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執務室を出て、本当に案内する気あんのかって言う程すでに歩いて行ってしまっているカンクロウ君のところまで走って追いかける。
待ってよ、と言いながらやっと追いついて、横に並んで歩き出す。
「ね、カンクロウ君、こっちって我愛羅君たちの私室がある方と、反対側だけど、」
「ああ、お前の部屋はこっちじゃん」
「…そ、か。ねえカンクロウ君、さっきの我愛羅君、なんか変だった気がするんだけど、」
隣を歩くカンクロウ君の方をチラ、と見ながらさっきの我愛羅君について聞いてみる。
この違和感は昨日の我愛羅君の言った事と関係してるのかなんて分からないけど。
私がこっちに来てからは無理やりにでも砂隠れに連れて帰ろうとしたり、宿で部屋がない時も同じ部屋で良いと押し切ってたし、毎日ご飯作ってくれとか…、昨日の夜だって私が部屋からいなくなって相当心配したとか言って、過保護なんじゃないかって思うくらいだったのに。
今日になって部屋を自分たちの部屋から遠ざけるみたいに、執務室を挟んで反対側の部屋を私に用意したり、用があるときはカンクロウ君に言えとか。え、なんなの?
…うわ、なんか腹立って来た。
「……お前、ちょっと付き合えよ。言うなって我愛羅に口止めされてたが、お前には言っといた方がいいかもな」
「え、口止め、って、え?」
「ここだ。とりあえず着替えて来いよ。朝飯でも食いながらゆっくり話そうぜ」
今すぐにでも聞きたいような気になる物言いをしながら、辿り着いた私の部屋の扉を開け着替えてくるように言われた。
なんなんだ、兄弟揃って。
とりあえずカンクロウ君は何かを教えてくれるらしいし、すでに部屋に置かれている我愛羅君に買ってもらった服とデニムにチャチャっと着替え、すぐに部屋を出ると待ってくれていたカンクロウ君に行くぞと言われ付いて行く。
「なーに食うかなあ、朝だし軽くで良いよな」
「喫茶店とかで良いんじゃない、ゆっくり話もできるだろうし」
「そうだな、」
それなら風影邸から出て少し行ったところにあるから行こうと私に言い、丁度近くを通りがかった部下であろう忍にちょっと出てくると伝え風影邸の出口へと向かった。
……
「それで、我愛羅君に口止めされてるって話、なんなの?」
「まあ落ち着けよ、とりあえず何か頼もうぜ。ちなみにこの喫茶店で一番美味いのはオムライスじゃん」
近くの喫茶店まで足を運び、早く話を聞きたい私は席に着くや否や速攻でカンクロウ君を問い詰めると、メニューを開きながら先に何か頼もうと言った。
オムライスって、朝からそんなのいらないよ。お昼なら絶対オムライスにしてたけどね!
「じゃあトーストとコーヒーにする」
「んだよ人が折角オススメ教えてやってんのに!」
「朝はトーストで良いの!カンクロウ君がオムライス食べれば良いでしょーだ!」
「こいつ…!やっぱりお前ムカつくじゃん!」
ムカつく奴で結構だしい。朝から何食べようが私の勝手だしい。と嫌味を言ってみるも、
ケッ、とか言いながら店員さんを呼んで私の分まで頼んでくれるカンクロウ君は結局良い奴だ。
カンクロウ君は結局オムライスを食べるらしい。
注文を終えてからは特に話す事もなく、窓の外をボーッと眺めたり、メニューを特になんの目的もなく見たりしながら過ごしていると、やっと食事が運ばれて来た。
「うっわ、そのオムライスめちゃ美味しそうなんだけど」
「やんねーぞ!俺の言う事聞かねー奴にはな!」
「誰も欲しいなんて言ってませーん!」
想像してたより美味しそうなオムライスに魅了され一瞬食べたいと思ったけどカンクロウ君にやらんと言われまたちょっとした口喧嘩。
私は私のトースト食べるから良いもんねとと言わなくても良いことを言いながらトーストをかじろうとすると私の目の前にオムライスの乗ったスプーンが差し出された。
「…ほらちょっと食えよ」
「……ツンデレが過ぎるんじゃない」
「うっせーな!お前が欲しそうな目してるからだろ!いらねーならやんねーぞ!」
「ははっ、うそうそ!ありがと、じゃ、いただきます」
実は優しいよね、とチャチャを入れつつ差し出されたスプーンに口を開けながら顔を寄せる。
パクリと食べたオムライスはカンクロウ君の言っていた通りすごく美味しくて、頬に手を当て、ん〜と喉を鳴らした。
「美味しすぎ、次はお昼に来て絶対オムライス食べる」
「そーだろそーだろ。ここのオムライスは最高じゃん」
「それはそうと、あーんなんて久しぶりにされたよ、ちょっとドキドキした」
「はあ?!ちょ、お前何言ってんだよ!」
「うははは!カンクロウ君で遊ぶの面白い!」
片やオムライスを食べながら、片やトーストをかじりながら、最初の違和感を感じてモヤモヤしていた私の頭の中は、いつも通りの楽しい、例えるなら中の良い会社の同僚と一緒にランチしに来ている様で、すごく楽しかった。
そんな楽しい時間に横槍を入れたのは、オムライスを食べ終わったカンクロウ君で。
突然、本題に入ると言った時のカンクロウ君の表情は、さっきと打って変わって凄く真剣だった。