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「今日どうすればいいと思う?」


だいぶ伸びて来た髪を、自分の指に巻きつけて見たり
三つ編みに編んでみたり
なんか、私よりサラサラじゃない...?


「悩むくらいなら行かなくていい。向こうもわざわざ刑事課までお前を探しに来ない」

「でもそれで影で何か言われたら....」

「勝手に言わせておけ」

「もう....女の子ってそんなに簡単じゃないんだよ?SNSで書かれるかもしれないし、高校の同級生とかにも伝わるかもしれない。最悪公安局そのものにクレームが入ったり....」

「はぁ....考え過ぎだ。そんな心配よりも今あるものを大事にしろ」

「それは....」

「なっ、やめろ!」

「愛してほしいって事?」

「馬鹿か!」


一緒に直接肌で温もりを共有していた布団を剥いで、わざとその腹部に体重を乗せるも
そのまままた布団に包み戻される


「また風邪でも引いたらどうする!」

「すぐそうやって....」


現実的過ぎるんだから
ノリと言うものを未だに知らないなんて
本当によく今まで大きな問題無く人付き合いしてこれたなと思う


「そうだ、あのプリンもう一回買って来てよ」


冬の冷たい空気に影響されたベッドの外
昨日の夜着て脱いだ部屋着を再度身に纏う

それに釣られて起き上がった上半身が姿見越しに見えて
相変わらず昔とは見違える体になったなぁとか
厚い胸板のすぐ横にある義手の連結部分が、今では随分見慣れたとか
肩にかかるようになった黒髪がやっぱり似合ってるとか
そんな事を思いながら鏡越しに目を合わせて聞いてみる


「あぁ、人気だとは聞いていたが、そんなに良かったのか?」

「え?食べてないの?」

「一緒に食べるつもりだったとメモに書いただろ」

「お店で買った時に一つくらい食べるでしょ!」

「....そうか?」


"確かに常守は車内で食べていたか"と少し弱々しく吐いた表情を見下ろす
あの時期に本当の意味で一緒に食べようとしてくれてたんだと思うと....


「....ご、ごめん....食べる気起きなくて賞味期限も近くなっちゃったから唐之杜さん達にあげちゃった...」

「....そんなところだろうとは思っていたが」

「一緒に行こ!ね!」


前より性格も雰囲気も柔らかくなったとは言え、私よりもずっと大きな体で残念そうな顔をするのは、どこか子供っぽい
まだ部屋着を着直している最中のまま、その体温の横に腰をかける


「常守さんは....最近ちょっと迷惑かけ過ぎてるから霜月さんに話してさ!行列も一緒に並ぼ!」

「....全く、お前はいつも都合が良いものだな。突然容赦無く突き放して、戻って来るなりまたすぐに甘くなる」

「だから、ごめんって....んっくすぐった

「振り回される俺の身にもなってくれ。ここしばらく犯罪係数が上がっていたのは知っていたんじゃないのか?」

「....っ、待っ

「それで痩せて帰って来るあたり、流石に狡いと俺は思うが....」


義手が冷たい
シーツが擦れる
邪魔そうに髪を耳にかける仕草
今何て言った?

あぁ

頭の中が白く塗り潰されてく

この後仕事な....
































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「本当にすみませんでした!」


出勤早々こだましそうな程に響いた台詞に立ち止まると


「か、唐之杜さんも頭を下げてください!」


常守と六合塚が横目に唐之杜を見ていた


「私達の考えが甘かった故に、名前さんが....」

「そんな、私は大丈夫ですから!」


すかさず隣から割り込んだ名前とは半ば強制的に約束を交わされた
出勤前、まだ慣れていない俺に代わって髪を結って欲しいと頼んだ際

『その代わり常守さん達には絶対怒鳴らないで!』

と交換条件を持ちかけて来た
元より苦言を呈すつもりも無かった俺はそれを飲んだが、この状況を見るに当の本人らはそうは思っていなかったらしい

昨日は咄嗟の事に焦って声を上げてしまったが....悪気は無かったと分かっている


「もう終わった事だ、謝る必要は無い」

「あら?優しいのね?私達あの後ずっと、どうしたらいいのか話し合ってたのよ?」

「....その苦労を無駄にしない為にも怒鳴った方が良いのか?」

「ちょっと!約束!」

「....もしかして名前さんが....?」



"ありがとうございます"
"助かりました"
等と戯れる女性陣を置いて自身のデスクに着く






....やはり一度釘を刺すべきか





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