人間とは思えんな








作戦通り、ホムンクルスが出て来たのにリン達だけでは荷が重そう…だけどエド達はスカーとの“別件”が出来た…
「(この作戦、バカ王子が死ねば意味がない…)」
分かっていた事だが令美は予定通り、リン達に手を貸す…スカーの元から離れられないエド達に言ったところでどうする事も出来ないから…

 「(…あいつまで出て来たら仕方ない…か)」




◇◆◇◆




「(…甘くみすぎたよ…)」

リン達は決してこの作戦を甘くみたつもりはなかった…ただイレギュラーな相手がいた…グラトニーの様に『中身』が見える相手であるならリン達は人間かそうじゃないか分かるのだが…

人間だと思ってたホムンクルスにライファンがやられた…早く、鋭い、2本の剣で…

負傷したライファンを抱えたリンは今、逃げ場がない個室…捕まえるが目的だったがこの状況では逃げることさえ困難

リンが出した閃光弾でもグラトニーの目は見えなく出来たが、もう1人のホムンクルスは無理だった…そいつは片目を眼帯で隠してたから…傷で隠してた訳じゃない…ホムンクルスの入れ墨が入った瞳を隠すためだ

「(…どうする…)」

「派手にやられてんじゃないわよ…偽物風情に…」

『⁉︎』

そこに、気配も足音も無く、姿を現した令美に全員が驚く…


「いやはや…やはり君が出て来たか…

  君を相手にするのは…骨が折れるよ…」

「…ひとまず逃げるよ…作戦は続いてんだから


『キング・ブラットレイ』は私が相手する」


作戦をリンも知っていたが、自分よりも年下の女の子に助けてもらうなんて想像出来ないが…だが令美を見ると安心してしまうリンがいた…

「(…惚れてしまうヨ…レイミちゃん…)」




◇◆◇◆


「はぁ…疲れる」

スカーからの攻撃は続き、エド達はまだ出てこないホムンクルスに焦ったく感じながら逃げ続ける
「でぇ⁉︎行き止まりぃぃぃぃぃ⁉︎」
細い路地裏の行き止まり、エドだけスカーに挟まれた…スカーの目的はあくまでエド
「こなくそっ‼︎」
国家錬金術師であるエドはスカーから集中的に狙われエドは行き止まりのため上へと逃げるがスカーはそれを許さない

「ぎょぇぇぇぇぇぇっ‼︎」
配管を使って登るエドにスカーはその配管を壊した、エドは掴まりどころを無くして重力に逆らうことなくスカーの元へ落ちていく
「何やってんのよ」
落ちるエドをアルが錬成した岩の手でキャッチし、令美はスカーにアリスで操った岩を投げつける

「ナイスだ弟よ‼︎」
「いいから早く逃げる‼︎」
危なっかしいエドを助け、泣いて喜ぶエドに令美は呆れた
「もう、少しは気をつけてよ私忙しいんだから」
「すっ…すまん」

路地裏といえど一般人がいる場所でスカーは気にする事なく暴れるそのおかげでこちらは逃げながら守ってるが…軍人2人が巻き込まれ気絶してしまった
「こんにゃろ!関係無い奴巻き込むなよ‼︎」
「貴様が大人しく裁きを受ければ終わる事だ鋼の錬金術師」
「ムチャ言わないでよ!」
結構な時間、スカーの相手してエドの消耗が激しくなってる…

「…レイミ…まだか…」
スカーを挟むようにエドとアルが立っていてスカーは攻撃の手を止めた…エドは隣にいる令美に今の状況をきく
「緊急事態でまだ時間がかかりそう…」
「…マジかよ」
エドとアルには伝えている“ドッペルゲンガーのアリス”で作ったもう1人の令美はリンの方に加勢しに行っていて、苦戦しているとエドに伝える

「……っ」
「…どうした?」
「…何でもない…

(…このポンコツが…もうきたっていうの)」








◇◆◇◆




「レイミちゃんって本当何者?」

「そんな事言ってるヒマあるんなら足を動かして」
逃げ場のなかったあの部屋は今、黒焦げになっていた…ホムンクルスから逃れるために令美が“いつのまにか”リン達を外へ出し、ホムンクルスをあの部屋ごと爆発させた…どうやってそんな事したのかリンには分からず驚きっぱなしだ

「…やはり一筋縄ではいかないか…カンナ レイミ…」
爆発の中から無傷の…いや無傷になったブラットレイとブラトニーが逃げていく令美達を見る

「やれやれ無茶をする子供だ…私も若い頃はあれ位の無茶を平気でしたものだったがな…まったく年は取りたくないものだ…目では追えても身体が言う事をきかん…」
ブラットレイはリンとランファンなら倒せる確信がある…だが令美は…令美が現れてから一瞬と言ってもいいほどブラットレイとグラトニーは爆発に巻き込まれ命を落とした…ブラットレイの瞳でさえもよく“見えなかった”

「(………人間とは思えんな…)」




◇◆◇◆




それは…アルが消耗しているエドのため、時間稼ぎを目的でスカーに話をふったのが始まりだった
「スカー‼︎自分も錬金術を使ってるくせになぜ錬金術師を神に逆らう者として毛嫌いする⁉︎」

「イーストシティでも言ったはずだ貴様ら作る者がいれば壊す者もいると…」

「イースト………壊す……」

スカーと初めて遭遇したイーストシティでの事をアルは思い出す…ニーナを

「…壊す事しかしない、その行為が何を生み出すって言うんだ…神の名を出して殺しを正当化したいだけじゃないのか⁉︎」
ニーナを想い、アルは怒り震えている
「ショウ・タッカーも………その娘ニーナも

    神の代行者をかたって殺したのか‼︎」











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