5話 迷妄モラトリアム
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「……え?」
「どうしよう!どうしよう!」
思いもよらぬ発言で一瞬頭が真っ白になった。先輩はまだ赤いままの目元で興奮気味にどうしようえお連発している。
挿れたいとは…
「久世谷くん…!」
勝手に興奮し始めた先輩は、いつもの調子を取り戻しつつあった。そんな先輩を見て、よかったと思うと同時に明らかに発情している先輩の顔を見て身の危険を感じる。
さっきまでとは一転してキラキラした目で俺を見上げる先輩の口元からはよだれでも垂れてきそうだ。
「君の童貞もらってやったんだから、処女もちょうだい!」
「何様だよ!?」
「久世谷くんこの間いいって言ったじゃん!」
確かに言ったかもしんねぇ…!
抱きたいって思うんなら下にばっかなることねぇじゃん、とか純粋に思った俺がいたわ!
さっきまではらはら涙をこぼしていた先輩はどこへ行ったのか、いまや獲物を狩る…いや、ごちそうを前にした獣のような目になっている。
「久世谷くん、嘘はいけないよ!」
「そ、そうですね…」
「……まあ嫌ならいいけど…?」
足に巻き付いてくる先輩を引きはがすように暴れていたら、ふと先輩が不貞腐れた様子で言った。
その声音に思わず下を見る。先輩はがっちり俺の足に抱きつきながら、むっとしたように頬を膨らませていた。
か、かわいい……。とてもじゃないが高校生男子がやる仕草じゃねぇのに…!クソッかわいい……。
「ねぇ久世谷くん」
先輩はねっとりと厭らしい笑みを浮かべた。すぅっと手の平が太ももをたどって足の付け根を掠る。
さっきからピクピクと反応しているモノもそろそろ気づかれるんじゃないかと不安だ。ギリギリの所で平静を保って……ないですよね。
自分の股間を見下ろせば、がっつりと形が浮いて見える。
にやりと笑った先輩がジッパーに指を当てて、これ見よがしに俺を見上げる。
「俺の童貞、ほしくない?」
あの手慣れた先輩のハジメテ。
何でもいい。先輩の一番になれるなら。
先輩は今までのこと全部経験済みで、俺のはじめてをかっさらっていったのだ。果たしてこの動悸はトキメキか、それともただ盛ってるだけなのか。
何でもいいよ。今、先輩は俺しか見てないから。
若干の諦めと開き直りで、にやりと笑って唇を舐めた。
「いいっすね…そうじゃないとフェアじゃない…」
あんたの一番、ちょうだい。
答えた途端、制服越しに先輩が勃ち上がったソレに口をつけた。興奮気味に顔を赤くして、手慣れた仕草でベルトを外しにかかる。性質の悪い笑みを浮かべながら舌を這わして、これ見よがしに俺を見上げた。
「じゃあ、しゃぶってやんよ」
少し顎を上げてジッパーを咥え、ゆっくりとチャックを下げていく。
視覚的にも、感覚的にも、高揚感と同時に刺激はまだかと焦らされている気分になる。
これはクる。
「あっは、息上がってんじゃん久世谷くん」
「んっ…ふふ」
「ねぇ……名前呼んで?」
上目遣いに俺を見上げる先輩と目が合った。
先輩はこの間も名前で呼ばれたことを嬉しがっていた。言われなくても、俺は先輩のことしか見えてないというのに。先輩を道具のようだとか、ボランティアだとか、そう思ったことなど1度もない。
かわいい。好き。
名前なんていくらでも呼んでやる。
だから先輩も俺のことだけ見ててよ。
「千紘先輩…千紘先輩…」
はわわ、と効果音でもつきそうなくらい嬉しそうに先輩が顔を崩した。
「おっきくなった」
「先輩…」
「違う、名前」
「…千紘、せんぱいっ…もう俺けっこうキツイから…」
息が荒くなる。自然と腰が揺れそうになるくらい、刺激を求めている。そんな余裕のなさが顔に出ていたらしい。先輩が俺を見上げて、また嬉しそうに俺のものをくわえ込んだ。
「っ…はぁ…」
「んぅ…」
小さい先輩の口では浅く咥えたくらいでは先走りの流れる先端くらいしか入らない。それでも、咥内の温かい温度とねっとりと絡みつく舌は腰が外れそうになるくらい気持ちよかった。必死に咥える先輩の顔を見下ろしていると、いつものように先輩に挿れたいと思う。無茶苦茶に犯したい。
先輩が口を離し、裏筋を舌でゆっくりとたどり始めた。
「うっ……千紘先輩…」
「ごめん…俺、下手だわ」
どこがだよ、と内心突っ込むが、先輩の顔を見ると案外本気で気にしていそうだった。
「でもはじめてだから、許して久世谷くん」
挿れたい。いや、我慢だ。我慢、我慢…。
先輩の手つきが次第に速くなっていく。唾液が絡まる咥内の刺激も相まって、もう張り詰めたモノは限界を迎えそうだった。。
「あっ…せん、ぱ…ちょっ」
もう無理と思った瞬間、先輩がいきなり奥までくわえ込んだ。苦しそうな表情で上目遣いに見上げ、満足気に息を吐き出す。
「んっ」
うわ、
「待って、待って先輩、出して離して。出てる、ちょっと…う」
さらに搾り取るように根元から吸い上げる先輩に腰を抜かしそうになる。気づかないうちに先輩の髪の毛をひっつかみぐっと握っていた。
「あっ…」
先輩が顔を離したのは、俺が完全に出し終わった後だった。唾液やらいろんなものを引いて先輩の口が離れていく。赤い顔でひどく厭らしい顔で笑っている。
その下の細い首元で、確かに喉が上下した。
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