認めたくない真実





それから1週間

研究書の解読はまったく解けていなかった
令美は毎日出掛けていて知らなかったがシェスカがお礼に(お金の事)来た時、ヒューズと知り合い…なんと仕事がきまったそうな…

「…エド達まだやってんの?」
「今日で丸々10日…収穫は無しのようです…」
中央の街もそろそろ見飽きた頃、令美はエド達の居る図書館へ立ち寄った、部屋の前で護衛中の2人はわざわざ椅子から立ち上がり敬礼し、状況を教えてくれた

「…そう…ま、解読したところで真実がいいものとは思えないけど…」

「え?」


       [ 認めたくない真実 ]



その時、鐘が鳴った…
それは図書館の閉館を知らせる鐘の音であり
「…お二人とも閉館の時間ですよ」


    「……ふっ…ざけんな‼︎」

ブロッシュが扉を開き2人に声をかけたら、返ってきたのはエドの怒鳴り声と物が落ちる大きな音…

「…」

「なっ…何事ですか⁉︎兄弟ゲンカですか?まずは落ち付いて…」
「ちがいますよ」
エドと違いアルは冷静でブロッシュの違いを正した
「では暗号が解けなくてイラついてでも…?」

「解けたんです…暗号、解けてしまったんです」

「本当ですか⁉︎良かったじゃないですか‼︎」
「良い事あるか畜生‼︎」
暗号が解けた事にブロッシュが喜びの声をかけるがエドはもちろんアルも何一つ喜んでいない…むしろ
「『悪魔の研究』とはよく言ったもんだ、恨むぜマルコーさんよ…!」
「…いったい何が?」
散らかる紙…座り込むエド…ブロッシュが聞く


「…賢者の石の材料は…生きた人間だ‼︎」

              「…やっぱり…」


   それは苦難に歓喜を

             戦いに勝利を

     暗黒に光を

            死者に生を約束する

        血のごとき紅い石


人はそれを敵意をもって呼ぶ


       「  賢者の石  」とーー



「たしかにこれは知らないほ方が幸せだったかもしれないな…この資料が正しければ賢者の石の材料は生きた人間…

しかも石を一個精製するのに複数の犠牲が必要って事だ…!」
「そんな非人道的な事が軍の機関で行われているなんて…」
「許される事じゃないでしょう‼︎」
ティム・マルコーの真実にエドはもちろん軍人の2人も到底受け入れられる事ではない…令美には

「軍だから出来るんでしょ」

「…」
  「…“ココ”は軍が中心のみたいじゃん

    組織が大きければ何だって出来る…」

「…ですが‼︎」
令美の言葉をロスは納得出来ない、したくない…だが反論も出来ない
「あんた達より前に軍にいたおっさんが研究書を持って元から逃げた…命をかけて…

それだけでこの真実が嘘じゃないって理由になる」

令美の言葉がすべて正しいと思ってしまうほど説得力があった、誰もが何も言い返す事が出来ない中やはり令美が…
「ま、良かったじゃない…真実が知りたかったんでしょ…」
「…は」
下向いていたエドが顔を上げ、いつの間にか部屋に入って目の前にいる令美をみた

「…これからどうすんのってきいてるの…

  真実を知って、石を諦めるの?

        それとも…“作るの?”」

「兄さん‼︎」
強い音が響いた…アルがエドを止めたがエドは令美に手を出してない…ただ強い怒りをふくんだ瞳で令美を睨みつけた
「…なによ、おっさんが言いたかったことはそーゆーことじゃなかったの?…違うの?」

「…わかんねぇよ…そんなこと…

  だがオレ達に “作る” 選択は “無い” ‼︎」



        ◇◆◇◆◇◆




あれからー

エドとアルは部屋に閉じ籠った…

石の事は秘密にするようロス、ブロッシュ…それに令美にも言って…


答えを見つけられずにいた


令美もまた兄弟とは距離を置くようになった




       ◇◆◇◆◇◆




「やられた‼︎」
護衛していたロスとブロッシュは兄弟の部屋がもぬけの殻であることに気づいた
「やけに静かだと思ったら…」
「あ〜〜職務怠慢でアームストロング少佐にしぼり上げられるぅ〜〜」
部屋の窓にはロープが吊るされており、兄弟はここから下へ逃げ出したようで
「…あのガキども〜〜っ‼︎こっち(護衛)の身にもなれって言うのよ‼︎」

「何かあったの?」

ブロッシュは泣き、ロスが怒りでつい悪口を言ってしまう…そんな2人に声をかけたのは
「レイミさん⁉︎お2人と一緒じゃなかったんですね‼︎」
「良かった〜!レイミさんだけでもいてくれて〜」
「…」
令美の姿を見て安心しだした2人に、何も知らない令美は反応に困る…令美はあの日から毎日兄弟とは別行動で今しがた外から帰ってきた所だった

「…どうしたの」
「……実は」




エド達が逃げ出した数時間前、あまりに引き篭もる兄弟を心配したアームストロング少佐が部下2人から(強制的)話を聞き出したとこから始まった

『聞いたぞエドワード・エルリック‼︎』
暗いエド達を吹っ飛ばすほど大胆に部屋に突入した少佐にエドは会いたくなかったのだが…

『真実は時として残酷なものよ…』

ただ一言、少佐のこの言葉でエドはあることに気づく…

『どうしたの兄さん?』

『マルコーさんの言葉覚えてるか?』
『え?』

『ほら駅で言ってただろう…“真実の悪の真なる真実”…

    そうか…まだ何かあるんだ…何か…』





「ーーそれからエドワードさんが言うには第五研究所で実験が行われているのではないかと推測し…」
「少佐が軍上層部に探りを入れてくれてるので報告するまで待ってるように言われてたのに〜」
ロスはイライラしてブロッシュはオロオロとしながら状況を説明してくれた…性別的には逆だと思うが

「とにかく私達は第五研究所に行ってみます‼︎レイミさんは危ないのでここにいてください‼︎」
説明を終えれば、令美の返事も聞かずに2人は慌てて出て行ってしまった

「“真実の奥の真なる真実”…ね」

部下2人は知らない、令美は人の言うことをきかない…

令美は自分の部屋に戻り着替える、この世界の服ではなくアリス学園の制服に
「文化の違いでココのは動きづらいのばっかり…あっちからもっと色々持ってくればよかった…」
着替え終わった令美は窓を開けて夜空を見るのではなく、エド達を探す
「第五研究所…だっけ?


  本当、めんどくさいのよ…研究者って」


令美は夜空に溶け込むように窓から外へー


消えた



アカシ-Tsukimi