
小さな生命
そして暑い中…
エド達はパニーニャの整備師に会うため山の中を歩く、岩だらけの草木が全くない山の中なので令美は自身が作った紫外線100%カットする日傘をさしてイヤイヤエドについていく
「本当にへんぴな所に住んでるのねその整備師さん…」
「うん、オートメイルに使う良質な鉱石が出るとかでこんな山奥に工房を持ってるんだ、あと単に人嫌いって言うか無愛想だから街中には住みたくないらしいよ」
高い崖やすぐ壊れそうな橋を渡りながらのん気に話す中、エドは未だに銀時計を返してもらってない…なんでも案内するまでの人質らしい…スリを見逃す約束のために…
「こんにちわっ!」
静かな山奥にようやく小さな家を発見、中からは何かを叩く音が響く
「パニーニャ!おまえこんな山奥までこまめによく来れるなぁ…」
「今日はお客さんを連れて来たよ」
「へぇ…オートメイルの注文かな…ってうわでか‼︎ちっさ‼︎」
遠慮なく中に入ったパニーニャを出迎えたのは優しそうなメガネの男性…エドとアルを見て素直すぎる感想を言う人だが…
アルと令美が“ちっさ”と言われ暴れるエドを落ちつかせている内に家の中から女性の人にお茶を誘われてお互い自己紹介する流れに…
「オレはリドル、リドル・コルトこっちは妻のサテラ…
無愛想なのは俺の親父のドミニクだよ」
にこやかな夫婦が無愛想な整備師だと思ったら、奥の部屋から顔の怖いじいさんが出てきた…
休憩中なのをお邪魔して。リドルが言った通り無愛想で怖い顔してるドミニクはウィンリィーとは話が合いそうにないのにオートメイルの話しで盛り上がっていた…そんな2人についていける者はいない
「この中に子供が入ってるんだ!」
「うわ〜感動〜」
オートメイルオタク2人の隣ではエド達は妊婦のサテラの大きなお腹を見て感動した
「あと半月程で生まれるんだよ」
「さすがに重くてしんどいわねぇ…」
「触ってみてもいいかな⁉︎」
兄弟はお腹の中の子供に興味津々でテンションが高い、エドがお腹を触らせてもらって“すげー”しか言ってない
「妊婦さんのお腹に触るの初めてだ」
「『元気に生まれて来てね』って願いながら触ってあげてね」
「…そっかぁボク達もこんな風にお母さんのお腹の中に入ってたのかなぁ…」
「なんだか不思議だな!」
「…」
エド達の後ろで静観している令美は無表情だが内心、ザワザワと気持ちが大きく揺れていた
「そうね…私も自分の中にもうひとつの命があるのってとても不思議に思うわ」
「赤ちゃんは母親の中で210日過ごして生まれてくるんだって」
「本当に不思議ね誰も教えてないのにきっかり210日たつと出て来ちゃうのよ…小さくてもちゃんと意思を持った命なのね…」
愛おしそうに語る夫婦に令美は拳を強く握って力を抜き…サテラに近づいた…
「…あの…私も少し触って…いいですか…?」
「…えぇ、もちろん」
令美の発言に兄弟は驚いた、令美は興味ないと思っていたから…何かやらかすとは思ってないが変にドキドキする兄弟をよそにサテラは笑顔で了承した
令美は優しく…優しくサテラのお腹を撫でた…
「…生きてる…」
令美が撫でても変わらず元気にお腹の中で生きている赤ちゃんに令美は感じた事ない気持ちで溢れていた…
自分では理解出来ない気持ちでお腹を触る令美だが、兄弟には令美が目を輝かせて嬉しそうに見え…そんな令美が目に焼き付いて離れなかった…
「エド〜ちょっといらっしゃい、ちょっと」
ウィンリィーから呼ばれたエドよりも令美の方が反応し何故かバツ悪そうにサテラから離れた
「…」
「エド〜」
エドはそんな令美が気になるしウィンリィーからの呼び出しにはいやな予感しかしない…本当は行きたくないがエドは仕方なくウィンリィーのとこに行った…もちろんオートメイルのせいでまたパンツ一丁になった
「………」
令美は独り、サテラのお腹を触った自分の手がいつもより温かく感じた…
[ 小さな生命 ]
「うん!やっぱり決めた!ドミニクさんあたしを弟子にしてください‼︎」
「やなこった」
仲良くオタク用語で話し合っていたウィンリィーが決意を改めドミニクに弟子を願い出た…瞬殺で撃沈したが…
「ごめんね、うちの親父ガンコ者だからさあきらめてよ」
「「う〜」」
何度もお願いするがドミニクが了承することなく、エドとしても身長が伸びるオートメイルを作って欲しさでエドも説得したが“ミジンコ”と言われ怒っただけ
「おう!さっさと帰れ!」
「…帰れません」
ウィンリィーの願いが叶ったのか外は急な大雨と雷でとてもじゃないが帰れない状態に
「雨がやむまでうちでゆっくりして行きなさい」
リドルのご好意に甘えて、エド達はやむまでお邪魔することに…
エドはドミニクに軽いオートメイルをつけてもらえるよう頼んでるが無駄に終わるだろう…ウィンリィは両足がオートメイルのパニーニャと話していた
「……人の秘密を軽い気持ちで見るもんじゃないんじゃない?」
パニーニャの過去の話やドミニクに恩返しでスリをするパニーニャを止めるよう言うウィンリィーの話はまったく興味なかった令美だが、返しそびれたエドの銀時計の中身がなんなのかイタズラ心に火がついたウィンリィー達が中を見ようとしていたのには口を出した
「レイミ!大丈夫よ‼︎あのエドのことだもん〜」
試行錯誤して銀時計を開けようとするウィンリィーを令美がやめるよう忠告するがウィンリィー達は止まらなかった…
「…っと開いた!エドのお宝はいけー…ん…」
銀時計には何も入ってなかった…ただ…文字と数字が刻まれていた…
「『忘れるな 11年10月3日』…何これこんだけ?なんの事かさっぱり…」
パニーニャにはさっぱり分からないがウィンリィーは違った…そして静かに銀時計を閉じた
「…これ、エドに返しといて…」
「ウィンリィ?」
「だから言ったのに…軽い気持ちで見て勝手に傷つくなんて…身勝手ね」
「ちょっ!…そんな言い方‼︎」
令美は泣き出したウィンリィーに冷たく呆れた、冷たい令美にパニーニャは文句言ってやろうとしたがウィンリィーが止めた
「…うん、レイミの言う通り…ごめんなさい」
「…ウィンリィ…」
「も一回…も一回ドミニクさんに弟子入りお願いしてくる」
令美に謝ったウィンリィーは涙をふいてドミニクの元へ向かっていった
「…あんな言い方しなくてもいいんじゃない…」
「土足で人の大事なモノ荒らしたクセに甘えた事言ってんじゃないわよ」
ウィンリィーが出てからパニーニャは我慢ならず令美に文句を言ったが倍になって返ってきた
ウィンリィーの為なにか言い返したいがパニーニャには無理で、しかもウィンリィーの足音がこちらに近づいてきて…
「リドルさん大変‼︎奥さんが‼︎」
「⁉︎」
