
気づかなかった本心
( 2人と旅すると決めたけど
長くは続かないと思ってた
アリスがあるから… )
「っ!」
エド達が帰ってくる前に出て行こうか…令美は久々にアリス学園の制服に身を包み準備していた…だけど…
「…なるほど、人助けは“借り”を返すチャンスかもね…見てくれは強そうだしいいじゃない」
宿の中、令美はエド達を“見てた”…傷の男(スカー)のことも知っている、街を回ってる時に“聞いた”ことがある
令美は予定を変更して窓を開けて身を乗り出し外へ出る
「…私が行く前に死んだらあざ笑ってやろ」
[ 気づかなかった本心 ]
「兄さん‼︎」
エドとアルは逃げていたが、結局スカーを相手にしないと、いけなくなり…初めにアルの鎧が壊された…
アルの中身にスカーは少し驚いていたが、スカーの目的はエドで…エドの右腕のオートメイルは…
破壊された
「神に祈る時間をやろう…」
「あいにくだけど祈りたい神サマがいないんでね」
アルも動けず、エドも右腕が無くなり錬成出来ない状態ではスカーに勝つことも、逃げる事もできない
「…あんたが狙ってるのはオレだけか?弟アルも殺す気か?」
「邪魔する者があれば排除するが今、用があるのは鋼の錬金術師…貴様だけだ…」
スカーの言葉で令美の事は知らないようすで、エドは少し安心した
「そうか…じゃあ約束しろ、弟には手を出さないと…」
「兄…」
「約束は守ろう…」
エドはアルをおいて逃げる事は出来なかったら…
「何言ってんだよ…兄さん何してる!逃げろよ‼︎
立って逃げるんだよ…やめろ…やめてくれ…
やめろぉぉぉおおお‼︎‼︎」
アルが叫びエドは動かず…スカーがエドに触れる前に…
「随分とボロボロになってる…でも生きてるね」
「っ‼︎」
「…レイミ…さん」
3人の前に現れた令美は、いつも通り過ぎるぐらい軽く乱入してきた
「…お前…何でここに…」
「“借り”を返しに来たの…違う言い方なら
“助けに来た”ってやつ?」
令美は笑った、エド達が驚き、スカー令美を睨みつけようと
「…邪魔をするのか…」
「その兄弟を殺されると私が一生借りを返せないじゃん、そーゆーの嫌いなんだよね」
「やめろ‼︎」
邪魔する者は殺すと言ったスカーは相手が女でも殺すのだろう、エドは令美を止めたい
「そいつは違う!手を出すな‼︎」
「もう遅い」
スカーはエドの言葉に従わず令美の元は走り出す
「レイミさん‼︎」
「…逃げろ‼︎レイミ‼︎」
「水に圧力を加えると“銃”にもなるのよ
知ってる?傷男…」
(ブスっ…)
「⁉︎…なっ…にっ…‼︎」
令美は子供のオモチャである水鉄砲をスカーに向けて、打った…無害な筈のその水鉄砲はスカーの肩を撃ち抜いた
「…なんだ今のは…」
「レイミさん…」
肩を撃たれ動きが止まったスカーもエド達も令美が持っている水鉄砲に驚いている
「殺しはしない…殺されもしないけどね」
肩を撃たれてもピンピンしてるスカーに令美はこちらに来られる前に打つ
「…へぇ…理解もしてないのに避けるなんてね」
「何であれ、邪魔する者は殺す」
何発か撃ってもスカーは全て避けてみせた…化け物みたいだと令美は思った
アリスを見せる気はなかったがスカーは完全に令美を排除しようとしている、少しはエドから気が逸れるのが狙いだ
「(こんな雑魚すぐやっつけれるのに…殺さないのって意外と大変なんだ)」
意外な発見に令美はどうするか考えるが次はスカーが行動をはじめた
「撃たれてるのに、めんど」
素早く動くスカーに令美の水の弾は当たる事なくスカーが近づいてくる
「レイミ‼︎」
「図体デカいくせに、すばしっこい‼︎」
もう一つの水鉄砲を出して一発ではなく数発打ってもスカーは予想してたのか
「フンッ‼︎」
スカーは地面を破壊して、その破片を上手く壁にして自分の身を守った
「…馬鹿力…!」
「…これで、終わりだ」
わざと地面を破壊した時土煙がたつようにしたのだろうスカーは一瞬で令美の背後にまわり、その頭を壊すため右手が触れようとしたが
「…残念」
“カチャ…”と気がつけば目の前に令美はいなくなり、何故かスカーの背後にいて頭に水鉄砲を向けられた
「っ⁉︎」
「はい、おしまい」
(ドン‼︎)
「そこまでだ…」
心臓が激しく鼓動するのをスカーは感じた…それは確かな恐怖だ、死に対する…
スカーは自身が死んでないのを確信し、自分の目の前に軍隊を引き連れた、ロイ・マスタングを見た
「…来るのが遅い」
『⁉︎』
スカーとエドとの間には距離がある、令美を狙ったスカーが離れたせいだ…なのに令美は今、エドの隣にいた
「…お…まえ、は…えっ?」
「あんた達はやられるのが早いのよ!しかも諦めてるし、馬鹿」
エドがア然とスカーと令美を見比べている中令美は軍にもエドにも文句を言ってる
「まぁ、何にしろ危ないところだったな、鋼の」
「…大佐、こいつは」
「その男は一連の国家錬金術師殺しの容疑者…だったが、この状態から見て確実となったな…タッカー邸の殺害事件も貴様の犯行だったな?」
令美の文句など聞こえてないフリするロイはスカーについて話せばエドの目つきが変わった
