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今日は体力測定。
はぁー、手越は足速いからいいけど
俺は別に普通だしなぁ……
よーい!
……パン!
グラウンドに響く、大きな音
「あ、慶ちゃん見て見て」
手越の指差す方を見ると
『……あ、美雨』
綺麗なフォームで軽い足取りで……
…………って、え?!速すぎない?!
「……6.0…………です」
タイマーをやっていた子がポカンと口を開けて
たしかにそう言った。
「はぁ?!6秒?!
俺より速いんじゃね?!」
「……え、速すぎ?」
美雨が頬に手を当てて聞いてきた
『うん、超速い。俺より速い。』
「……そっ、かー…」
「あ、次俺らだよ」
『うっ、手越と走るのかぁ……』
「美雨よりマシだろ」
『……それは失礼だろ』
「いや!いいのいいの、行ってらっしゃい!」
ヒラヒラと可愛く手を振る彼女
にしても、本当足速いなぁ。
よーい……パン!
グラウンドに鳴り響く音と同時に駆け出す。
あぁ、やっぱ手越速いな〜……
なんて 少しずつ開く距離で改めて思う
ふと視界に、
美雨と愛が俺たちを応援している姿が入った
「祐也くーん!慶ちゃーん!!」
「頑張れ〜!!」
なんて。可愛いなぁ。
「……6.9秒です」
『……はぁっ、…美雨に負けたぁ〜〜…』
「俺にも負けたぁ〜」
って既に走り終えた手越が嫌味っぽく言う。
『お前に負けても悔しくはない』
「なんだよコノヤロウ」
「祐也くーん!速かったね!慶ちゃんも!」
「おー!愛!ありがと!」
『慶ちゃんもってなに、"も" って……』
「あは(笑)気にしちゃダメ(笑)」
「あ、愛ちゃん。2回目測るよって」
「そっかそっか、行こっか」
"いってきまーす!"
2人の元気な声。
『さっきより速くなってんのかな』
「んー、それはそれですげえよな」
パン!
……あれ?
『さっきより遅くない?』
「うん、愛の方が速い」
どうしたんだろ、足でも痛くなったのかな
「……あれ?…8.4です」
体育委員の子が不思議そうな顔。
まあそらそうだろうな。
「美雨ちゃん?どうしたの?」
愛が心配そうに尋ねる
「えっ?どうもしてないよ?」
ってケロッとしてる。
『さっきより超遅くなってんじゃん!』
俺が突っ込むと
「さ、さっきが調子良すぎたの〜……」
なんか変に誤魔化してるように見える。
……あ、
『どっか怪我した……とか?』
「えっ?なんっともないよ?(笑)」
まぁ、確かにピンピンしてる。
『そっか〜?ま、遅くなっても普通に速いしね(笑)』
「へっへー、ありがと{emj_ip_0177}」
って可愛く笑う
……手越はなにか不満気だけど。
______
____
「(ねぇ慶ちゃん。)」
手越からのメッセージが画面に表示される
『(ん?どーした?)』
「(突然だけど)」
『(うん??)』
「(愛が好きかもしんない。)」
っ?!え、えっ、
えぇぇぇぇぇぇぇ?!
驚いた勢いで押したのは
『あっ、(笑)』
「……え、なに?(笑)」
通話ボタンで…(笑)
『勢いで押しちゃった(笑)』
「まぁいいけど(笑)」
『で?!愛が好きなの?!』
「た、ぶん」
『……そっかぁ…、うん。いいと思うよ俺は。
いい子だし、ライバル減るし〜』
「ってかさぁ」
『ん?』
「愛って俺のこと好きだよね」
『ぶっ!』
「は?なに、きったねぇ」
思わず吹き出してしまった。
……わぉ…手越すげぇなぁ…………
『え?知らないよー?そうなの?』
「とぼけんな、慶ちゃんが美雨のこと好きってことバラすぞ」
『……さぁ。知らね。お前がそう思ってるんならそうなんじゃないの』
「慶ちゃん嘘つく時って口調きつくなるんだよ
俺のことお前って呼ぶの。はっはー、わかりやす!」
『…………知らないなぁ…(笑)』
「……ま、いいや(笑)
俺頑張るよ」
『好きかもって言ってたけど、もう確実好きなんじゃん』
「……うっせ、慶ちゃんも頑張れよ」
『うん、ありがとう』
「……気のせいかもなんだけどさ、美雨ってなんか…ちょっと変じゃない?」
『え?どーゆーこと?』
「なんか不自然なことが多いってゆーか
知らないことが多すぎる
そのくせ小テストとか満点だし。」
『あー……漢字テスト満点だわ、毎回。
たしかに、 "恋" のことあんまり知らなかったよ』
「英語のテストも満点だった(笑)
俺も似たような感じだけど
"俺と慶ちゃんどっちが好き?"って聞いたらさ…『おい!何勝手なこと言ってんだよ!(笑)』
「あぱっ(笑)すまんすまん(笑)
そしたらさ、"好き……ってどんな感じ?"って言われたんだよね」
『……そういえばお兄ちゃんと二人暮らしなんだよね、両親が早いうちに亡くなったりとかして、それで…「やっぱやめ、こんな話だめだ。俺から言い出したけど(笑)」
