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....空気が重い

といのも、今日の当直は居心地が悪過ぎる

霜月監視官、伸兄、須郷さん、それから六合塚さんと私

先日の事で私は正直霜月さんに食わず嫌いのような嫌悪感を持っているし、伸兄と須郷さんは私が知る限りあれ以来一言も会話を交わしていない

須郷さんはまだメンタルケア施設での事件の報告書を作成途中みたいで、その当時近くにいた私にも話を聞いて来る
確かに私はあの時殆ど何も出来なかったから記載事項も少なかった
でも須郷さんは私達三人の取り残された二係執行官をリードしていた事もあって、情報量が多いらしい
そんな須郷さんは私にも気を遣っているのか、話しかけて来る時はやけにおどおどしている

それがどうも心が痛いというか、まだ自分を責めたり伸兄の態度も真に受けてしまっているんじゃないかと思うと責任を感じてしまう
何かしてあげられないかと考えるものの、隣の席から感じる"感情"を私も困らせたくない

そして霜月さんについても、伸兄からあの話を聞いてしまったからか
色眼鏡をかけている気分
何でもない言動の一つ一つが嫌味でも含まれているような
特に伸兄にはいくら上司でも失礼じゃないかと思う
"執行官の意見など聞いていません"とか、せっかくアドバイスしてるのに
でもそれに対して言い返しもしなければ、"昔の自分と似ている"ってばかりで否定しようともしない伸兄に少し苛立つ

私が嫌な思いをしている事よりも、"上司との無駄な衝突を避ける事"を優先してる様子は、そういう意味じゃないとは分かっているけど霜月さんを擁護しているようにしか感じられない
報告書の件で疑われた時は本人の言う通り"事実を述べただけ"で、その時こそそんなに強く言って大丈夫かと思ったものの、全てを知った今ではあれでも足りない
いっそ監視官の頃みたいに怒ってくれた方が私はスッキリするのに....

"妥協を覚えた"って....私が成長してないみたい


「どこ行くんですか」


私が立ち上がった瞬間そう聞いて来た霜月さんと、私の顔を見上げた伸兄


「....少し休憩して来ます」


仕事が出来そうにない静かなオフィスからとりあえず離れたかった私は、開かれた扉からエレベーターへ向かった

....どうすればいいのかも分からない
誰が悪いわけでも何でもない

ただの私のわがまま
































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「もう....どう思いますか?」


今日も一人分析室で、この頃地方で起こっているドローン乗っ取り無差別殺傷事件についてゆったり情報解析をしているところだった
後ろでドアが開いた音がして誰かと思ったら、いかにも何か溜め込んでそうな顔の名前ちゃん

珍しく愚痴を吐く姿に、名前ちゃんも普通の女の子なのねと当たり前のような事に嬉しくなっちゃった

話を聞く限り、簡単に言えば須郷執行官が可哀想だと思うけど旦那様が嫉妬するから何も出来なくて、そんな旦那様は意地悪して来る霜月監視官に甘いのがこの子は気に食わないのね

気持ちは十二分に理解出来るし、可愛いじゃない
それだけ旦那様の事を気にしてるって事なんだから、おしどり夫婦にも程があるくらいだわ


「自分の感情を優先してくれないなら、同じようにやり返せばいいのよ」

「え....?」

「名前ちゃんの美佳ちゃんに対する気持ちを尊重してくれてないのに、何で須郷執行官の事で名前ちゃんが我慢しなきゃいけないのよ」

「....それは...まぁ....」

「だから、もう気にしないでやりたいようにやっちゃえば旦那様も気付いてくれるわよ」

「....で、でも怒られちゃいます....」

「大丈夫よ、浮気や不倫するわけじゃないんだから。困ってる人を助けるのは人間として正しい行いでしょ?」

「そうですか....?」

「そうよ。それにあの宜野座君よ?あなたを溺愛して止まない旦那様が、そんな事で大事な妻を見捨てたりしないわ。むしろ激しい夜が待ってるかも?」

「か、唐之杜さん!」


顔を真っ赤にしてあたふたするのが、本当に私と同い年なのか疑いたくなっちゃうわ
ここまで初心に育て上げたのがお堅い監視官だったと思えば納得だけどね


「....そう言えば、ランジェリー」

「あら!着たの!?」

「む、無理ですよ!」

「ダメよ着なきゃ!もったいないじゃない!」

「....その、実は私再婚した事は聞きました。お祝いに頂いたって事で、お礼を伝えてなかったなと....」

「着てくれることが一番のお礼よ、もちろん詳しい感想付きでね」





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