三毛別ほどではないがぼちぼちの異常事態らしい。
シロガネ山近くのポケモンセンターで、私はふざけた事を依頼してきた保護協会の人から事情を聞いていた。
どうやら父の言っていた通り、山に足を踏み入れたトレーナーやポケモンが問答無用でリングマの集団に襲われるという恐怖の祭典が行われているようだった。調査に入った人達は次々に襲われ、逃げても逃げてもシャイニングのように追いかけてくるからトラウマ案件だそうだ。もうこんな山は捨てて平和に暮らしてほしいものである。
確かにリングマ、逃げる者を追いかける習性があり、執着心も強いからしつこくついてくる事は私も記録作業中に体験済みだった。自動車なみのスピードで走ってくるからね。こうなるともう戦うしかないから。逃げられるわけがないんで。タイマンの時は目を狙うといいらしいよ。まぁ私はトレーナーだから普通にポケモンに戦わせるけどな。何の情報なんだよ。あらかじめ鈴などを持って入山する事をお勧めします。
しかし、何もしなければリングマとは本来人を襲ったりしない生き物である。それが警告行動もなくいきなり襲撃してくるなんて…確かに何かあるだろうな。怖すぎるんですけど。
何か手がかりが掴めるかもしれないから、とカメラを渡された私は、どうにもいつもの旅っぽい状況に苦虫を噛み潰した顔をしてしまう。せっかくニートになれたのに…どうしてまたこんな事を…心底嘆かわしかったが、綾波レイなみに包帯を巻いて負傷アピールをしてくる協会の人を見たら、とても帰りたいなどとほざけはしなかった。早く碇くんがシロガネ山に行かなくていいようにしてよ。

そんなわけで入山である。
洞窟に入った途端、外界とはまるで違う冷気に私は戦慄した。

「さ、寒い…!」

ヒートテック三枚重ねてもこの寒さ。やはり人の来るところではないな。改めて痛感し、貼るカイロを背中に一枚追加する。でもまだまだ序の口なんだよね…ここは風が吹いてないだけマシだよ。洞窟抜けて外に出たら一気に地獄。絶望。一面銀世界っていうか、ぶっちゃけ何も見えん。撮影カメラ持たされたところで無意味だろうよ。私が使ってた特注のカメラは何故か雪、砂、雨、霰などの影響を受けない謎技術が応用されたやつだったからクリアに映ってたが、こんな安物じゃ絶対無理だね。手触りだけで価格のわかる女、それが私よ。
一応構えて進んでいると、早速足音が近付いてきた。風の音に混じって響くそれは、どう聞いても二足歩行、つまりリングマである。
来たぞオイ…随分ゆっくり歩いてくるじゃねーか。焦らしプレイか?私は怯えながらカビゴンを侍らせて腰を引く。
来いや…来るなら来いやくまモンさんよォ…嘘です来ないで引き返して。白い貝殻の小さなイヤリングとか落としてないし。いっそ森のくまさんみたいにべらべら喋って状況教えてくれたらいいのにさぁ…というか一匹捕獲してNのところに連れていって話聞いてもらったらよくない?名案じゃん。天才的発想に自画自賛が止まらなかったが、私は記録を生業にするポケモンカメラマン…モンスターボールなんて代物を持っているはずがないのであった。トレーナーやめちまえ。

もう一秒でも早く帰りたいよぉと泣き言を言う私の前で、協会の綾波レイに借りたズバットのフラッシュが、足音の方角を照らしている。どうしようゲーチスよりでかいボスリングマみたいなの現れたら。調査って名目だからいつもみたいにカビゴンさんやっちゃってくださいよ!でワンパン撃沈ってわけにもいかないし、どうやってあしらうべきなんだよ。さすがに身の危険感じたらやらせてもらうからな。熊殺しの異名を持つうちのカビゴンのメガトンパンチが火を吹きますよ。
そんな異名はないのでカメラを持つ手を震わせていると、ついに明かりがリングマを照らした。コナンの犯人のシルエットのような黒い巨体が見えた時、私は思わず悲鳴を上げてカビゴンの後ろに逃亡してしまったけれど、すぐに気付いて顔を上げる。