「…錬金術師とは元来あるべき姿の物を異形の物へと変成する者…それすなわち満物の創造主たる神への冒瀆…
我は神の代行者として裁きをくだす者なり!」
「(神…?)」
スカーは自身の信念を貫きとおす…令美には全く理解は出来ないが
「それがわからない…世の中に錬金術師は数多いが国家資格を持つ者ばかり狙うというのはどういう事だ?」
「…どうあっても邪魔をすると言うのなら貴様も排除するのみだ」
ロイの質問にスカーが答えることなどない、ただ今この場に国家錬金術師がいる事に喜んでいる
戦う気満々のロイをリザが止めるが聞いてない…リザはロイを助け銃で威嚇射撃
「雨の日は無能なんですから下がってください大佐!」
なんとも情けない話である…雨が弱点なのに雨降ってることに気づかないなんて
「…ダサッ」
(ガーン…)
「わざわざ出向いて来た上に焔が出せぬとは好都合この上ない…国家錬金術師!そして我が使命を邪魔する者!この場全員滅ぼす‼︎」
「やってみるがよい」
(ドンッ‼︎)
ロイが戦闘不能により、また新たな錬金術師が出てきた…スカーに当たる筈だった一撃は壁を壊す
「………なにあれ…」
「…国家に仇なす不届き者よ…この場の全員滅ぼす…と言ったな、笑止‼︎ならばまず‼︎この我輩を倒してみせよ‼︎
アレックス・ルイ・アームストロングをな‼︎」
声がデカい、態度もデカい、図体もデカい、筋肉もデカい、全てがデカい男に令美はドン引き
「…今日はまったく次から次へと…こちらから出向く手間が省けるというもんだ…これも“神の加護”か!」
「(また神)」
どっちにもドン引きな令美は、アームストロングが部下の止めも聞かず市街を破壊し服まで脱ぎ出して…
「破壊の裏に創造あり!創造の裏に破壊あり!破壊と創造は表裏一体‼︎壊して創る‼︎
これすなわち大宇宙の法則なり‼︎」
アームストロングの宣言に誰も理解できる者はいなかった、令美は視界に入れたくないほど生理的に無理だった…
「…なぁに…同じ錬金術師ならムチャとは思わんさ
そうだろう?スカーよ」
「錬金術師…奴も錬金術師だと言うのか⁉︎」
「やっぱりそうか…」
スカーが錬金術師だとは知らなかったのか、落ち込んでたロイは驚いていた、エドは若干気付いてたみたいだけど
「(あれって錬金術なんだ…)」
神の力と言うスカーにアリスの可能性も感じていた令美はガッカリ
「早く捕まえればいいのに…」
ロイが錬金術の錬成課程は“理解”“分解”“再構築”の三つで行う、それをスカーは二つ目の分解で錬成を止めている…と説明してるが令美は全く興味がない…
スカーの手口が分かったが、スカーを捕まえるのは困難だったアームストロングの一撃はかなりのモノだが当たらない
リザの銃もスカーに当たらない…がスカーのつけてたサングラスにかすり…
「……赤い…目…」
「褐色の肌に赤目の…‼︎」
「…イシュヴァールの民か…‼︎」
サングラスのせいで今まで見えなかったスカーの瞳は赤だっだ
「(…赤)」
「…やはりこの人数を相手では分が悪い…」
赤い瞳を見られたせいか、スカーは戦わず逃げるようだ、ロイが部下を率いて逃げ道を塞いでいる
「あれじゃ逃げられるんじゃない?」
「ハァ?」
「私だったら“下”から逃げるけど…」
協力する気ゼロの令美はエドに忠告するが遅く、スカーは地面を破壊して下へ逃げてしまった
「あ…野郎地下水道に‼︎」
「追うなよ」
「追いませんよあんな危ない奴…」
結局スカーを取り逃がした…が死人は出なかった
取りあえず緊張感は抜け安心した空気が流れた
右腕が無くなったエドはすぐさまアルの元へ向かった
「…馬鹿兄弟」
エドが逃げなかった事に怒るアルにエドも反発してケンカになる2人だけど生きてる事に笑いあってる
「…」
「レイミ‼︎」
最後に借りを返すだけだと、勢いのままアリスをエド達の前で使ってしまった令美は早く立ち去らねばいけなかった…あまりアリスの事を知られるのは令美にとって危険が多くなるから
けど未だにここにいるって事は
「レイミ…」
「何」
(私…)
「八つ当たりしてすまん‼︎助かった‼︎」
「ボクからもレイミさん助けてくれてありがとうございます」
真っ直ぐ令美を見て兄弟は頭を下げた…令美はエドに謝れるとは思って無かったから少し驚いていた、が
「命の恩人に対してお礼だけで済むと思ってんの」
「ハ⁉︎」
「決めた!
私これからもエドとアルと一緒に旅するから」
「なぁぁっ⁉︎」
勇気を持ってエドは謝ったのに、令美は相変わらず生意気に図々しく…だがその顔はスッキリとして笑顔だった
「……いいぜ!ついてくんなら、ついてこいよ‼︎」
「えぇ⁉︎兄さんいいの⁉︎」
令美の吹っ切れた顔を見て決心がついたのか、でも何か企んでる顔してるエドは旅の同行を許可した
「その代わり!レイミのあの力について何なのかちゃんと説明してもらうからな‼︎」
「アリスね」
「……ん?」
ポロリと令美がもらした言葉をエドは聞き逃した、聞き逃すのも仕方ないくらい令美が簡単に言ったせいでもある
「私しか使えない…“万能のアリス”
それが私のアリスよ」
( 私は歩いてみようと思った
棗、あなたのように… )