『……ん、そうだね。お前から言い出したけど(笑)
もう寝るよ、』
「おっけ、おやすみ」
『手越、頑張れよ』
「お前に言われたかねーよっ!」
ブチッ
……嵐のようなやつ…
美雨のこと、全然何も知らないなぁ…
もっともっと知りたいよ。
______
____
『美雨おはよう』
「あ、おはよう慶ちゃん。」
『今日手越と愛が一緒に学校行くんだって』
「……愛ちゃんって手越君のことが好きなんだよね、」
『うん、そうそう』
"好き"
昨日の手越との会話を思い出す
『あのさ、聞きたいことがあるんだけど
美雨の両親って……』
「……」
彼女の顔をうかがった瞬間
____しまった。
直感的に、そう思った。
一瞬で彼女の顔が曇り、明らかに俺の話題を拒否した。
何も言えずに固まっていると
「慶ちゃんと美雨!おっはよー!」
「おはよーう!」
愛と手越。
……助かった。
「おはよう、手越くん、愛ちゃん
ラブラブだね〜{emj_ip_0177}」
何事もなかったかのように笑顔で挨拶する彼女。
『……ごめんな、もう聞かないから』
2人に聞こえないように、小さく呟く
「…ううん、大丈夫。
……あのね、いつかあなたには全部話すから。
ちゃんと全てを話すから。
今はまだ、ごめんね。」
『……そっか、わかった。』
やっぱり、彼女には秘密がある。
俺に何か、できないだろうか。
______
___
_
「あ、慶ちゃん」
『ん、なに』
「俺さ、愛と付き合うことになったから。」
『ふーん、そうなんだ
……ん?
え?……えぇっ?!』
「何その反応」
『え?!は?!いつから?!』
「昨日」
『どうやって』
「……さぁ」
『どっちから』
「内緒」
『はー?!なんだよ!教えろよ!』
「んふー、詳しくは番外編でね{emj_ip_0177}」
『ちぇっ…』
すごいなー、手越。
頑張ったんだな。きっと。
心なしか手越の顔が前より
男らしく、たくましくなった気がする。
『俺も、頑張らないとなー』
「そーだよ、頑張れよ」
『フラれたらどうしよう』
「そんな弱気でどーすんだよっ!」
バチン!と思い切り背中を叩かれる
『いった〜……』
「愛と応援してるからさっ!」
『うん、頑張るけどぉ……』
______
____
放課後
『えっと、その……美雨、のことが』
さっきの手越の言葉で流されるようにこの状況。
ええい!もうどうにでもなれ!
『好きです!付き合ってください!!』
「……ふふっ、うん。いいよ。」
『…………えっ?ほん、と?』
「でもね、先に言っておくけど」
『…ハイ』
「私、あなたに隠していることがあるの」
隠してること………
『そ、れは……他に好きな人がいたり…
彼氏がいたり……ってこと…?』
「いやいや!そんなのじゃないよ!
好きな人もいないし、彼氏もいません。」
『そっ、か……それならよかった。』
「でも、今は言えないの。」
『………そ、うなの…』
「……お願い。信じて…」
初めて聞いた、美雨の弱々しい声。
『うん、もちろん。俺は美雨を信じてるよ。』
「よかった……ありが『でも』
ビクッと、彼女の体が震えた
『いつかは教えてよ?
……今日から、お、俺の彼女なんだから…』
「うん、……ごめんね。」
美雨と付き合えたことに頭がいっぱいで
何も深くは考えなかった。
美雨の顔がいつもと違って、聞くに聞けなかったから。
______
____
これが、俺と彼女が付き合ったまでの過程
どう?俺頑張ったでしょ??
今日で付き合って二ヶ月?かな?
デートもたっくさんしたし
とっても充実してた。まだキスはしたことないんだけどね、ぎゅーはしたよ?
「慶ちゃ〜ん?まだ〜?」
あ、美雨が呼んでる!
まぁ俺の昔話はこのへんで。
今から、放課後デートなんだぁ。
すっごく楽しみ。
____
______
『ふふふーん、どこ行こっかな〜』
人の少ない通りを彼女と並んで歩く帰り道。
俺はそれだけで幸せ。
『クレープに、アイス……ドーナツもいいなぁ{emj_ip_0177}』
「ふふ、はしゃぎすぎだよ(笑)」
『ずっと楽しみにしてたんだよ〜』
「慶ちゃん甘い物大好きだもんね」
『うん、大好き』
"美雨"
そう呼ぶとこっちを向いてくれるから
顔を近付け
唐突に彼女の唇に俺の唇を重ねた
顔を離すと
『ぷっ、』
目を真ん丸にして驚いてる彼女の姿
『何その顔(笑)
……あ、キス知らなかった?』
「……いや、知ってる…お兄ちゃんに聞いた…」
心ここに在らず、って感じ……(笑)
『照れる?照れる?』
「…うん、もっかい……して?」
なんて上目遣いで俺を見つめる
『なっ!……もう…バカ……』
本日2度目のキスを、愛しい彼女に。
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