3話 超えて堕ちて、後で結べ
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「えー?別にウィンウィンじゃん。久世谷くんは俺を練習相手に使える、俺はイケメンを間近に見られる」
ラップに包まれたおにぎりを食べながら先輩が目を瞬いて言った。
購買で弁当を買ったあと、教室に戻ろうとしたところで中庭から出てきた先輩に拉致されて今にいたるが、まったく不自然なところなどないくらい自然に並んで昼を食べている。
そこで昨日思った疑問をぶつけてみたが、相変わらず常識的な話は先輩には通じなかった。
「俺の顔ってそんなに先輩にとって価値あります?」
「なんだよ〜久世谷くんそれなりに自分がイケメンだって、モテるって自覚してるじゃない」
「や、そんなことないですけど」
それはちょっとおこがましい。
「でも昨日告白された時だって、またかって思ったっしょ?そもそも俺の経験則では女嫌いはイケメンが多いんだな」
「はぁ、そっすか」
先輩の腕まくりした白いYシャツからは細い手首が覗いていた。元が色白なのか、日焼けした肌は瀬戸ほど黒くない。
そんな小麦色の肌が陽の光によく映えていた。まじまじと先輩の手首を見つめていると、その手が動きこちらに向かってきた。
寸前で顔を上げると、先輩が俺の顎を掴んでいる。
「どうよ、それで。女嫌いはちょっとくらいマシになってる?」
「いや…とくには」
「まぁそうだよなぁ」
手を離し、片手で持ったおにぎりをまた一口かじった先輩は、もぐもぐと口を動かしながら、何か考えているようだった。
「そもそも俺が男だし」
ぽそっと呟いた先輩が最後の一口を口に入れ飲み込むと、やけに真剣な顔でおもむろに俺を見上げた。
「久世谷くんさ、エッチしたい?」
「したいっすね」
「巨乳じゃなくていい?」
「柔らかかったらいいっすね」
「女の子の気持ちよさそうな顔、見たくない?」
「ただ腰を振って気持ちよくなりたい」
「相変わらずクズいなぁ」
こんな真昼間の中庭で唐突に「エッチしたい?」なんて聞いてくるほうもなかなかだと思う。呆れたように笑った先輩が、前に伸ばした俺の足に手を伸ばすと、太ももを静かにたどってくる。
「久世谷くんはそのちょっとクズで鈍感なところがちょうどいいよね」
「そっすか」
「うん。ぶっちゃけただ気持ちよくなりたいだけなんだろ。わざわざ女の子に馴れる必要なんてないわけだし。相手くらいしてあげるよ?手頃に気持ちよくしてあげる」
俺の上に跨った先輩が股間をやんわりと揉みしだきながら、首元のネクタイに手を伸ばした。先輩の手によって緩められたネクタイがそのまま解けて落ちていく。いつものように底の見えない笑顔で笑う先輩が、何を考えているのかは分からなかった。しかしこんなことをされても嫌じゃないことだけは確かだった。
ぷつりとボタンを外されていく。先輩のように鍛えられた体ではない分、人に見られるのはなんだか恥ずかしい。先輩の体だって生で見たことはないけれど。
そう思ったら自然と手が伸びて行く。校則違反なんて気にもせず、先輩は基本ネクタイをつけていない。ボタンを外していけば、びっくりするほど引き締まった身体が現れて息を飲んだ。
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