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木の葉に到着して、予定通りの第二試験もほどなく終わり、残すは第三試験のみとなった今日、私と我愛羅君、それにカンクロウ君の三人で試験会場に向かう。
宿からの道のりを、他愛もない会話をしながら歩いていく。
シンキ君たちは同じ宿に泊まっていたけど、私たちより先に出て行ってしまったので別行動だ。
「楽しみだねえ、誰が優勝するのかな〜」
本当は、誰が勝って誰が負けるのか、大体は知ってるんだけど、そんな事を今言ってしまえば興醒めだと、何も知らない振りを中忍試験中は押し通す事に決めていた。
結局、中忍試験は大筒木によって台無しになる事も、言わない事にしている。
言ったって、本当に起こるかどうかも分からないし、中忍試験を中止になんてするわけがない。
言っても言わなくても結局未来は同じ事なんだと私は思っていた。
「我愛羅!と、名前だったっけか?よく来たな!」
「おいナルト、俺の事忘れてんなよ。ちょっと寂しいじゃん」
会場についてみれば、もう既に風影以外の影達は到着し着席していて。
これ遅刻なんじゃ、と一瞬心配になり我愛羅君にこそっと耳打ちしてみるが、こいつらが早すぎるんだと、なんとも横暴な事を言っていて、他の影達もさほど気にしていないようなので、いらぬ心配だったんだなと安心。
とりあえずナルト君にはちゃんと挨拶しようと、ナルト君の前まで行って頭を下げた。
「ナルト君、あの時はお世話になりました」
「そんな固くなんなって!我愛羅とは上手くやってるか?あいついっつも無表情だし何考えてんのか分かんねえだろ?」
「…ナルト、余計な事を言うな」
おもしろ可笑しくチャチャを入れだしたナルト君に我愛羅君が割って入る。
それに私も入って行って、確かに我愛羅君はいつも無表情だけど凄く良くしてくれてますよと笑顔で言い返すと、ナルト君は大きく笑いながら良かった良かったと言っている。
我愛羅君はというと少しだけ驚いたような表情をしたが、すぐに元の無表情に戻った。
そんなやりとりを後ろから見ていた火影の側近であるシカマル君に、もうすぐ試験が始まるから早く座れと言われ、みんなへの挨拶もほどほどに、各々席に着いた。
我愛羅君はナルト君と水影である長十郎さんの間に座り、カンクロウ君はその後ろに立つ。
私はというと五影達が座っている前辺り、階段の様になっている席へ移動。
そこでヒナタちゃんとヒマワリちゃんを見つけて、思わず声を掛けたくなったが今は我慢し二人の後ろへと腰を落ち着かせる。
ほ〜、意外に観やすい場所なんだな。会場自体も画面の中で見るよりすごく広い。
あ、あんなところにテマリちゃんがいる。サクラちゃんといのちゃんも遠くからでも可愛いなあ。
うあ〜、あれもしかしてカカシ先生!ガイ先生もいるしイルカ先生もいる!
さすが中忍試験となると勢揃いで、心の中はもう悟空状態。オラワクワクすっぞ!と今すぐ叫びたい気持ちがこみ上げる。
キョロキョロと視線を顔ごと漂わせて、知っている人を見つけては心の中でソワソワしていると、突然名前を呼ばれて後ろを振り返った。
「?」
「楽しみなのは分かるが、もう少し落ち着け」
私の事を呼んだのはどうやら我愛羅君の様で、ソワソワとしていたのが目についたらしく注意された。
え、うそ、まさか、オラワクワクすっぞとか声に出てた?いやそれは無いか。
でもそんなに落ち着きない感じで見えてた?
うわちょっと恥ずかしい。
すかさず両手を合わせて小さくごめんと謝ると、横からナルト君が口を挟んできた。
「いーじゃねーか、我愛羅は相変わらず固えなあ」
「おいナルト、お前もソワソワしてねえでしっかり見とけよ」
「なっ、シカマルにそんな事言われなくても分かってるってばよ!」
「……みなさん、静かにしてください。始まりますよ」
ナルト君がニッコリ笑顔でフォローを入れてくれたと思うとその後ろからシカマル君が注意。
それにナルト君が言い返して、と小さな言い争いを始めたと思ったら横から長十郎さんが一喝して来たので全員ですみませんと謝った。
こういうやりとり、良いなあ。可愛くて。
マジな言い争いという程でも無いが、喧嘩するほど仲が良いとはこの事だ。
大人になってもこの人達は相変わらずなんだなあ、なんて思うと頬が緩みまくって穏やかな気持ちになった。
ふふ、と小さな笑い声を漏らしながら改めて会場の方に向き直ると、リー君が試験開始の挨拶をし始めた。
画面の中でしか観ていなかったこの試験を生で観られるドキドキと、この後起こるであろう襲撃へのドキドキが重なって、変な緊張が頂点に達した状態での中忍試験がいよいよ始る。
とにかくシンキ君頑張れと心の中で思いきり叫んだ。