07

「個性を消した」

とん、とんと跳ねるボール。大記録とはいかない、平均的な記録。動揺したように固まる緑谷くんと首元の包帯を緩めた相澤先生。

「みただけで人の個性を抹消する個性…抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!」

「イレイザーヘッド?」

「イレイザー?…俺知らない」

口々に周りもそう言って、首を傾げた。というか、私も知らない。個性が抹消だと知って、納得した。私の紙が消えたのも、相澤先生が抹消してくれたおかげなんだろう。何か緑谷くんは指導を受けていたようだけど、顔色はやっぱり悪い。

「指導を受けていたようだが…」

飯田くんの声を聞きながら、緑谷くんの立つ後ろ姿を眺めた。腕が少し震えているような気がする。振りかぶる腕。そして。

そして、はるか遠くにボール。風圧がここまで届いた。そして、その拳を握りしめ、相澤先生へ向き直る。

「先生…!まだ、動けます!」

「こいつ…!」

驚いたように言う相澤先生。というか、指腫れてない…!?腫れてるよね!?

どういう個性!?

と驚いている間にすぐ近くで爆発音。既視感のある爆風。緑谷くんに食ってかかる爆豪くんの後ろ姿。

「って、ちょ…!?」

髪がさらわれて発生した私の紙吹雪に、爆発の時に生じたであろう火が燃えうつった。悲鳴をあげて距離をとろうとして、よろめいて。思わずしゃがんで目を閉じる。燃え広がったらどうしようどうしよう…!頬に感じる小さな冷気。

ん?冷気?

恐る恐る目を開けると地面に氷の塊があって、中には白い紙の塊があり端が焦げているのが分かった。誰かの個性だろうか。きょろきょろと周りを見渡すと、半分白い髪の男の子と目が合ったような。

「ちょっとちょっと!大丈夫?」

途端に私の視界に桃色がいっぱいに広がった。心配そうな桃色の肌をしたその子に、考え込んでいた私は声が出ず、しきりに頷いてやっとのことでその子の手を借りて立ち上がった。

「ありがとう…」

「ってか、危ないじゃない、爆豪!まったくもー!」

やっぱり、燃えてない。その事に心底ほっとする。良かった。相澤先生の号令で次へ進むことになり、その氷のことは結局よく分からなかった。なんで、爆豪くんがあんなにキレてたのかも。

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