第6話


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 鬼門のような冬休みを半泣きでごりごりと勉強しながらこたつで過ごした。年が明ければもうすぐにセンター試験がある。会場が高校な上、隣の席が風間というあまりにも緊張感のない試験だったが、この苦しかった一年が嫌でも終わりに向かっていることを実感させられた。

 センターさえ終わってしまえば、もう学校に行くこともなくなる。わざわざ寒い中、学校の自習室に一時間以上かけていくのも馬鹿らしく、いよいよ焦りに焦って時間を一分も無駄に出来なくて、ただ家で机に向かって過ごした。一日中座った状態でもう体が固まって動かないんじゃないか、と真剣に不安になったりした。

 気が抜ければ春休みで暇している(だろうと勝手に決めつけている)浩二さんに突発テロのような弾丸電話を入れ、好き放題喋り散らして切るという大迷惑な行為を繰り返した。どんな愚痴だろうと、泣きごとだろうと、ドン引きハイテンションだろうと、浩二さんは電話には出てくれたし、テキトーに励ましてくれた。

 そんな高校三年生も終わりを迎える。

 卒業式が近い。三学期の始まった一月から登校日が五日ほどしかなかったから、久しぶりに教室に集まったクラスメイトたちは浮き足だったように止まらないおしゃべりを楽しんでいた。どこの大学に決まっただとか、浪人しようと思っているだとか、今日通知が来るだとか、いろいろな話が飛び交っている。

 もちろん今日が試験日で休んでいる人もいる。晴久がそうだ。

 卒業式を三日前に備え、ほぼ二か月ぶりに登校した俺はもうそれだけハルと顔を合わせていないことになる。もちろんそんなことを考える暇も隙もなかったが。

 無事第一志望である、浩二さんも通っている大学に二度目の試験でギリギリのところで合格した俺は、相当担任にはもてはやされた。確かになかなかの難易度の大学だし、学校的にはかなり喜ばしいことだとか。まあ、無事に終わったことにはさして興味もない。

 寒さの落ち着き始めた、日差しのまぶしい外をぼんやりと眺める。この場に一緒にいて誰よりもうんと話したいのは晴久だ。頑張ってくれ、という思いと終わってしまうという苦しさが入り混じっていた。


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