え?黒?
ふと思い至り、記憶の糸を辿って首を傾げる。
黒じゃなくない?リングマって…茶色だった気がするけど?
というかそもそも…今のって。

小走りでカビゴンの前に出た私は、スポットライトのようにフラッシュを浴びる存在を見て衝撃を受けた。大口を開け、ホームアローンの如く叫びそうになるも、人間驚きすぎると逆に声が出ないものである。開口したまま、目の前に現れた人物を失礼にも指差した。
リングマじゃない!リングマじゃないけど!ある意味ではリングマより出会いたくなかった奴!
私がネタバレするより先に、相手が名前を呼んだ。

「レイコ…」
「さ…」

サカキ。
蚊の鳴くような声で呟くと、私はそのまま硬直した。

さ、サカキ様じゃありませんか…!かの有名な。根強い人気を誇る。担当声優が四人もいるという贅沢加減で有名なあの。あのサカキ。お前何食わぬ顔でPWT出てたけど大丈夫なのか。私でさえ招待されてないのにどういう事なんだよ。腹いせに殴らせてくれ。
このような雪山でトレンチコートという防寒レベル1の軽装で現れたのは、ロケット団ボスのサカキだった。元な。元ボス。解散してっから。レインボーロケット団とか私知らないから。アローラになんて行かないから!
様々なものと戦っている状況で、まさかの人物の登場に、さすがの私も焦らずにはいられない。

どうしてこんなところに…しかもこのタイミングで。見たところ無傷っぽいサカキはリングマの強襲を知らないのか受け流しているのか、どこからどう見ても余裕を感じさせる出で立ちで、私をますます混乱させる。
まさかお前がおかしな電波流してリングマを無理矢理なんやかんやしてるんじゃないだろうな。もしくは縄張りに急におっさん入ってきてピリピリした結果の暴動とか。有り得る。だとしたらマジで早く出ていってくんない?違うなら謝るけど。見下しすぎのポーズで。
いまだズバットが照らし続けるフラッシュの中に立ち尽くすサカキは、さながらミュージカルスターのような貫禄で私を少しイラっとさせた。早く出ろやそこから。シンプルに癇に障る。
などと言っていればいきなり近付いてきて焦る他ない。私の警戒レベルが上限にまで達した瞬間である。

おい何だオイやんのかコラ。来るなら来いよ!こちとらヤマブキの格闘道場通ってんだよ!貴様にシルフカンパニーでリアルファイトを仕掛けられて早数年。このままじゃいけないと真面目に格闘技を習い始めて三日で辞めた実力なめんな!クソ雑魚じゃねーか。
虚勢を張って拳を握る私であったが、どうやら向こうに敵意はないらしい。ポケットに両手を突っ込んだ様子を見て、私も少し力を抜いた。油断はできないが別にこっちから仕掛けるつもりはない。てか私はいつもそうだったからね。邪魔してたのはYOU。
しかし…マジで何してんだこのおっさん…とじろじろ相手を観察してみる。シロガネ山なんてレッドの独壇場みたいなもんだが…もしかしてレッド同様ここでポケモン鍛えてんのかな?でも今レッドが撒いたインフルエンザウイルスが蔓延してるから下山した方がいいと思うな。

「しゅ…修行ですか?」

何故か敬語で話しかけてしまい、威圧的になれない己の優しい一面に私は涙が零れそうだった。かつて対峙した悪の組織の親玉にもこの低姿勢…なんて育ちがいいのでしょう。さぞかし立派な両親に育てられたんでしょうね…クソ親父だったから今のは無しでお願いします。
私の問いかけにミュージカルスターはニヒルな笑みを浮かべ、相変わらずの貫禄を醸し出しながら、そんなところだ、と返答した。Nとの生活では八割方戻って来ない会話のキャッチボールに、こんな状況なのに思わず感動を覚えそうである。人間って…こういうものだよね、本来。コミュニケーションの本当の姿をいま思い出したわ。サカキに思い出させてもらうのも複雑だったが。どう足掻いても地獄。
膠着状態で私は、ひとまず日当二十万の仕事をこなしたいと思い、何とかサカキ回避を試みて口を開いた。ここは死地。修行なら外に出て転がりまくるドンファンとやっててくれんか。

