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「シンキ君、美味しい?」

「…うるさい」


はい、只今私と我愛羅君とカンクロウ君、そしてシンキ君の4人で焼肉を食べに来ております。

ここに来る前、我愛羅君に何が食べたいかと聞かれ咄嗟にお寿司が食べたいと呟いたが、横からカンクロウ君が魚は昨日食べたじゃんと言って来たので、じゃあ何でもいいと答えた。

この3人で行くのかな、もしかして歓迎パーティ?なんて呑気すぎる事を考えていれば辿り着いたのは一つの部屋の前。
ノックもせずに扉を開けて入っていった我愛羅君を廊下で待っていると、ついさっき初対面を果たしたシンキ君と一緒に出て来た。

あ、家族団欒の夕食に私もご一緒させてもらえるのね、と理解し、何が食べたいと私以外の二人から聞かれているシンキ君はなぜか私に視線を向けながら何でもいいと答えていて。すかさずカンクロウ君がじゃあ肉にするじゃん。と言うので焼肉屋に赴いて、今に至る。


「シンキ君、お肉は何が好き?」

「…俺に構うな」

「シンキ、」


私の隣に座り、黙々と食事をするシンキ君に質問責めをしているが無視、あるいはうるさいだの、拒否の言葉を返される。
我愛羅君はそんなシンキ君に喝を入れようとするが、私にとって失礼な態度だろうがそんな事はどうでもいいので、いいんだよと我愛羅君を制す。


「なあ、我愛羅と隣だと狭いじゃん、名前、そっちと代わってくれよ」

「はあ?嫌だし!今更だし!全然狭くないでしょーよ!」


せっかくシンキ君の隣をゲットしたんだ、今更代われとか言うなこのやろう!
しかも全然狭くなんてなさそうだし!
空気読めよな、なんて小さい声でカンクロウ君が言っているが、そんな事だって分かっている。
だがしかし!シンキ君に敵視されていようが嫌われていようが、可愛い少年の隣でご飯を食べたいのだよ私は!
あわよくば頭なでなで…いやそれはさすがに怒っちゃうかな、いやでもあわよくば!


「と言うわけで代わりませーん。いいじゃん兄弟隣同士で!微笑ましいね」

「何が、と言うわけで〜だよ、意味分かんねえじゃん」

「あ、シンキ君これ食べなよ」

「おいこら無視してんじゃねーぞ!」


キー!と突っかかって来るカンクロウ君を余所に、焼けたお肉をシンキ君のお皿に乗せる。
育ち盛りなんだからいっぱい食べなさいね〜と、シンキ君にばかりお肉を渡していると、突然こちらを向いてきて、自分も食べたらどうなんだ。と言われた。

う!!なにその上目遣い!私とあんまり身長変わらなさそうなくせに何でちょっと上目遣いなの?!
いや下から睨みつけてるとかそういう類なのかもしれないけど私にそんな睨み効かしても全然効果ないかね?!
ただの萌えの対象になるだけだからね?!


「…まじ、グウカワなんだが」

「…何だ」

「ん?!いや!なんでもないよ!私も食べてるから、シンキ君も食べなね!」


あ、危ない危ない、萌えの対象になるとか、可愛いなんて思ってた事が今バレちゃうのは非常にイくない。イくないよ。
もうちょっと心開いてくれた暁にはこれでもかと言うほど可愛いを連呼してやろう。


「ねえ我愛羅君、今日は外食だけどいつもご飯はどうしてるの?」

「…いつも外で済ませている」

「……は?え、朝は?昼は?」

「朝昼は、俺は風影としての公務で、シンキは任務だ。外で買って何かしら食べている。夜はこうしてカンクロウも交えて外で済ませている事が大半だ」

「我愛羅が抜けれねえ時は俺とシンキとで食いに来てるじゃん」


なんだって?聞きづてならないんだが。
いや、いいけどね?外食の方がそりゃ手軽だし、好きなもの食べられるしさ。
でもちょっとくらい誰か料理するとかさ、あってもいいんじゃないの?!
朝昼夜外食って!金使いすぎだろおおおお?!
いくら男所帯ってもさ?!お父さん!しっかりしなよ!


「だめだよそんなんじゃ!我愛羅君料理しなよ!それかカンクロウ君!」

「いや俺も我愛羅も料理なんてできねえじゃん」

「いやいや料理なんてフィーリングだよ!やろうと思えばできるから!」

「…名前、昨日、毎日料理してくれると言ったな」

「え、」


……?
あ、そういえば。住むところを提供してもうお礼に毎日ご飯作ってあげるよって確か言った、な。
うん、確かに言った、言ったけどね?

この話にあまり興味がないのか、隣にいるシンキ君は変わらず自分の皿に乗ったお肉を食べていて。


「言った…けど!でも私だってこの世界にいつまでいるか分からないし!」

「………この世界、?」



……あ。

…また地雷を踏んでしまった。
黙々と食事をしていて、こっちなんてチラリとも見て居なかったシンキ君は、私のこの世界という発言を疑問に思ったのかその鋭い視線を真っ直ぐ私に向けている。
なんで私は暴露グセみたいなものを兼ね備えているんだろうか。

いや〜、なんて明らかに動揺してますみたいな態度でシンキ君から視線を反らすと、その行為が余計気に障ったのか、今度は我愛羅君の方を真っ直ぐ見つめている。
我愛羅君は動揺こそしていないものの、私の事を明かしていいのかどうか迷っている様子で。
カンクロウ君は私と同じように動揺を隠しきれていない。


「…義父上、この世界とは、どういう事なんです」


……なんかごめん、我愛羅君。