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「すみませんでした!」
「いやあ、かっこいいなんて言われて悪い気はしないし、謝らないでよ」
「…」
なんて優しい。
かっこよすぎて目眩が、なんて初対面の奴に言われたら、私ならドン引きなのに。
我愛羅君に支えられながらもカカシ先生に謝罪の言葉を述べ、相変わらずイケメンである先生の方はあまり見ないように、火影邸へ来た本当の目的を果たすべく、我愛羅君が持っている紙袋から昨日借りた靴を取り出しナルト君の方へと駆ける。
「これお返しに来たんでした!ありがとうございます!」
「お!これわざわざ届けに来てくれたのか、ありがとな」
「いえ!お世話になりました!」
ああ、癒される。この太陽みたいにサンサンと降り注ぐ笑顔は、萌えとかそんなんじゃなくてただただ癒しだ。
ヘラヘラとナルト君の笑顔に充てられていると後ろから我愛羅君の、いつもより少し低めの声がかかり振り向く。
「名前、そろそろ行こう。あまり火影の邪魔をしても悪いからな」
「う、うん、…?」
「…今度木の葉に来るのは、中忍試験…だったな。ナルト」
「ああ、楽しみだってばよ」
その会話を聞いて、うわあ、中忍試験かあ、私もその時までこっちに居るんだったら一緒に見に行きたいなあ、と一人考えて居ると我愛羅君に手を引かれるので、慌ててお邪魔しました!と皆に声を掛け、執務室を後にした。
「あ、我愛羅君、ちょっ…」
執務室から出て、外へと繋がる廊下をただひたすら無言で、私の腕を掴んだまま早足に歩くものだから、一体どうしたんだと我愛羅君に声をかけるが返事はない。
やっぱり、明らかにこれは…怒っている。
私が何か怒らせてしまったんだろうか、?と言っても心当たりがまるでない。
あ、もしかしてカカシ先生をみてフラついた時、支えてくれたにも関わらずお礼を言わなかったから?
さすが風影の息子で現風影。そういう躾がきちんとなされているから少しの事でもお礼言わないとか考えられない、て事?
うわあ、まじか。でも絶対それじゃん。
「が、我愛羅君、さっき支えてくれてありがとね!今更だけど、お礼言うの遅くなってごめんね!」
「…何を言っている」
え?!違うの?!その事でちょっとプンプンしてるんじゃないの?!
じゃあ何?なんでそんな怒ってんのおおお!
理由もなくいきなり怒ったりするような子では我愛羅君は絶対に無い。それは分かってるけど、私に何か非があるならちゃんと言ってくれないと、お母さん分からないよ。
てか言えよ!なんだよなんで怒ってんのよー!言ってくれなきゃ直すもんも直せないでしょーが!
黙ったまま私の手を引く我愛羅君にしびれを切らし、バッと手を引き剥がす。
突然の事で振り向いた我愛羅君はそれでも尚、不機嫌そうな顔をしていて。
「我愛羅君なんか怒ってるよね?なんでよ」
「……いや、すまない」
「すまない、じゃなくて。なんで怒ってんのって聞いてんの」
「………お前は、木の葉に残りたい、か?」
ん?
木の葉に残りたい、って?どゆこと?
「六代目火影にあんな表情を向けて…、ナルトの事も…、好意があるのか」
「は??!が、我愛羅君、君はなにを言ってるのかな。私が?ナルト君を?好き?」
そんなはずは無いだろう。いや、ナルト君は可愛いし見てて飽きないなーとは思うけど、今はヒナタちゃんがいるしそんな火曜サスペンスに出てきそうな不倫ドラマの展開にこじつけようなんて1ミリも思っていない。
カカシ先生だって、別に好きだからとかではなくて…。
あのはたけカカシにあんな近くで見つめられたら誰だって目眩もんでしょうが。
「違うのか」
「違うも違うし大違いだよ!ああ、説明するのもめんどくさい!とにかく私は我愛羅君と砂に行くの!」
「…そうか、すまない」
そう言って頭を下げる我愛羅君、だが、私がナルト君のことが好きだと勘違いして怒ってたのか?と疑問が浮かんだので、それを聞いてみるとなんとなく誤魔化された。
ああ、そうか分かった、自分のお母さんが親友の事を好きになったなんて確かに嫌だね。うん、分かるよ。
可愛いところあるじゃん、と緩む頬を少し我慢しつつ我愛羅君の頭を撫でた。
「さ、行こう」
「ああ」
それから私たちは砂隠れの里へ向かうべく、私にとっては言い慣れない雷車に乗り込んだ。