「…それじゃ私はこれで…」

軽く手を挙げ、我ながらかわし方が下手すぎると嘆いたもんだけど、でも他にサカキと何話せっていうんだ?無だよ無。ポケモン勝負しないなら私に残された道はもうあれしかないから。それは通報です。そして駆けつけたお巡りはリングマの一撃を食らい…というバッドエンドが見えたからしませんけど。
シンプルに山中は電波が入らないので、私はサカキの返答も待たずに横を通り抜けようとする。普通に関わりたくないしね。お互い印象は最悪、向こうは私を恨んでるだろうし、そもそも修行って私を倒すための修行なんじゃないの?勘弁してくれよ。そんなところに本人来ちゃ絶対ダメでしょ。気まずいわ。
しかし修行中ならば今はまだポケモンが仕上がっていないという事…私と戦う意思はあるまい。いつになく冴えている脳でそう結論付け、堂々とサカキを無視し奥へ進もうとした。二十万円のためといえど、自らサカキの横を通らねばならないという前代未聞の事態に当然緊張しないわけがなく、極力避けたが、余裕で視界に入る距離だった。とにかく威圧感がすごい。
大丈夫…きっと…大丈夫。腐ってもポケモントレーナー。サカキだって私にアクションを仕掛けるとしたらまずはポケモン勝負だろう。だから大丈夫。いきなりプレイヤーにダイレクトアタックはない。絶対にだ。
PS4買ってドラクエがしたいという強い気持ちを抱き、小走りで私は駆けた。強く風が吹いていると言わんばかりにゴールを目指して、あと一歩でサカキを通り越すと確信した瞬間!残念ながら事件は起きてしまったのだった。

横目に見えていたサカキの瞳が、一瞬大きく見開かれた事に違和感を覚えたのも束の間。S全振りを疑う速さで私の腕を掴んだかと思うと、なんとそのまま引き寄せてきたのだ。怒涛の展開だった。
いきなりトレンチコートに顔を埋めるはめになり、その強引さに嫌悪感を抱くより前に、歩く全年齢と呼ばれた私のアイデンティティが脅かされる恐怖がきて、何としてもかの邪知暴虐のボスとのフラグをへし折らねばと決意した。
何を急に夢小説みたいな事しやがるんだ!と怒号を飛ばそうとした時、背筋に悪寒が走る。途端に唸るような声が洞窟内に反響して、私は異変を察知した。否、やっと気付いたと言った方が正しいかもしれない。
そもそも、私はカビゴンを傍に出していた。サカキが私に無体を働くものなら、当然カビゴンが首の一つや二つをへし折って成敗するはずだろう。長年共に過ごしたパートナーである。私のピンチはいつだってカビゴンが救ってくれたわけだ。ダリューンと言っても過言ではないね。私のことは姫殿下と呼んでよ。どの口がほざく。
しかし、私がこんなにしっかり骨が軋むくらいサカキに抱きとめられているというのに、カビゴンはこの状況を総スルーだった。そりゃあまりいいトレーナーとは言えないかもしれないけど、ここで反抗期とかさすがにないでしょ。タイミング考えてくれるか?林修だって今じゃないって言いますよ。
私は思い出したのだ。どうして二十万もの大金が手に入るのか、それはここに、凶悪なリングマが生息しているからだという事を。

