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大丈夫かな....
オフィスには私、雛河さん、六合塚さん、そして霜月監視官
以外の人は軍事ドローンの実験場に向かっている
須郷さんと仲良くするって約束はしてくれてたけど、実際一緒に現場で働くとなると....どうなんだろう
さすがに揉め事は起こさないし、仕事はきっちりやるとは思う
でも変に二人とも"居心地の悪さ"を感じそうで心配
公安局に残った私達は
「増田代議士の聴取、立てこもり現場の解析、それから先輩が依頼したホロの解析作業まで....こっちもやる事多過ぎてパンクしますよ！」
が仕事らしい
少し前から霜月さんは多分常守さんと通話してる
「負担が重過ぎるんじゃないかって話です。第一、その現場はドローンが調査済みなんですよね？」
間も無く"時代遅れです、そういうの"と呟いた霜月さんは、通話が終了したのと同時に舌打ちをした
....昔の伸兄とまた違う類のキツイ性格かな....
なんて他人事のように思えるようになったのは、昨夜の私が何か不公平を受ければその時は怒ってくれるとした伸兄の言葉のおかげか、それとも今はまさに他人事だからか
どちらにしても霜月さんへの勝手な嫌悪は消えてはいない
ただなんとなく気持ちが軽くなったというか
どう足掻いても上司と争う気は無いんだろうという諦めが砕かれて、どこか安心した
....というのに、今朝
実は私は騙されていた事に驚愕した
昨日の夜はあのまま疲れて眠ってしまったから忘れてたけど、朝スーツに着替えている最中に目の前のクローゼットを見て思い出した
そう、ワンピース
どうなったのかと聞くと、"既に買ってある、今日あたり届くんじゃないか？"とごく自然に返されて私は呆然とした
完全に釣られてたんだ、私
釣られた自分にも驚きだけど、そこまでして私の機嫌を直そうとしていたのが暖かい....とは言っても騙した事には変わりない
絶対何かやり返そうと企んではいるけど良い案が特に思いつかない
「霜月監視官」
そうオフィスに響いたのは六合塚さんの声
....そういえば霜月さんって、六合塚さんにはちょっと甘いような....気のせいかな
「増田代議士について、色相が改善に向かっている事を理由に釈放を求める通達が厚生省から届きました」
「え...？」
「圧力ですね...どう考えても」
増田幸徳代議士
....そんなに偉い人なの？
絶大な権力を誇る厚生省がわざわざ釈放を求めるなんて
まぁその権力の元働きながら、離婚もさせられたけど....
「....この件は六合塚さん達でお願いします」
「監視官はどちらへ？」
「....局長に用があるので」
そのままオフィスを出て行った霜月さんを横目で見送る
あれで18歳なんだよね....
私なんて伸兄と口喧嘩したり、友達と出掛けたり、帰って来てまた喧嘩したりの毎日だった
....いや、さすがに"毎日"は言い過ぎたかも
「今行きますか？」
「いえ、分析官の方でまだ聞きたい事があるようなのでそちらを待ちます」
「分かりました」
六合塚さんっていつもクールな印象だけど、コメディとかで大笑いしたりするのかな
唐之杜さんとはどれくらいになるんだろう
知り合ってかなり長くなるのに、意外と六合塚さんの事を全然知らない
「霜月監視官の事、解決したんですね」
「え、あぁ...唐之杜さんから聞いたんですか？」
「見てれば分かりますよ、私も女ですから」
その言葉に恥ずかしくなって、ふと隣には雛河さんがいる事に気づく
....目の前のパソコンに集中しているみたいだし聞いてはいないかな
「....まぁ解決したと言うか...まだ引っかかりはありますけど....」
「大丈夫ですよ、ここにあなたを傷付ける人はいません」
「く、六合塚さん....」
「いざとなれば私からも何か言います」
「そんな！そこまで気にしなくても....」
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「....なるほど、彼の古巣か」
確かに国防省の軍事ドローンパイロットではあった記憶があるが、ここでも働いていたのか
その須郷とは結局まだ話せていない
相手も気まずそうにしている上、俺も何と言葉を発すればいいのか分からない
"すまなかった"とでも言えばいいのか？
名前に仲良くしろと言われた以上無視するわけにもいかないが、今遂行している任務以外の会話をするべきだとも思えない
「そう言えば、ご夫婦だったんですね！俺親戚か何かかと思ってましたよ」
「あ、あぁ」
隣にいた蓮池に突然話を振られ、返しが曖昧になる
「綺麗で優しい奥さん、いいじゃないですか！羨ましいですよ」
「妻が聞いたら喜ぶだろうな」
「どこで出会ったんですか？」
「....後にしてくれ」