25

……眠い。
昨日の夜、直接言われた訳ではないが我愛羅君に愛の告白まがいな事をされた後、必殺弾丸トークで我愛羅君を怯ませ、その間に寝室へそそくさと帰った。
でも結局全然寝れず、守鶴の人柱力の気持ちがわかった気がするよ。

って、完全に意識してるじゃないか私。
いやあの、嬉しいよ?嬉しすぎてニヤニヤを抑えるのに必死だったよ?それくらい嬉しいよ?
けど嬉しいからといって私も我愛羅君の事そういう目で見れるかって言われたら…
そうじゃない気がする。
いや、そういう目で見てたよ?完全にそういう目で見てたから。当たり前だから。
でもそれは漫画で読んでた時の話で。
現実に起こり得ない妄想をしていただけであって、今まで我愛羅君と実際に過ごしてきた時間は妄想の延長線上な感じだった。
近すぎず、遠すぎずの距離で現実を見ていた。

それが昨日、我愛羅君にああ言われて、今まで良い塩梅だった距離感が一気に縮められた気がして。
あれは母親に対する愛してるっていう感情では多分ないと思うし。
どうしていいのかわからなくて怖くなった。


「…我愛羅ファンからしたら怖いとか何言ってんの?じゃあ私と代われよ?って言われそうだな〜、あ〜」


はっはっは、羨ましいか日本の我愛羅ファン諸君。
………とか、簡単に受け入れられたら良いんだけど。やっぱりそうは行かないよねえ。


「ん〜、なんだろうな、この私にしか分からないこの微妙な、」


例えるなら、三分の一の純情な感情…みたいな。みんなこの曲知ってるかな。
あ、でもこの曲って届かない恋みたいな歌だったな。
どっちかっていうと我愛羅君の今の気持ちがこの曲にぴったりかもしれないな。
って、何言ってんだ私は。


「あ〜、顔洗いにいこ」


いつまでもゴロゴロしながら考えても仕方ないと思ってベッドから降りる。

とりあえず昨日入ったお風呂場まで行こうと思い部屋の扉を開けると目の前にはシンキ君がいた。


「!、シ、シンキ君、おはよう。どしたの」

「義父上に頼まれた。お前を起こして執務室まで連れてきてくれとな」

「…………まじ?」


わざわざ執務室まで呼んで一体なんの話だ。
行きたくない、結構な感じで行きたくない。え、もしかして昨日の件で気まずすぎるからここにはもう置いておけないとか?そんな話?
うっそ、放り出されるとかあり?

我愛羅君に限ってそんな事ないよね、木の葉に残った方が良いんじゃないかって言った私の言葉を遮ってまで砂に連れて帰るって言ったの、我愛羅君だし。
い、今更そんな事…。

いや、逆に昨日私が遮った事をもう一度言うとか言われたらどうすればいいんだ。
……そっちの方がキツイ。恥ずかしくて死ぬどころじゃない。
そんでもって返事を聞かせてくれとか言われたらもう逃げ出すしかない。私だって頭が追いついてないから返事もくそも無い。
返事って何?美味しいの?


「うわあ、どうしよ…」

「…一人でブツブツと何を言っている」

「あ?!え、いやいやなんでもないよ!行こ!」


ああ、私どうしたらいいの。




……




執務室行く前に、顔洗いにだけ行ってもいい?とシンキ君に訪ね、別急いでいる訳じゃないと、遠回しの了承を得て昨日来たお風呂場にいる私。
冷たい水を顔にかけると嫌になるくらい頭が覚醒した。

後ろにいたシンキ君にお待たせと言いながらまた歩き出す。

私生活を送る寝室だったり私室だったりは執務室がある場所からは少し離れていて、長い廊下をひたすら歩く。
執務室に近づくにつれ、さっきまで静かだった廊下には人の声が溢れ、すれ違う忍と思われる人も多くなってきた。

みんな朝から仕事してんだなあ。
シンキ君を見つける度に、若様!とかシンキ様!なんて、声をかけられているシンキ君はやっぱり風影の息子なんだなあと実感。

というか私部屋着のままなんだけど。着替えてくれば良かった。