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「ああ早く来ないかな…!」
噂の中忍試験が明日という日に迫っている今日、私は今執務室にいて、ある二人を待っている。
正確にはもう既に会っているシンキ君を含めた三人を待っているのだけど。
ずっと会いたかったあの二人に、今日やっと会えるんだ。
イヤホンの子と、お面の子。そう、ヨドちゃんとアラヤ君に…!
うおおお、ヨドちゃんの長い髪の毛を三つ編みにして、アラヤ君には今は傀儡なのかと聞いてやりたい…!きゃー!
初めての待ち遠しい対面に、気分はもう空の上ほどまでに上がっていて、妄想が止まらない。
我愛羅君から注がれる呆れた様な視線なんてなんのその。
「うおおお楽しみだよおおおお」
「…」
ピョンピョンと跳ねながら今か今かと待っていると、執務室の扉が開いた。
き、来た…!ああ私の天使たち!早くその顔を見せておくれ!
「…あ、?」
「おお名前、お前もいたのか」
お前かいいいいいいいいい!!!
お前なんか天使でもなんでもねえんだよ!私のトキメキ返せこの傀儡野郎がああああ!!
「キイイイイ!何しに来たんだよてめえはよぉぉおおお!」
扉が開いて、現れたのはまさかのカンクロウ君で。
やっと来た!と思っていた私は裏切られた気持ちで怒り爆発。
訳も分からず急に怒り出した私を見て、カンクロウ君はなんなんだよと戸惑っていた。
「なんで名前はそんなにキレてんのか知らねえけどよ、…我愛羅、連れて来たぜ」
「へ、連れて来た、って」
「…義父上、失礼します」
プンプンと怒っていた私の耳に届いたのは、一度閉じた執務室の扉がサイド開いた音で。
ガチャリと聞こえたその音に反応して振り返ってみればそこには挨拶をしているシンキ君と、
「ヨドちゃん!アラヤ君…!」
「失礼しまーす」
「うっす!」
うわああアアアアア!
かわいイイイイイイイ!
ちょ、なんなの君たちは!画面の中で見るよりめちゃ可愛いんだけど!アラヤ君は顔見えないけどさ…!
そのお面剥がしていい?ねえその謎に包まれた顔を誰よりも先に見ても良い?!
「シンキ、この人誰?」
「…気にするな、俺たちは義父上に呼ばれてここへ来たんだ」
「ふーん?ま、良いけどさ」
キャー!とかワー!とか、自分を抱きしめて二人の可愛さに悶えてみるも、シンキ君の一言により私は無視される事となった。
シンキ君冷たいな!冷酷!
ま、そういうところも可愛いんだけどね!君は!
「今日お前たちをここへ呼んだのは、分かっているだろうが、明日から木の葉で開催される中忍試験の事で呼んだ」
「はっ、」
それから我愛羅君は、試験に望むに当たって色々と、難しい話を三人にしている。
私は壁に寄りかかりながらそんな難しい言葉とかよく知ってるよね、素直に頑張れって言えば良いのになどと思っていると、我愛羅君が最後に、と私の方に視線を送って来たので思わず背筋を伸ばす。
「あいつも、明日から開催される中忍試験に同行させる」
「…あ、はい!私名字名前です!ただの一般人ですけど訳あって我愛羅く、…いや風影様にお世話になってます!ヨドちゃん、アラヤ君、そしてシンキ君も!よろしくお願いします!」
我愛羅君が私に視線を向けた事で、シンキ君を含む三人の視線もこちらへ向けられたのをきっかけに、まるで転校生のような自己紹介を披露した。
割と大きな声で喋りきった私に、ヨドちゃんは間延びした声でよろしくと、アラヤ君はいつも通りうっす!と返事をくれた。
その中で一人無言を貫くシンキ君をジト目で見ていると、私同様壁にもたれていたカンクロウ君がクツクツと笑っている。
「なんだよその自己紹介、バカみてえじゃん」
「んだとコラ!」
折角慣れない敬語を織り交ぜて自己紹介したっていうのに、すかさずチャチャを入れてくるカンクロウ君に反抗していると、我愛羅君から止めろと制止を食らった。
…またカンクロウ君の所為で怒られたじゃん…!
「…話は終わりだ」
「まあそれじゃ、雷車の時間までゆっくりするじゃん。お前ら遅れんなよ」
我愛羅君の一言で、解散が認められみんなそれぞれに執務室を出ていく。
試験の結果は全部知ってるけど、みんなにはとにかく頑張って欲しいなと思いながら三人を見送った。
あ、私も準備しなきゃ。