日記と手帳と忘れる機能

 先日も書いたが、ひなは手帳に夢中だ。ページを埋めたり書いたりする作業が楽しいらしい。気持ちはわかる。俺も、ひなとの思い出をこういった形で残している。
 記録に残すというのはいいことだと思う。後で見返せば、そのとき得られなかった驚きに気付ける。記憶なんて曖昧なものだ。覚えているようですぐに忘れる。だから人は記録する。
 ひなは、俺とのやり取りを記録しようとしてもすぐ忘れてしまうと嘆く。人型の作りなんてそんなものだ。悲しいことや苦しいことを引きずったままでは生きていけないから、忘れるという機能が備わっている。ついでに楽しいことも忘れてしまう。忘れたくないから、人は記録を取りたがる。
 忘れてしまうというのは何も悪いことだけじゃない。それに追加して、記録を取っておくと、後で読み返して新鮮な気持ちになれる、というわけさ。
 ただまあ、いくら私用の手帳とは言え、俺のことも少しは書いてほしいもんだぜ。なあ、ひな。

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