どこにもいないきみがすき
夢の世界、鳥籠の部屋はもぬけの殻だ。布団は誰かが起きてそのまま抜け出した跡がある。まるで、鳥が飛び立ったみたいだった。
――「きみの傍から居られなくなってしまうかもしれない。だから、記録を残しておきたいんだ」
そう、呪いの言葉みたいに鶴は私に言い聞かせた。これを書き始めたのも、彼の言葉がきっかけだった。結婚しようって言ってくれたのも彼だった。
我儘で、そのくせ自分からは言えない私の願いごとを叶えてくれたのは全部、鶴だった。
きっとまた帰ってきてくれる。任務に出かけているだけなんだ、きっと。
そう言い聞かせないと、なんだかぽっきりと心が折れてしまいそうだった。
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