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「クソ、俺が怒られたじゃねーかよ!」

「知らねーよ!後で片付けるって言ったのはお前だろうが!」


私の監視にやって来たのか、入って来た男性二人はずっとそうやって言い争っている
その様子を私はただグッタリと部屋の隅で眺めていた


「まさかあんなに早く公安に見つかるとは思わなかったんだよ」


公安?


「どうすんだよ、あそこには女共の死体を置きっぱなしにしてただろ」

「さすがにここまでバレねーよ。それに親方がどうにかすんだろ」

「....それよりこの女どうする?」

「バカ!親方より先に手出したら殺されるぞ」

「だから二人連れて帰ろうって言ったんじゃねーか、お前全員殺しやがって」

「仕方ねーだろ、金盗って来いってのも親方の命令だったんだしよ」

「はぁ....もう俺我慢できねーよ、お前が言わなきゃいい話だろ?」

「....今日はまだ待て。楽しみは長く取っておいた方がいいんだぜ?」

「....こ、来ないで....来ないでよ!」

「今巷で話題になってる薬、なかなか手に入らないらしいぞ。それをタダでこんなにくれてやるんだから感謝しろよな!」

「いや、要らない!やめて、....やめ

「おいおい、そんなに飲ませて大丈夫か?死んだらどうすんだよ」

「こんなんで死なねーだろ」






























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6人の女性の遺体が発見された店は直ちに封鎖され、俺はそこで信じられない物を見つけた

名前が持っていた物と同じ衣服や鞄

生活感のある部屋に満遍なく感じたあいつの存在は依然として生々しく、だが遺体の中に名前はいなかった

俺は霜月に見つからないように一枚シャツをその部屋から持ち帰り、唐之杜に指紋などが無いか調べてくれと渡した


「では、一度それぞれのチームで得た情報をまとめましょう。まずは霜月さん、お願い」

「こっちは見て明らかですよ。枡口の交際相手は歌舞伎町の廃棄区画にあるクラブルナと言うキャバクラで働いていて、そこで他の従業員と共に遺体で発見されました。店に防犯カメラも無く、誰の犯行なのかは分かりません。それだけです」

「まぁ被害者の女性は全員例のサプリを服用していた事が検死で明らかになってるわ」

「そうですか、ありがとうございます」

「先輩の方はどうなんですか」

「こちらでは鴻田製薬の会長と犯罪組織の関係を見つけました」


そう常守の代わりに答えたのは東金

一応常守にも店で見た物は伝えた
すると"如何なる捜査も私が責任を負いますので全て宜野座さんに一任します"との事
あまり常守には迷惑を掛けたくないんだが、ようやく掴んだ手掛かりを逃すわけにはいかない

....まさか名前も例の薬物を摂取したのだろうか
あまり時間を費やして部屋を調べられなかった為、サプリを探せなかった
唐之杜によると一度に摂取しすぎると急性中毒になり、最終的には脳出血で死亡する事もあるらしい
そうでなくとも強い薬物依存に陥る

....クソっ
どこへ行った?
どう見てもあの部屋でつい最近まで生活していたはずだ
店内で行われた虐殺から無事に逃げたのか?
それならまだいいんだが....


「唐之杜さん、資料を」

「はいはーい」


モニターに映し出されたのは、とあるグループについての調査結果


「彼らは主に廃棄区画で活動する裏社会の組織です。金と依頼で動き、盗みや殺し、人身売買などを行っているようです。この組織のリーダーと鴻田製薬の会長が秘密裏で繋がっている事が元組織の一員だった男性から分かりました。恐らく覚醒剤の入手も、枡口の殺害もこの組織によるものかと」


その報告に分かりやすく苛立つもう一人の監視官
事件を丸ごと常守に持って行かれたと思ったんだろう
....まだまだ新人だな


「現在違法薬物に関しては、上に鴻田製薬へ製造停止命令をだす申請をしています。尚市民へは真実を発表する事になりました」

「っ、正気ですか!?メンタルケアサプリだと思って飲んでいた物が実は違法薬物だなんて、余計色相濁っちゃいますよ!」

「覚醒剤への依存はそう簡単には断ち切れません。それなら大きな衝撃を与える方が効果的で、まだ重度な症状に至っていない人々にはサプリに対して警戒心を植える事が出来る。最も効率的な方法だと判断して局長にも了承を得ました」

「今の社会では色相が人々にとって最優先事項だ。今まで違法行為をしていたとなると、必死になって正しいメンタルケアを詮索する。俺は常守に賛成だ」

「....あっそうですか!どうなっても私は責任負いませんから!」


さすがに霜月には意地悪をしすぎたか





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