3話 超えて堕ちて、後で結べ


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「え、なに。男同士でセックス?できるよー」

 当たり前じゃん、とでも言いたそうに先輩があっけらかんと言う。放課後のミーティングルームだ。

 前に使った人が直し忘れたのか、ブラインドは降りたままで、なんとなく薄暗かった。先輩はスマホをいじりながら椅子にぐったり背中を預け、脚は机の上に乗せるというまただらしない恰好。パッと顔を上げると意味深に笑って見せた。

「なになに、興味あんの?あはっやってみる?」
「な、何をですか」
「何ってだから、セックス」

 にこっと効果音でもしそうな笑顔を向けてくる。俺は別にヤってみたくてこんな話をしたわじゃない。ぶんぶん首を横にふれば、先輩はなぜだか爆笑していた。

「いいじゃん久世谷くんヤろうよ〜推しのちんこしゃぶってやるって言ってんの」
「しゃぶってほしいなんて言ったことねーよ」
「えぇ〜そんな…そりゃ俺巨乳じゃないし、久世谷くんの好みの女じゃないけど」
「あんたそもそも男だろ」

 わざとらしく頬を膨らませちぇと言うが、俺はこの人の慣れ切った感じが怖い。キスも抜き合いも、する度に思うが先輩はびっくりするほど手馴れているのだ。この調子だったらセックスだろうが、あの調子でやりかねない。

 俺の経験が特別ないだけなのか?いや、でも男子高校生の平均だと思うんだけど。だいたい大和なんてその手の話題で顔真っ赤にしてような可愛い奴だぜ?キスもしたことないみたいだし…とか先輩がファーストキスの俺が言っても悲しいだけなんだけど。

「ヤりたかったなら事前に言えよ、ちゃんと準備してあげたのに」
「え、準備?…てかいやいや…そんな……結構です」
「……一回くらい、いいじゃん…ね?」

 にたにた笑いながら立ち上がったかと思えば、椅子に座った俺の膝に跨りむふふと笑う。俺のこと欲求不満扱いしてくる先輩だけど、それ絶対人のこと言えないと思う。

「ね?じゃないですって…先輩経験あるんですか?」
「んー……秘密」

 歯切れ悪く言うと、珍しくぎこちなく笑った。最近分かってきたことだけど、藤崎先輩は緊張してたりするとこんな笑い方になる。

「お?なーに久世谷くん、元気じゃん」

 人がちょっとでも気にしてあげれば、先輩はすぐに人の悪い笑みを浮かべた。

「なんもしてないのに勃ってる」
「先輩が乗ってくるから」
「なにそれウケる。パブロフの犬的な?」
「犬と一緒にすんな」

 ムカついたから思い切り噛みついた。細い首筋は今日も無防備だ。

「いっ……ったぁ……犬じゃんかよ、まったく。久世谷くんが犬……」
「変な妄想すんなよ」
「あ、ちょっとワンって言ってみてくれる?」
「言うかアホ」

 がなると今度は先輩は嬉しそうに笑って首に手を回して、唇に吸い付いてきた。空気が一瞬で変わるのが分かる。これはスイッチが入った先輩だ。

 女嫌いを直すだとか、もうそんな名目もなくなっているように感じる。付き合ってやっているのはどっちなのか、と言いたい。お互いの欲求不満に、お互いの性欲処理に体よく使われていると言えばいいのか。確かに先輩の言うウィンウィンの関係だ。

 おまけに男同士でもセックスってできるらしい。どうせ恋愛感情だとか愛のない関係なんだ。せいぜい居心地のいい先輩と後輩の仲。それならノッてやってもいいかもしれない。なんて言うの?コスパ良しって?こういうところがクズなんだろうな、俺。

 されるがままに咥内の侵入を許していたが、今度は自分から舌を絡めにいった。

「全然やる気じゃん」

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