XII
年明けて元旦。「あけましておめでとうございます」
「おめでとうございまーす!」
赤い振袖姿のかなたちゃんと待ち合わせて赤塚神社へ。今日のためにレンタルした振袖を同じ占い師の紫蘭さんが着付けしてくれたらしい。
「どうですか…?」
照れながら俺の前でくるりと一回転した彼女がとても可愛らしくて、抱きしめたい衝動にかられる。が、ここはグッと堪える。
「フッ、なかなか可愛らしいじゃないか、カラ松ガール」
「に、にゃーちゃんの方が可愛いにゃーちゃんのが」
「紫がよかった…」
「僕と一発どうす…ふごごー!」
「十四松にいさんは黙ってて!へへ!かなたちゃん可愛い!写メらせて!」
…こいつらがいなければ一層よかった。
年末の瀬戸際に晴れて想いを通じ合わせて初めてのデート…のはずだったのに、初詣に行くと一人こっそり出かけたその後を弟たちがついてきてこのザマだ。
「おそ松にいさん、あとでかなたちゃんの写真現像してあげるからさ!」
トド松はカメラマンとして随行させることにし、仕方ないので他の奴らも一緒についてくることになった。
「かなたちゃん、可愛い。似合ってる」
ほら、頬を染めて微笑む君。さらに可愛らしくなった。
トド松を見れば親指立ててウインクしてる。撮れたかな。あとでなんか奢ってやろうっと。
順番が回ってきて、まず俺とかなたちゃんで鈴を鳴らし、賽銭をぽんと投げいれてから柏手を打つ。
かなたちゃんは何を願うのだろう、ちらりと横目で確認するように見てから目を閉じる。
(就職、いいところが見つかりますように)
名前と住所とを一緒にとなえてから目を開けて一礼する。かなたちゃんはもう終わったようで俺の方を見ていた。
目が合うと照れたように微笑んでくれた。
場を次に待っていたカラ松たちに譲り、俺とかなたちゃんはおみくじがたくさん置いてあるコーナーに向かう。
「すっげえ、こんなあると迷っちゃうねー!」
「ほんと。スタンダードなものから恋愛に特化したものまであるね」
かなたちゃんは楽しそうにいろいろ見て回っていた。それを見て俺も楽しくなってきて、どれを引こうか迷うことすらも楽しくなってきた。
「決めた。わたしこれ引きます!」
と、彼女が俺にそう宣言して、お金を投入して大きく空いた穴に手を入れ、一枚その手にして引き抜いた。
そのおみくじはいたってスタンダードなもので、俺も引き続きそれを引いた。
「一緒に見よう」
そう言ってのりづけされたそれをはがして待ってるかなたちゃんと。
「せーの!」
でおみくじを開いて。
「お」
大吉!
俺としては珍しく大吉を引いた。
「大吉!」
かなたちゃんも大吉を引いたようではしゃいでいた。
あーすんげえかわいい。俺の彼女、めちゃくちゃ可愛いんですけどっ!?
恋愛、思い通り。うん、きてるきてる。
学業、安心して勉学せよ。勉強やだなあ、でも楽しんでやれそうなことあるかなー。
願い事、思いのまま。但し油断するな。油断大敵。
縁談、驕ることなく進めて吉
今年は、いい年になりそー!
神様に誓おう、今年は親孝行するって。
いつまでもニートじゃいられないよな。でもかなたちゃんがいたら。道しるべがここにいるなら、俺きっと無敵なヒーローになれるんじゃね?
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