「ひえ…っ」

振り返りながら間抜けな声を出す私の視線の先には、鋭い爪を向けたリングマがいた。Nに油断するなって言われたのに、背後から迫る野生ポケモンの気配に全く気が付かなかった。工藤新一だったら毒薬を飲まされているところである。
洗練されたリングマの忍術に気付かなかったのはカビゴンもサカキも同じだったらしく、突如襲いかかってきたくまモンに対し、咄嗟に出た手段が、私を庇って引き寄せる事だったようだ。
ガードするよう突き出されたサカキの左腕に、リングマの爪が食い込んでいるのを私は間近で見てしまった。ズバットのフラッシュがめちゃくちゃ明るいから見えなくていいところまで見えた。新たなトラウマが生まれた瞬間である。
無論人間の腕でリングマの攻撃を受け止められるはずがない。サカキが何とか持ちこたえているのは、さらにカビゴンがリングマの腕を食い止めているからであり、そのすぐあとに投げ飛ばして、凶悪なくまモンは気絶した。超展開すぎて私の思考回路はショート寸前であった。

これは…なんですか?ポケスペ…ですか?
ポケモンニートらしからぬ不穏な展開に、私はポケットモンスタースペシャルの世界へトリップしてしまったかと疑った。
だってそうだろ、流血沙汰だぞ。今までにあったか?トレンチコートが血に染まっていく衝撃が強すぎたあまり、私はろくなコメントもできず立ち尽くす。そうこうしている間にリングマが集まってきて、それをカビゴンが片っ端からなぎ倒していった。それを私は呆然と見ているだけだ。庇われた相手の心音を聞きながら。

「ち…血が…」

やっとの思いで震えた声を出す。黒いコートの上からでも出血量の多さはわかり、掌にまで流れてくる。なんで、と頭を巡るのはそればかりだ。
なんでだ。何で庇ったんだ私を。二度もロケット団を解散に追い込み、そして恐らくアローラでもレインボーロケット団を崩壊させるであろうこの私を。なんでお前が?息子が散々絡んできた詫びですか?代償でかすぎだろ。あと100ツンデレくらい付き合わなきゃならないよこんなの。それほどまでに傷は深そうだった。
どうすれば、と慌てふためく私の体をサカキは何故か離さず、そのせいで滴り落ちる血液が私のヒートテックを汚す。カビゴン対リングマの場外乱闘をバックに、困惑の眼差しでサカキを見つめていると、相手はようやく視線を合わせた。何故助けた、ともののけ姫みたいなことを尋ねれば、不敵に笑われる。

「…こんなところで死なれては夢見が悪いからな」

こっちも夢見悪いわ。なに自分だけいい夢見ようとしてんだよ。一緒に見ようぜナイトメア。
本日の悪夢が決定したところで、辺りを取り囲んでいたリングマの群れをカビゴンが無事制圧した。まゆたんカンフーのように謎めいた動きで倒されていくのを見届けたあと、ようやくサカキは私を解放したが、そそくさと逃げる事もできず手を伸ばす。

「血が…」

語彙がない。それしか出ねぇ。だってマジで血がすげぇ。リングマの長い爪がめり込んだら当然だ、しかも五本。一歩間違えたら赤髪のシャンクスになるところですよ。だってサカキ…腕が…!とか言わないよ私。お前の帽子もいらねぇし。
とはいえ助けてもらっていなければ私が死んでいたかもしれないのだ。いくらクソ迷惑な悪の組織のボスだからといって、息子の教育がなってなさすぎるからといって、部下の教育もなってなさすぎるからといって、捨て置けるほど私の人間性は地に落ちてないんだよ!お前ら親子は落ちてるけどな!突然のディス。
私はテンパリながらリュックに手を伸ばし、万一のために用意しておいた非常用持ち出し袋を取り出した。突然の土砂崩れ、雪崩、飢餓等々は旅をしてたら当たり前!これがあれば生存率が格段にアップ!という恐ろしすぎる謳い文句で売っていたから購入した袋である。もちろん救急道具も入っているから、それをサカキに手渡そうとした。19800円もしたけど…私の命の値段に比べたら安いもんだろ。19800円もしたけど。19800円。19800円か…19800円。くどいわ。

