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「…仲良く、か。お前は…七代目火影様に似ている」

「え、え?!ナルト君に?!似てない似てない!あんな仏様みたいな人じゃないよ私!」


少し口角を上げて言うシンキ君に、
あ、笑ってる可愛いとか思いつつ、何を言うのかと大きい声を上げるが、七代目も義父上の事を友人だと、大切な仲間だと言い義父上を救ったと聞いている。お前も同じようなものだ。と、シンキ君に言われた。
自分を殺そうとした相手に向かって仲良くなりたいだの言う奴はなかなか居ないと。


「いやいや、殺されかけたのはそうだけどそんなの関係ないし、仲良くはなりたいし守ってあげたいなとは思うけど、ナルト君とは全然違うからね、根本が。私なんかただ一緒に住んでただけだから。しかも一週間ね。」


ないない、世話になったと礼を言われても、救われたと言われる覚えなんてない。
救ってもらってるのは今現在、私の方だ。

仲良くなりたいのも勿論あるけど、自分の子供みたいに可愛がってただけなのもあるし、なにより萌えの対象だったから、なんて言ったら引くだろうから言わないけど。


「ほんと、シンキ君は難しく考えるね、」

「…」

「でも難しく考えた方が良い事もあるし、私はシンキ君のそういう考え方するところ好きだよ。うんうん、良いと思う」


そう言うとシンキ君は、そうか。と一言残して、部屋から出て行こうと立ち上がった。

さっき微笑んでいた表情はもう既にいつもの無表情に変わっていたけど、最初会った時に比べるとほんの少しだけ柔らかくなった表情に安心した。

扉の方へ向かって行くシンキ君を座ったまま見送り、湯呑みに入ったお茶を啜る。


「あ、ねえシンキ君、またこうやってお話でもしようよ。我愛羅君には内緒でさ。」

「義父上に秘密にする必要があるのか」

「いいじゃん、なんか面白いでしょ内緒にしてた方が。我愛羅君の面白い話なんかないの?」


ニヤニヤとしながら悠長に話す私を、扉に手を掛けながら振り返り、少し呆れた様子で聞くシンキ君に返事の催促をすると、分かった。と言い部屋を出て行った。

バタンと扉の閉まる音が聞こえ、一瞬手元の湯呑みに目をやると、今度は扉の開く音が聞こえ、顔を上げた先にいたのは少し機嫌がよろしくなさそうな我愛羅君。


「………え、我愛羅君」

「…名前、夜中にこんなところで何をしている」

「喉…渇いたから、お茶飲んでただけだよ」


てっきり寝ていると思っていた我愛羅君の突然の登場により、何故だか少し動揺してしまって返答がぎこちなくなってしまった。

それもこれも、さっきまでここにいたシンキ君とまた我愛羅君には内緒でお話でもしようと約束した自分の所為と、何故か微妙に不機嫌そうな無表情の我愛羅君の所為である。


「…一人ではなかった様だが」


テーブルの方をチラリと見やり、湯呑みが二つある事に眉間を寄せながらこちらへと足を進める我愛羅君が言う事に、頷きつつ全身が固まる感覚に襲われた。

これはアレだ、冷蔵庫にあったものを勝手に食べてお母さんにアンタが食べたんでしょと言われ、本当は食べたにも関わらず私じゃないよと言い張ってしまって謎に詰められた時の感覚。
…いや、違うか。
なによりお母さんはこんな無表情で詰め寄ってこない。


「…お、起きてたんだ」

「尾獣が居なくなった今でも、なかなか昔の癖というものは抜けなくてな。眠れない事が多いんだ」

「あ、あ〜…それはそれは、厄介な癖ですねえ」

「…名前、俺に内緒でシンキと何を話す事があるんだ」



…………

き、聞こえてたあああああ
いや、いやいやいや、別に聞こえてても言い内容だけどね?シンキ君と二人で世界征服しようぜとか話してた訳じゃないからね?
私の知らない我愛羅君の事がちょ〜っと聞きたいな〜、なんて。そんでもって我愛羅君を茶化すネタになれば面白いな〜なんて思っただけだからね?
だからそんな怖い顔でこっち見んなああああ


「あ〜、え〜と、き…聞いてた?」

「ここに来る前シンキとすれ違ってな。聞いたんだ。お前が今度俺に内緒で話でもしようと言ってきたとな」


おいいいいいいい!!!
あんの野郎!秒速で漏らしてんじゃねええええ!!
しかもちょっと影のある言い方してんじゃねーよ!!
何なんだよアイツはよおおおおお!!

くそ、こうなったら!


「は、はっはっは、バレちゃあしょーがない!私の知らない父親我愛羅君というのをテーマにシンキ君から色々聞き出して我愛羅君を茶化すネタ採集でもしようという魂胆だったのだ!どーだ参ったか!」


ビシィ!と私を見下ろす我愛羅君を立ち上がりながら指さし、どこぞのヒーローか悪役が言いそうなセリフを畳み掛ける様に言い放った。
一瞬驚いた表情を見せた我愛羅君だがすぐまた無表情に戻り、そうか。と一言だけ言うと私の向かいに座ったので、私もつられてまた席についた。