薄暗い公園で
木の葉が発展してて良かった。
夜中でも街はこんなに賑やかで、一人で歩いていてもちっとも怖くない。
砂で颯爽と支度をして、雷車に飛び乗り暫く。
やっと木の葉に到着した頃にはどっぷりと日が暮れていて。
とにかく今日の宿、というかネットカフェを探さなくては。
「会場の場所は確認したし、近くの方がいいかな」
ウロウロと夜の街を探索しながら目当ての場所を探すが、なかなか目ぼしい場所が見つからない。
会場の近くが良いのか、中心街がいいのか。まあそんなことどっちだっていいんだけど
そもそも中心街から少し離れた場所にある会場の近くに泊まれる場所なんてあるんだろうか。
「…あんまり人気の無いとこよりはやっぱり街中で泊まろう、かな」
会場の方へ行ってみようと一瞬考えたものの、だんだんと灯りが少なくなって行く様子に少しだけ不安が募り、踵を返した。
風影様も何処かの宿に泊まってるんだろうかなんて思いつつ、歩みを進めていると不意に視界に入ってきた公園。
ちょっと休もうかな
別にただ何となく、里内を歩いた疲れを少しだけ癒そうと思い吸い寄せられるように街灯に照らされた公園内へ入って行った時だった。
「、風影さ…ま」
「…!」
見覚えのある身なり、髪、そして顔。
こんな時間に、街灯のみに照らされた公園に、人がいるなんて思いも寄らなくて、近づいてみればまさかの人物。
「…何をしている」
「え、あの…えっと」
悪い事なんてしてない。
声をかけられて、ただ明日の中忍試験決勝を観に来ましたって答えればいいのに、にこりとも笑わない風影様に、口が上手く回らない。
これじゃ何か良からぬ事でもしに来たみたいじゃないか。ただでさえ時間も遅いし、他里だし。
何もしないけど。
「いくら平和になったからとは言え、あまり夜遅く出歩くな」
「…す、すみません。さっき木の葉に到着したばかりで、」
「…さっき?」
「あ、べ、別に悪い事しに来た訳じゃありませんから…!」
「…」
しまった。
余計な事言わなきゃ良かった。
いや別に言ってもいいんだけど、なんだかジト目を向けられている気がして、答えに困って変な事を言ってしまった。
さっきも言ったけど、私は悪い事をしに来た訳じゃないのに。
まあでも、こんな深夜に到着するなんて、私以外よっぽどの用事が無いと居ないだろう。
なんとなく勘繰られるのも分からないでもない。里の長なんだし。
あわわ、と脳内で慌てて、表面上は落ち着こうと必死な私は俯くが、とりあえずなにか変な誤解をされていないか不安になった。
一応変な事を言っまったと、謝罪をするべきかななんて思い、風影様の方へ向き直ると、予想していた表情では無くて、風影様は微笑んでいて。
「っ、なんで、笑ってるんです、か」
「…いや、すまない。慌てているのが面白くてな」
ああだめだ。
その柔らかく微笑む仕草に私が弱いなんて事、この人は知らないだろう。
好きだと思ってるなんて知らないだろう。
やめてくださいよ、と小さくいなして、ドキドキと高鳴っている心臓の音が聞こえないようまた俯き、立ったままでいる自分の足元をジッと見つめる。
「冗談だ。すまない」
「…い、いえ、」
「…送っていこう」
す、と立ち上がって、私の横に風影様の気配。
俯いていた顔を気配の方へ向ければ、ついさっきまで柔らかく微笑んでいた表情は難しい表情に変わっていて。
揺れる青い瞳に吸い込まれそうになった。
「……ナルトから聞いた」
「へ」
唐突に、火影様の名前を出されて気の抜けた様な返事になってしまった。
戸惑いながら一体何を聞いたというのか、おずおずと尋ねてみれば、私が悩んでいるという風に火影様から言われた様だった。
まさか、火影様に相談しに行った事が伝わるなんて思いもしなかったけど、ここで火影様を攻めるのはお門違いだと思った。
きっと私を心配してくれての事だった筈だから。
「……あの、その、」
でも今、その話をするのはあまりにも突然すぎると思ってしまう。
早く伝えたいとか考えてたくせに、いざとなったら怖気付くなんて、自分が嫌になつまてしまいそうだけど、そんな事より、会話の流れとかじゃなくてもっときちんと伝えたいと思った。
「…火影様には、風影様の事で相談…しました。…それで、その事については、また改めてお話させてください、…中忍試験が終わった後で、」
立ち尽くしたまま、街灯の明かりのみに照らされた二人の影を見ながら、改めて話したいと申し出る。
正直、私が気に病む事では無いと分かってても、私のせいで風影様が今も苦しんでると思うとなんだか妙に緊張してしまって、風影様の返事を聞く事もなく、送ると言われたのを振りほどいて私はその場から立ち退いた。