「手当てを…」
「必要ない」

私が他人を手当てしてやることなんてもう一生ないかもしれないのに、サカキは秒で私の申し出を突っぱねた。何なら食い気味だった。どういう事やねん。
こんな時に意地張ってる場合!?とヒロインみたいな台詞を吐くより前に、親切心を跳ねのけられたもどかしさで、私は半分自棄になりながら袋を突き出す。受け取れよ19800円!まだ言う。
なに、もしかして罠か何かだと思われてんの?手当てする振りをして致命傷を与えるとでも?誰がするかボケ。虫も殺せないわよ私なんて。真夏に蚊を叩き潰した事も忘れ、せめて受け取るくらいはしろやと強気に向かっていく。お前が私に死なれて夢見が悪くなるならさぁ、こっちだってそうなんだよ。お互い様。フィフティフィフティ。持ちつ持たれつ。ウィンウィン。つまりそういう感じだ。
段々と顔色が怪しくなるサカキは、この期に及んで断固受け取りを拒否し、それどころか危険な山へと向かおうとするではないか。もう若くないんだからやめとけ!と立ちはだかる私を、わざわざ怪我をした方の手で振り払い、あまりの力に一瞬怪我は大した事ないのかもしれないと錯覚した。しかしがっつり入った爪を間近で見た身である。今も滴る血液が、跳ねて私の口と頬に飛んだ。口裂け女みたいになるじゃねーか。いいから包帯くらい巻けよ。

「放っておけ」

だからこの応急処置セット受け取ってくれたら捨て置くってばよ!
互いに引かず、ただいたずらに時間ばかりが過ぎ、その間にも血はどんどん流れていく。いっそ袋を置いて立ち去ろうかと思った。でもそんな事したら不法投棄になっちゃうかな?言ってる場合かよ。
悩む私をよそに、ついに相手はこちらに体を向ける。観念して受け取る気になったか、と息をついたのも束の間、サカキは手を伸ばすと、そのまま私の唇についた血を親指で拭った。不意の冷たい感触にゾッとし、私は急にサカキが凶悪犯罪組織のボスだった事を思い出したような感覚に陥って、たまらず後ずさった。油断するなとNに言われたが、それはリングマだけじゃなくてこいつも同じ事なんだ。手負いだからって弱ってるわけじゃない。むしろ手負いの獣の方がやばいって言うじゃん。シルフのトラウマ忘れるなかれ。
警告でもしたつもりだろうか、サカキはそれ以上行動を起こさず、静かに奥へと去っていく。渡せずじまいの袋を握りしめ、まぁ放っておくのもそれはそれで親切かなと思ったりしながら、リングマの屍を跨いでカビゴンに駆け寄った。死んでねーけど。
私に情けをかけられるのも屈辱かもしんないしな…それでプライド粉々になって逆恨みでもされたらたまんねぇし。大体サカキだってベテラントレーナー、救急道具くらい持ってるだろ。19800円出して買ってるよ。そういう事にし、私はリュックに荷物をしまおうとした。
しかし、私もなかなか往生際の悪い女である。非情さになれないせいでわりと痛い目に遭ってきたけど、でもやっぱさぁ…夢見が悪いのって、嫌だよね。

「カビゴン…これ…」

一仕事終えて食べ残しをつまみ出しているカビゴンに、私は袋を差し出した。

「サカキに持っていってくれよ。私が行っても…受け取らないだろうし」

さすがのサカキも460キロの巨体が威圧的にやって来たら受け取らざるを得ないだろ。連戦のあとで申し訳ないがおつかいを頼めば、カビゴンは荷物を受け取り、軽やかな足取りで奥へ向かっていった。軽やかといっても地響きはすごいけどな…サカキも後ろからすごい音が響いてきたらさぞ驚く事だろうよ…悪く思うな。これも私の夢見を良くするため。ただでさえ家に怪電波流れてんだから大目に見ろや。

しばらくするとカビゴンは手ぶらで戻ってきたため、きっと務めを果たしてくれたのだろう。トレーナーに似ず優秀なことが自慢です。放っとけ。

  / back / top