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建物が揺れ、巨大な爆発が響く。音声は入っていないから分からないけれど、緑谷くんも爆豪くんも叫んでるのも、怒鳴りあってるのも分かる。伝わる感情が激しいのが分かる。でも。
「爆豪の方が余裕なくね?」
そう、それだ。
オールマイト先生が止めるまえに、天井へ向けて緑谷くんが個性を放ち、お茶子ちゃんが核兵器を回収し、ヒーローチームが勝利したのだが。ぼろぼろの緑谷くん、吐いているお茶子ちゃん。無傷な飯田くん。そして茫然自失な爆豪くん。
「勝負に負けて試合に勝ったという所か」
「訓練だけど」
周りの言葉を聴きながら自分だったらとぼんやり考える。2人の事情なんて知らないけれど。
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場所を移し、第2戦。
4階の北側の広間に、敵側チームの私と透ちゃん、尾白くんはいた。ヒーローチームは、障子くんと轟くん。詳しい個性は知らないので、慎重に行かなければなんて考えていると、隣の透ちゃんの口から衝撃発言が飛び出した。
「よし、じゃあ、私脱ぐわ」
「えっ」
今、透ちゃんなんて言った?
尾白くんと顔を見合わせる。ちょっと本気出すわ!と手袋とブーツを透ちゃんは脱ぎだし、私は呆気に取られ、尾白くんは目が点になった。浮かんでいるのは小型無線機のみ。
「えっ、ちょ、」
それ、女の子としてどうなの!?いいの?
いいのいいのと明るく言う透ちゃん。尾白くんに対しては、見ないでね!と忠告するのも忘れずに。いや、見えないけどね!?
とりあえず、近距離戦闘が得意な尾白くんを核兵器のある部屋にいてもらい、隠密行動の得意な透ちゃんと一緒に廊下に出てから、透ちゃんと分かれることにする。透ちゃんは奇襲とヒーローがどこにいるかの把握、私は陽動要員として動く。よし、やろう。髪に手をかけて、式紙を出現させ、私は動き出した。
「4階、北側の広間にひとり、もうひとりは同階のどこか…素足だな。あともうひとりが反対側を歩いているようだ。透明のやつが伏兵として捉える係で、もうひとりが陽動役の可能性が高い」
「外出てろ、危ねえから。向こうは防衛戦のつもりだろうが…俺には関係ない」
ふ、と轟焦凍が片手を上げた。
建物の近くを舞っていたはずの式紙から何故か冷気が伝わってきて、反射的に地面を蹴った。突然下がる気温と足元に広がるのは氷だ。
って、氷?
慌てて下に紙を出現させてその上に降り立った。
「障子くんか、轟くんの個性…というより、轟くんの個性の可能性の方が高い?」
独り言が白くなった息とともに消えていく。紙で氷を覆いながら、核兵器のあるはずの部屋へ引き返すことにする。きっともうヒーローチームは向かっているはずだ。通信機へ向かって走りながら口を開く。
「尾白くん、もしやピンチ?」
「ピンチというか、完全に部屋にはいられてる。ごめん!悪いんだけど、俺動けない!」
「わたしも!痛タタタ…!」
「わかった、戻る!」
部屋に1歩足を踏み出した瞬間に、氷の塊が向かってきて転がるように回避した。ぐんと気温の寒くなった部屋。核兵器へ向かっていく背中がかろうじて見えて、それに向かって出現させた紙を四方八方から向かわせた。…のだったけれど。
「ええええ…」
呆気なく紙の山が巨大な氷の塊に押し戻されるようにして返ってきて、そして轟くんは反対の手で核兵器に触れた。オールマイトの声が響き渡る。勝利したのはヒーローチームだと。
「レベルが違いすぎだ」
轟くんのもう片方の手で触れると、氷がすんなりと溶けて水になり、私の紙もその水に溶けていってしまう。確かに、レベルが違う。そうだよ。…違いすぎて。
「…やられた」
ぎゅっと、私は目を閉じたのだった。
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