ずっと待っている

「もう、行ってしまうのか」
 鶴は時計を見て言った。もう起きなくてはいけない時間だ。私が目覚めるとき、彼はとても悲しそうだ。寂しそうとも言う。でも、私にはどうすることもできない。
「……俺はずっと待っている。だから、なるべく早く帰ってきてくれよ」
 鶴は言う。私も鶴も、それはできないということをよく知っていた。それでも、請いたくなることも、よく分かっていた。

 ふと考えることがある。もしも鶴に「一緒に死んでくれ」と言われたら、彼のために身を投げることができるのだろうか。すべてを投げ売ってまで、私は彼のために尽くせるのだろうか。答えは否だ。鶴は私のためにと動いてくれるのに、私はちっとも彼に何もできないのだ。鶴がいくら好きでも、我が身可愛さが優先してしまう自分が嫌になる。

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