものなんだな。
五影会談って、私の世界で言う各国首脳会談みたいなものだよね、全然見たいと思わないんだけど…
ていうか大ぴろげにされてるものでもないし見れないか。テレビ中継くらい?わかんないけど。
影たちってのは各里の人たちに愛されてるんだなあ、なんて、そんな事を考えながらニコニコ笑顔の女将さんについて行っていると私たちが本日泊まるであろう部屋の前までたどり着き、襖が開かれた。
「………ほーら、やっぱり」
やっぱり部屋、広いんじゃん。
誰だよ手狭って言ったの。私の住んでる部屋より広いじゃん。クッソおおお。
「ではすぐにお夕食の準備をして参りますので。失礼いたします。」
「あ、ありがとうございます!すみません手間取らせちゃって」
私たちの荷物を部屋の中へと置きすぐさま出て行こうとする女将さんにお礼を言うと、いいえ、と笑顔で言いながら襖を閉め出て行った。
旅館とかホテルの人って大変だよなあ。お客の言う事だいたい聞かなきゃいけないなんて、しかもそのお客が風影みたいな重役だったら尚のこと。
もし私だったら重役だかなんだか知らないけど急に人数増えるとかざけんな!って思っちゃう。
…接客業には向いてないな私は。
まあでも我愛羅君と同じ部屋で寝るなんて、1年前は普通だった訳だし、今更抵抗なんてない。
それに何かあった時近くにいてくれた方が助かるし。
何かあったら困るけど。
「すまないな、別で部屋があれば良かったんだが」
「いや、私こそごめんなんだけど。急に来ちゃったし。わがまま言えないよ。それにしてもなんかこの状況、懐かしいね」
「…ああ」
2人で旅行行ってさ〜、と私からすればたった1年前の思い出を部屋を眺めながら、座りもせず語る。
我愛羅君は20年も前の話だけど、覚えてんのかな。可愛かったよねあの時の僕っ子我愛羅君は。
あの時初めて私の名前呼んだんだよ!涙目でね!上目遣いでね!もうそりゃ今死んでも良いと思ったね!可愛さに胸打たれたよね!心臓止まりかけたよね!!なんて言いながらあの時の我愛羅君を思い出し息が荒くなっている私を見て、俺もはっきり覚えていると我愛羅君が言った。
「覚えてるんだ、記憶力良いね。」
「お前が風呂に一緒に入ろうと駄々をこね、俺を砂肝で釣ろうとした」
「………そんな事は忘れなさい」
「タオルを自ら剥ぎ裸で俺を抱きしめたまま眠ってしまった事も覚えている」
「っだーーーーーーー!!なに言ってんの?!覚えてても言わなくて良いからね?!わざと?!わざとなの?!」
大人をからかうなよ?!子狸が!相変わらずクソ生意気なんだな!
もうこの話終わり!
プンプンと怒りながら部屋の真ん中にあるテーブルの前に座り、置いてあるお菓子を食べようとすると我愛羅君も向かいに座って来た。
「…お前はあの時と変わらないな、」
「当たり前じゃん、1年くらいしか経ってないんだよ。あ、このお菓子美味しい」
「そうだったな…。だが俺にしてみれば20年も経った。もう子供ではない」
「…可愛い可愛いって、頭触られながら子供扱いされた事気にしてるの?」
「いや、ただ、俺も成人した大人と言う事を分かってもらえればと、思っただけだ」
「………ふーん?」
そんな事は言われなくても分かってる事だけどさ、見た目だって大人になってるんだし、背も高くなって私を超えちゃってるし、でもなんか、我愛羅君はいつまで経っても我愛羅君な訳であって、萌えの対象なんだよなあ。
それでも確かに私より遥かに歳上の男性な訳だし、こんな小娘が、可愛い!萌え!とか言いながら顔だったりを触ってくるのはやっぱり若干嫌だったのかな?と思い、今後はなるべく控えるねと伝えたらそれは別に構わないと言う。
……一体どうして欲しいんだ。なんなの?わがままなの?
これはもう触ってくれ思う存分。って言われているようにしか聞こえないからそうするけど大丈夫?
そう捉えるけど大丈夫?
「失礼いたします」
「きゃー!ご飯っ!お腹すいたー!」
我愛羅君が触ってくれと、言ってはないが、そう聞こえたので次はどうこねくり回してやろうかと考えていると待ちに待った夕食が運ばれて来た。
思うと私は昨日の夜から何も食べていない。よく耐えた私。ていうかそれどころじゃなかったけど。
「うっわ、すべてが宝石に見える。」
「面白い方ですね、ではしばらくしましたら下げに参りますので。失礼いたします。」
「ありがとうございます!我愛羅君!食べよう!」
「…ああ」