だから再登場が早いって!

「うわ!出た!」

洞穴内に絶叫を轟かせている私、ポケモンニートのレイコは、再び瞬間移動で現れたダークなんとかに囲まれて、危うく原付を転がしかける。
Nに絡まれ、プラズマ団が待ち構えていると脅され、静電気に悩まされ、とにかく散々なダンジョンと化している電気石の洞穴の中を、私はだらだらと歩いていた。そんな折にまたしても出くわしてしまったわけだ、影の軍団こと、ダークト…ダークトリ…なんとかに。覚えてやれ。

「…来い」

いきなり拉致られた前回同様、連中は私を捕らえると、また宇宙人スタイルで引きずっていく。もう逃げないから自分で歩かせてよ…と泣き言を言い、しかし情に訴えても離してくれる気配はなく、どうやらN以上に言語の通じない連中のようだった。聞こえてますか?私のバニングリッシュ。聞こえてないなら帰ってくれ。SeeYou!
拘束する必要性を全く感じない中、また原付を置いていってしまったので、あれも運んでくれよと言う前に、三人目が乗車してついてきていた。お前は一体何なんだと再びキレる他ない。
いや乗るなよ。押して運べ?というかお前達ほどの腕力があれば抱えて運ぶ事も可能なはずなのに、何故こんな走りづらいガタガタした地面でわざわざ乗るんだよ。乗るならガソリン代払ってくれ。日々高騰し続けてるんだからね!
降りろコールをする私をよそに、原付に乗った男は華麗なドライビングテクニックで距離を詰めると、ライトをチカチカさせながら話しかけてくる。眩しい!

「N様はお前を気にしている。理由はわからないが」

それが何なんだよ!今どうでもいいわ!降りろ!
人の話を聞かずに勝手に話し出す相手を見ながら、ボスがボスなら部下も部下だな!と怒らずにはいられない。そしてしつこくライトをチカチカされ、遊ぶな!と怒鳴った。子供かお前は!
何なんだよこの組織は本当に…!電波王にバイトリーダーのゲーチス、それを除いた七賢人に忍者までいるって容量どうなってんだ。キャラが渋滞するわ。
とんでもない奴らにマークされた悲しみに襲われ、あらゆる気力を失っていると、私は何やら橋のようなところまで連れて来られた。見た感じ、結構な高さである。同時にこの洞窟には地下があるのかと知らされてしまい、憂鬱に拍車がかかった。しかも手すりがついていないので、落ちたら普通に死ぬだろう。
まさか突き落とすつもりじゃないだろうな…。疑心暗鬼全開の私は身構え、いざとなったらクッションをカビゴンにし…いやカビゴンをクッションにして難を逃れるしかない。007みたいな思考回路で息を飲んでいたが、普通に丁重に運ばれ、あっさり橋は通過した。そして直後に解放されると、また雑に投げられる。もはや深く考える方が愚かな気がしてきた。
頭おかしい。こいつらみんな頭がおかしいよ。

「この先に階段がある。そこでプラズマ団がお前を待ち構えている」

それだけ告げると、三人組はまた瞬間移動で去った。もはやセキチクジムは忍者と名乗るのを控えた方がいいレベルのガチっぷりに、絶対に力の使い方を間違えている、そう感じざるを得ない。

「連れて来る意味あった!?」

すでに姿を消した三人に叫んで、私は電気石を殴りつけた。あいつが原付に乗りたかっただけじゃね!?

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