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シンキ君との決して良い雰囲気とは言えなかったご対面を終え、カンクロウ君は仕事がまだ残っているからと先に部屋を出て行った。
我愛羅君はというとソファに腰をおろし、名前もそこにかけてくれと、テーブルを挟んだ向かいのソファを指すので私は大人しく腰掛ける。
「…シンキがすまなかったな」
「いや、良いんだよ全然。そりゃ急にどこぞの女と一緒に住むなんて言われたら驚いちゃうのは当たり前だよ」
うん、私なら突然お父さんが女を連れてきて今日から一緒に住むぜイエーイなんて言ってきたら反抗期爆発しちゃうもん。そりゃシンキ君のあの反応も理解できるよ。
特にお父さんが全てであるシンキ君にとっては、お父さんを取られる!やだ!みたいな心境なんじゃないかな。
…まあ私からすればお父さんを取る取らないとかの話じゃなくてただお世話になるだけなんだよって言いたいけど。
「何かあればすぐ俺に言ってくれ」
「…何かって、私殺されたりしないよね」
「それは無い、まず俺が許さん」
そ、そうですか。
嫉妬のあまり殺してやる!なんて事になったらどうしようなんてちょっと思ったけど、まあ養子だろうが我愛羅君の息子だもんね。無いよね、殺すなんて。
「あ、でも、もしもだよ、もし私がシンキ君に何かされたとしても、シンキ君を責めちゃだめだよ?」
「…」
「もし私に何かあってもそれはシンキ君が我愛羅君の事が大好きだから、お父さんの為にやっちゃった的な感じだと思うし、ね?」
「…」
義父上の為に、みたいな事をよく言ってたからな、なんて漫画でみたシンキ君を思い出す。
我愛羅君と仲良しなナルト君の息子であるボルト君に敵意むき出しだったし、ていうか木の葉の里に対して敵意むき出しみたいな感じだったと思うし。
義父上は七代目火影様と俺とどちらが大切なんですか!みたいなセリフを今にも言い出しそうなくらい我愛羅君の事好きだよねきっと。
…うわあそのセリフ言ってみて欲しいなあ。あ、もちろん私がいる時に目の前で。
「うん、シンキ君は我愛羅君の事大好きだと思うな。いいね親子愛!」
「…親子愛、か」
親指を立て、グッと我愛羅君の前に突き出すと、今まで私の方を見ていた我愛羅君が少し俯き難しい表情に変わった。
あ、あれ、親子愛ってなんかおかしかった?
「……俺はあいつを見つけた時、力の使い方、俺の全てをあいつに教え込もうと養子に迎えた。それにあいつは答えてくれどんどん強くなっているが…親として愛情を伝えられているのかは…正直分からない」
「へ、…」
「俺自身、親からの愛情を身近に感じずに育ってきた部分がある。父様も母様も、愛してくれていたのは事実だが…」
愛されていたと感じた時にはもう両親はこの世にいなかった。
だから実際自分が子供を持つと、具体的にどう愛情を伝えればいいのか。
孤独だったあいつに、強くなって欲しいと思い、それの手助けは惜しまずしてきたつもりだが、それが親から子に伝える愛情かと聞かれれば、それは分からない。
そう、俯いたまま独り言のように呟く我愛羅君。
「……いや、我愛羅君は充分シンキ君に伝えられてると思うけどなあ」
「…?」
だってさ、そんなに悩むって事はそれほどシンキ君の事気にかけてるからだと思うし。ただ強くなれって思ってるだけなら具体的に愛情をどう伝えればいいかなんて考えないと思うけど。
大切に思ってなかったら気にもしないし、まあまず修行とかには付き合ったとしても養子に入れるなんてしないんじゃないのかな。
と、率直に思った事を言ってみる。
「何か感じる物があったから養子にしたんでしょ、それくらいでいいと思うよ。子供はそんなに馬鹿じゃない、義父上は不器用ながらに俺を愛そうとしてくれている、なーんて思ってるかもよ?」
自分の産んだ子供にでも愛情をあげられず虐待とかしちゃう親だっている中で、ちゃんと愛を伝える術を模索している我愛羅君は偉い。
私だってそう思うんだから、私よりもっと一緒に過ごしてるシンキ君はちゃんと分かってるはず。
「…そうか」
「そうそう、我愛羅君、結構お父さんの顔になってるよ。シンキ君も我愛羅君そっくりだしね、親子じゃん完全に」
こーんな無表情でさ、と思いっきりの無表情を作って我愛羅君の顔を覗き込みチャチャを入れると、真っ直ぐ私の目を見ながらフ、と笑った。
「…お前には助けてもらってばかりだな」
「はは、子供が悩んでたら助けるのは当たり前でしょ」
「子供、か。…俺は……、」
「ん?なに?」
何か言おうとして押し黙る我愛羅君の言葉を待っていると部屋の扉が開く音が聞こえ、そちらを見るとそこにはカンクロウ君が立っていて。
そろそろ飯食いに行こうぜの発言に我愛羅君は短く返事をし立ち上がった。
「え、あれ、我愛羅君何か私に言いたい事あったんじゃないの?」
「…いや、なんでもない」
ん?そうなの?と首をかしげていると、行くぞと言って来たので私も立ち上がり、二人の後を追って部屋から出る。
なに言おうとしたんだよ気になるじゃねえかよ、なんて思いつつ、まあいいかとも思いつつ、カンクロウ君が今日の飯は何にすっかな〜と呟くので、私も何が食べたいかの思考に変わっていった。