06

「私から離れないでね」

「…黙れ」


生意気だなあ、まあいいけど。
マンションの1階までエレベーターで降りて行こうとボタンを押し、来るまでの間外に出た際の注意事項を述べる。
急にどっか行っちゃっても困るし、念を推しておきい。
チン、とエレベーターが自分達の階までやってきて扉が開き、そこに乗り込もうとするがしかめっ面で乗って来ない我愛羅君。
あ、エレベーターってナルトの世界には無いのかな。無かったっけ?
それとも超密室に警戒してる?


「大丈夫だよ、こっち入ってきて。下に降りるから」


こっちこっちと手招きしてやると、やっと入ってきてくれた。
それでも警戒を解く事はなく私の方に身体を向けじっとこちらを見ている。
あの、そんなに見られたら照れますが。
照れるなんて言ったら怒りそうだから言わないけどと思いながら1階のボタンを押す。

しかし少年我愛羅君は小さいな、このくらいの時期だと150無いくらいだっけ?
私が160無いくらいだから10センチ差くらいかあ。
風影になった時は160越えてたよね確か。
男の子の成長とは恐ろしい。

どうでもいい事を思ってるとエレベーターの扉が開く。
開いた瞬間、我愛羅君がビクっとしていたのは気のせいだろうか。

降りるよの合図でエレベーターを後にしエントランスを抜け外の世界。
私からするとほぼ毎日見る自分のマンション前の光景に隣を歩く我愛羅少年はなんだ此処はと言いたげな様子。
帽子で表情は読み取れないが、驚いているのは間違いないだろう。
なぜなら目の前の道路には車が行き来しているのだから。
鉄の塊がビュンビュンと通りすぎているのを目で追うだけでなく身体ごと、しかも身構えながら見ている。

「身構えなくても…。危なくないよ。どう?あの通り過ぎて行く鉄の塊は車って言うんだけど。見たことある?」

「…いや、」


ははは。これで信じてもらえたかな。
とりあえず我愛羅君の意見は帰ってから聞こう。
私はお腹が空いたのだ。飯を買いたいのだ。
その事を静かにキョロキョロとしている我愛羅君の背中に手を添えながら伝え、返事も待たずに歩きだす。

さっき寄ったコンビニはなんか気まずいから違うコンビニ行くかあ。スーパーでもいいけど人があんまり居ない方がいい。


「我愛羅君、夜ご飯食べた?」

「…俺は、早朝の任務に出ていた」

「は?」


朝だったって事?
我愛羅君によれば早朝から簡単な任務を行う為あのテマリちゃんとカンクロウ君と共に里の外に出て行った時、砂漠では珍しくない突風が吹いたかと思うと、私の部屋に居たらしい。
それ最初に言ってよと横目で帽子を見つめるが返事は来ない。
まあ一瞬目を瞑った瞬間にこっちに来ちゃったんだろうな。
早朝って事は晩御飯とかいう話じゃないって事ね。
それでも私は仕事終わりで腹ペコなのだと、ご飯買うから欲しい物あったら言ってと、辿り着いたコンビニへ入る。
ここはなんでもあるからね。


「何食べようかな、カップラーメンでいっか。」

明日の朝ご飯用に食パンも買っとこう。とカップラーメンと一緒にカゴへ、それと牛乳もプラスで入れ、何も言わずについて来ている我愛羅君は何も要らないって事ねと勝手に解釈しレジへ向かう。

会計を済ませ、後ろに居た我愛羅君にお待たせと言いコンビニを出てから家路へつく。
目が合ったやつは皆殺しだ、とか漫画の中では言ってたけど、案外大人しくて良い子なのかな。流石風影の息子といったところ。生意気なのはそうだが肝が座っているというか落ち着いているというか。
見たことも無い科学が発達した世界を目の当たりにして騒いだりも無い。
我愛羅君からしたらこの世界がお伽話のはずだけど。
どこぞのIQ200の影使いのように、物分かりもいいのだろうか。


「おい」

「え?なに?どうした?」

「この道はさっき通った。もう戻るのか」


……。
え、なになにもっとお出かけしたいの?なんなの?可愛いの?

ていうのは冗談で、きっと情報収集とかしたいんだろう。けどお姉さんは疲れたんだ。一人でウロウロさせる訳にも行かないし、明日にしようねと宥めた。