ネオンの微熱


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 大学時代にはワンルームだったアパートが、今では1LDKのマンションになっている。もう何度となくこの場所で朝を迎えている。外は真っ暗な夜の色だ。急いているように見える先輩はいつになく余裕がなさそうだった。簡素な部屋には最低限のものしかない。寝起きだけをするような部屋なのに、人が入ればムラムラとするような生活感を感じる。

 帰るなり熱い手に手首を握られたまま、ベッドへ押し倒される。首元に熱い息を吐き出しながら先輩の顔が埋められた。吐息と同じくらい先輩の肌も熱くて熱くて、思わず身をよじった。

「先輩…シャワーは?」
「いい」

 わざわざ聞かなくても答えなんて分かっているけどいまだに慣れない。シャワーも浴びずに抱かれるなんてなんだか恥ずかしくてたまらない。恥ずかしいところなんてもう出てこないほどに見られているというのに。
 
「…店に来る前、どこか行ってたのか?」
「…んぁ」

 耳元から首筋にかけて唇を這わせながらそんなことを聞かれる。唇の柔らかい感触と同時に吐息がかかった。こんなに敏感な体じゃないはずなのに、そんなちょっとしたことにも体が熱を持つ。くすぐったさがもどかしくて、情けない声が口から漏れていた。
 
「浩二」
「ん…二丁目で、飲ん…でた」
「ああ…だからか」

 先輩の手がシャツの下を這う。胸を熱い指がかすめた。たいした刺激じゃないにも関わらず、まるでその先を期待するようにびくりと体が震えた。まったく俺の反応には目もくれず、大きな手はただ肌の感触を楽しむように腰をまさぐり下から上へ這い上がるように撫でるだけだ。

 無意識に腰が浮きもっと直接的な刺激を求めているのが分かった。体をよじると首筋を軽く噛まれた。甘く噛まれただけだというのに、吐息と一緒に高い声が漏れ出る。
 
「男ものの香水の匂いがする」

 くっそ、知らねぇっつの。すんすんと首筋の匂いを嗅がれるのが無性に恥ずかしい。
 
「俺は何も…っしてない、から。酒飲んでた、だけっ」
「知ってるよ。何も疑ってるわけじゃないけど。浩二が俺に嘘つくわけがないものね」

 ああ、くっそ。さっきからずっと首ばっかり。匂いなんてどうでもいいだろ。俺が欲しいのはもっと、もっと…。

「ん?どうしたの」
「先っ輩…」
「名前」
「っ…」

 顔が熱い。そんなに呼ばせたいのかよ、この変態が。名前にそんなに強い意味なんてあるかよ。楽しそうに笑いやがって。
 
でもこんな時の入間さんの目は笑っていても、体が竦むような雄の目をしているのだ。息は上がり目はどことなくぎらついて、頬は火照っていて。たまらなく卑しい。

 早く触ってほしかった。思う存分触れてキスして入れて、いっぱいにして。

「かおる…さんっ」

 もう待てないから、待てなんてしないで。ふざけんなよ、このゲス野郎が。

にじむ視界で精一杯に睨みつければ一週間ぶりの熱がやっと唇に振って来た。夢中でむしゃぶりつき舌を入れる。絡められればただでさえ苦しかった下半身が存在を訴えじんじんと痛い。
呼吸の隙さえ与えてくれない先輩の息遣いが直に入ってくる。ポーカーフェイスを装っていながら、もうずっと熱いものが当たっているのには最初から気づいていた。

「はっ…あんたも全然余裕ない…っ」
「当たり前だろ」
「何、そんなに例の後輩くんに手こずってんの?」

 よっぽど溜まってんのな。さすがストレスが性欲に置き換わる人間だ。鼻で笑えばにっこりと笑いズボンの上から先走りの滲んだ部分をスッと撫でられた。
 
「ひ、ん…っ」
 びくりと大きく腰が跳ねた。ほんと、苦しい。
 
「なぁ、もう脱がせて、苦し…んん」

 口を開く隙なんてくれない。外してほしいのはベルトだっていうのに、先輩の手は俺のシャツのボタンを外し始めていた。その間にも舌と舌が遊ぶ水音がぴちゃぴちゃと響く。


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