第6話
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一人になった部屋にシャワーの音が小さく聞こえる。ベッドに倒れ込み隣のベッドをぼーっと見つめた。
「明日で終わりか…」
次に会うのはいつになるだろう。なんとなく想像してみる。例えば四年後、俺は大学を卒業した時今となんら変わらない顔でハルに会えているだろうか。それよりもハルは俺のことを覚えていてくれるのだろうか。
会えない…会いたい…会えない…
「進まなきゃだめなんだよなぁ、俺が…」
区切りをつけると決心したのは自分だ。どんなに好きでもそれを伝えるつもりはない。ゆっくり死んでいけばいい。俺の中で成仏できないこの感情は、俺が一番知っていればもうそれでいい。
ふと揺すられてゆっくりと瞼を上げる。気持ちよく沈んでいた意識はまだ底の方でゆらゆらと漂っていた。
目の前には濡れた髪から水滴を滴らせながら俺を覗き込むハルがいる。
目の焦点が合った瞬間、頭が覚醒する。目を見開いて息を飲んだ。上半身裸のハルはヘッドタオルを肩にかけている。まだ湿った肌に汗のように水が滴っている。さっきまで気にならなかった、やたらとオレンジがかった暗い部屋の照明が急に気になり始めた。
悔しいことに俺よりも大きい手が肩をつかんでいる。筋肉のついた太い腕と引き締まった腹筋に嫌でも目線が向いてしまう。俺を見るハルにその視線の動きがばれていると思うと恥ずかしい。
「明日の朝時間あるならそれでもいいと思うけど、シャワーだけでも浴びとけば?」
「あ…うん。目ぇ覚めた、大丈夫」
答えると、熱い手が離れていく。心臓の音がうるさかった。
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